花色:
学名:Hydrangea
別名:ハイドランジア
科名:ユキノシタ科
分類:落葉低木
原産地:日本、東アジア、北アメリカ
大きさ:背丈1.0〜2.0m、横幅0.8〜2.0m、葉10〜15cm前後(対生)
主な見所:花(5〜7月)
梅雨の風物詩ともいえる日本原産の花木。花房の周囲に装飾花をつけるガクアジサイや、花のほとんどが装飾花になるアジサイ、日本のアジサイが欧米で改良され逆輸入された豪華なハイドランジア(セイヨウアジサイ)、小型種のヤマアジサイなどが出回っています。いずれも様々な改良種が存在しています。他にも装飾花のないコアジサイや夏に咲くタマアジサイ、北アメリカ原産種の改良品種のアナベルなども出回ります。
花色は多彩で紫〜ピンクと白が多く、赤や青もあります。土の酸性度によって花色が変わり、酸性に傾くほど青が強くなり、アルカリ性に傾くほど赤に近くなります。目立つ部分が装飾花なので比較的花もちは良好です。卵形の葉は一枚10〜15cm程度あってやや大きめ。株立ち状に育ち、管理すれば背丈は低めに保てます。
丈夫で、日当たりの悪い環境や多湿にもよく耐えるため一般家庭の庭はもちろん、公共の緑地にもよく植栽されています。
薄日が差す程度の明るい半日陰で、少し湿った場所が適地です。日当たりのよい場所でも生育可能ですが乾燥させないことが条件です。かなり暗い場所でも育ちますが葉が大きくなったり徒長しやすいです。肥沃で水もちのよい土を好みます。乾燥は大の苦手なので注意します。
品種の本来もつ花色に合わせて土の酸性度を調整しましょう。花色が冴えない場合、青色の品種は酸性土壌に、紅色の品種はアルカリ性土壌に傾けます。
洋風や和風、自然風の庭いずれにも合います。和風や自然風の庭には花が派手すぎない品種を選ぶとよいでしょう。
葉は大きいのですが、株立ち状でまとまりやすく狭い庭でも使いやすいです。北側の庭でも通風がよければ丈夫に育ちとても重宝します。葉が大きいので見る位置から少し離して植えたほうがよいです。
他の樹との寄せ植えのほか、高木の根じめ、ブロックや塀の目隠しに用います。
ヤマアジサイの改良品種など小型種を選べば、中木の根じめや花壇、狭い場所でも活躍できます。
アジサイを高木の根じめにした植栽例と、小道に列植した植栽例。公園や庭園でよくみられる配植ですが、敷地が広ければ家庭の庭でも可能です。斜面地に植える場合は北側の斜面がよいでしょう。
ヤマアジサイを中木の根じめに用いた植栽例。性質に合わせた定番の配植です。
アナベルを日当たりの良い花畑に植栽した例。日差しの下でも元気に花を咲かせるアナベルと、その仲間の品種群は性質がかなり異なるので、配植時は留意しましょう。
周囲に装飾花がつくガクアジサイ型と、花がすべて装飾花になったアジサイ型があります。花色も青紫〜ピンクを中心に数多くの品種が存在します。八重咲きや斑入り種もあります。
タマアジサイやコアジサイ、ツルアジサイなどの原種が出回ることがあります。
○ガクアジサイ系(H. macrophylla)
原種は千葉南部や三浦半島、伊豆などの限られた海岸地域で自生しています。花房の中心部は小さい花しかありませんが周囲に装飾花(がく)をつけます。葉には厚みと光沢があります。
和風の庭に向いていますが、よく目立つ改良品種もあります。株は大型になります。
「アジサイ」:ガクアジサイの園芸品種。花がすべて装飾花になって球状になります。
ガクアジサイ系の品種の一例。主張し過ぎない自然な雰囲気が和風の庭によく合います。
ガクアジサイ系の品種の一例。八重咲き種と斑入り品種。洋風の庭に植えても違和感はありません。
○ハイドランジア(セイヨウアジサイ系)(H. macrophylla f.hortensia)
原種は日本原産種ですが欧米で改良され、現地の価値観に沿った品種が作られました。以前は鉢植え用として販売されていましたが、近年は庭に植えられることが多くなりました。ガクアジサイが品種親になっているので大型になるものが多いです。
ハイドランジア系の改良品種の一例。ガクアジサイ同様に大型になります。
花つきがよく、大きめの花房で存在感があります。
「エンドレスサマー」
アメリカで改良された二期咲きのアジサイ。四期咲きと言われますが初夏・秋の二期が最盛期です。
○ヤマアジサイ系(H. serrata)
日本や東アジアの山地に自生しています。小型の品種で、葉や花も小さめ。ガクアジサイとは異なり葉に光沢はなく、葉の厚さも薄いです。花色が多く覆輪咲きなど変化もあります。
楚々とした雰囲気で自然風の庭によく合い、鉢植えにも向いています。
「紅」
ヤマアジサイ系の改良品種。ガクアジサイ型で白から赤に変化する花が咲きます。
写真のように土壌が酸性に傾き過ぎて、綺麗に赤く発色しない場合もあります。
「藍姫」
ヤマアジサイ系の改良品種。ガクアジサイ型でやや薄い紫から青紫に変化する花が咲きます。
「富士の滝」
ヤマアジサイ系の改良品種。ガクアジサイ型で八重咲き白花。
花つきがよく、まるで滝のようにこぼれるぐらいに咲きます。
ヤマアジサイ系の改良品種の一例。ガクアジサイ型が多いですがアジサイ型もあります。
カラフルな八重咲き種など、洋風の庭向きのよく目立つ品種も多いです。
○タマアジサイ(H. involucrata)
つぼみが球形で、開花すると小さめのガクアジサイのような花が咲きます。他のアジサイに比べ花期が遅め(7〜8月頃)です。葉が大きめで20cm程度になり、両面ともに硬い毛が生えています。
○コアジサイ(H. hirta)
花がすべて小さい花で装飾花がありません。当然、装飾花のある種に比べあまり目立ちませんが、日本庭園や茶庭などでは「それが良し」として植栽されることもあります。葉の鋸歯が深く入り、樹高はやや低めです。
「アナベル」
北アメリカ原産のアルボレスケンス(H. arborescens)から改良された品種。大きな花房に白い装飾花をつけます。ピンク花や黄緑花、矮性種などの品種もあります。
日差しを好む、新梢咲きで落葉期の強剪定が可能など、日本のアジサイとは性質がやや異なります。花つきが良く開花最盛期は華やかで、洋風の庭によく合います。
花が咲いていく様子。
アジサイの葉のアップ。長さは10〜15cm前後と大きく、厚みと光沢があります。
狭いスペースに植える場合、少し存在感が強すぎるかもしれません。
ヤマアジサイ系の品種の葉のアップ。長さは7〜12cm前後とアジサイに比べ小さめで、厚みは薄く光沢も少ないです。葉先が鋭くとがりやすいのが特徴。
葉の主張が強すぎず、狭い庭にも使いやすいです。
斑入り品種と黄金葉の品種。葉の変化も楽しめます。
オススメ度:★★★★★
雨が多い日本の庭にはなくてはならない花木。花期も長めで、品種を選べば洋風や和風、自然風いずれにも合わせられるのも魅力的です。育てやすく病害虫の被害が少ないのも二重丸。
特にヤマアジサイ系の品種は狭い場所にも使えて重宝します。