本文へスキップ

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

明月院

明月院(めいげついん)は神奈川県鎌倉市にある歴史のある寺院。あじさい寺として有名で、実際に美しいアジサイを観賞できます。一方で、シダレザクラやハナショウブ、モミジの新緑や紅葉、枯山水庭園や本堂後庭園など他にも見所が多いです。
また、鎌倉の特徴的な景観である谷戸(やと)を生かした庭園デザインにも注目です。

境内地図(クリックすると大きくなります)

明月院マップ
特に順路はないですが、細長い境内のため迷うことはないでしょう。
ここでは総門から山門や本堂へ向かい、本堂後庭園を観賞した後に総門に戻ってくるルートで主な見どころを紹介します。

正面入口と、奥に見える総門

正面入口と、奥に見える総門
小川沿いの道を辿るとたどり着く正面入口と、奥に見える拝観受付を兼ねた総門。
アジサイの季節は入場するための行列ができますが、普段は落ち着いた雰囲気。

表参道(アジサイ)

表参道(アジサイ)
すり減った鎌倉石が歴史を感じさせる表参道の階段。
参道の両側にはアジサイが植えられ、梅雨の季節には「明月院ブルー」と呼ばれる美しい青紫のヒメアジサイが観賞できます。後述する丸窓とともに明月院を代表する景観です。
写真は平日の朝一で撮ったもので実際には大勢の人が訪れるため、人を入れずに写真を撮ったり、落ち着いて観賞することは難しいかもしれません。

表参道(シダレザクラ)

表参道(シダレザクラ)
春にはシダレザクラが観賞できます。アジサイの季節に比べれば人出は少なく、ゆっくり美しい景色が楽しめます。繊細な姿の花のため写真以上に実物の方が美しく感じます。

山門(シダレザクラ)

山門(シダレザクラ)
表参道の上部にある門。
アジサイの季節も良いですが、シダレザクラの季節が特に美しいです。

本堂

本堂
平屋建ての落ち着いた雰囲気の本堂。境内を巡る前に参拝していきましょう。
写真では見えていませんが、本堂向かって右側には御朱印等が頼める受付があります。

本堂の丸窓

本堂の丸窓(新緑)
本堂の丸窓(紅葉)
本堂の奥にある本堂後庭園側に開いた丸窓。フォトスポットとしても人気です。
各季節で見ごたえがありますが、背景にモミジがあるため新緑や紅葉の季節が美しいです。
本堂手前側や丸窓の周辺には、季節によって様々な置物や切り花、鉢植えの植物などが配置されているので注目するとよいでしょう。

枯山水庭園

枯山水庭園
本堂の前にある、須弥山(しゅみせん)の仏教観を表現したという枯山水庭園。奥の石組みが須弥山、手前の白砂が海を表しています。
背景の借景が楽しめ、特にシダレザクラの季節は華やかです。

本堂後庭園

本堂後庭園
季節限定で一般公開される本堂の後ろにある庭園。基本的にはハナショウブの開花期と紅葉の季節に公開されますが、新緑など他の季節にも公開されていることがあります。
なお、入園には別途料金がかかります。

本堂後庭園の花菖蒲園

本堂後庭園の花菖蒲園
谷間のようになった場所にハナショウブが咲きます。
周辺が崖と樹木に囲われて余計なものが見えないようになっています。

本堂後庭園(新緑)

本堂後庭園(新緑)
モミジが多く植栽されており、新緑や紅葉の季節は美しいです。シダレザクラの開花期は丸窓の奥に見えるのもポイント。他にも滝のある流れや、崖に咲く花など見所が多いです。
また、後庭園はベンチが多く、一息つける心地よい空間となっています。

開山堂と、花想い地蔵

開山堂花想い地蔵
1380年頃、明月院内に建立されていた宗猷堂(そうゆうどう)をのちに開山堂としたもの。境内には他にも北条時頼公の墓所や、明月院やぐらなどの史跡あります。
開山堂の前には花想い地蔵があり、季節に合わせた花が飾られています。

境内に咲く花々(ショカッサイとシダレザクラ)

ショカッサイとシダレザクラ
各季節に様々な花が咲きますが、特に春は花の種類が多いです。
紫の花はショカッサイ(ムラサキハナナ)。シダレザクラの花色とよく合っています。

境内に咲く花々(姫アジサイ)

境内に咲く花々(姫アジサイ)
数でいえばやはりアジサイ。開花期には先に挙げた表参道だけでなく、境内のいたるところで花が見られます。青紫花が圧倒的に多く統一感があります。
花も株も小さめのヒメアジサイ(エゾアジサイの花序全体が装飾花になったもの)をメインにしているため、華やかながら派手ではない、落ち着いた景色が見られるのも魅力です。

桂橋

桂橋
小川に架かる少し変則的な木橋。周辺の樹木が美しいです。
新緑や紅葉の季節はぜひ上を見上げてみてください。

月笑軒(げっしょうけん)

月笑軒
月笑軒の庭
和モダンな雰囲気のおしゃれな茶室。茶室内部でも外部でも飲食が楽しめます。ただ、外部にある席は数が少ないので混雑時は座れないことが多いです。
2枚目の写真左端に見える緑色のオブジェは岡本太郎作の「坐ることを拒否する椅子」。
なお、飲食だけでなく明月院にちなんだアクセサリー等も販売されています。

ウサギ

境内で飼われているウサギウサギとカメの置物
明月院…月。月といえばウサギ。ということで、境内にはウサギにまつわる様々な施設や添景が見られます。機会があれば注目してみるのもよいでしょう。

参拝者にやさしい雰囲気が有難い

月の広場とトイレ
綺麗なトイレと、その前にある花の多い花壇(月の広場)。様々な性格の寺院がある鎌倉の中で、明月院は参拝者にやさしい雰囲気があり、訪れるのが楽しいです。

施設の概要

場所
神奈川県鎌倉市山ノ内189

交通手段
■公共交通機関
JR「北鎌倉」駅から徒歩10分。
■車
駐車場なし。特別な事情がなければ公共交通機関を利用のこと。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://trip-kamakura.com/place/230.html

My impression

庭園デザイン★★★★
鎌倉の特徴的な景観である谷戸を生かしたデザイン。正面入口から山門までは階段や斜面になっており、その道沿いに飾らない雰囲気で様々な花が見られます。その中でも、アジサイやシダレザクラの咲く参道は特に見ごたえがあります。
枯山水庭園はこじんまりしていますが、寺院らしい落ち着いた庭園です。
本堂後庭園は崖に囲まれた箱庭的な庭園で見所が多いです。

植物充実度★★★★
品種数は多くないもののヒメアジサイはもちろん、シダレザクラやハナショウブが充実しています。またモミジが多く新緑や紅葉も美しいです。他にも各季節で様々な花が見られます。
植物の管理状態は非常に良好で、庭園もよく管理されています。

娯楽度★★★★
アジサイの季節は誰にでも勧められるほど美しいです。シダレザクラや紅葉の季節も良いでしょう。それ以外の季節はゆっくり散策するのに向いています。
月笑軒は抹茶はもちろん、洋風の飲み物を充実しています。
周辺は北鎌倉の観光地。様々な寺院や飲食店があるので立ち寄ってみるのも良いでしょう。

混雑度★★★★★
アジサイの季節は非常に混雑します。平日や朝一で訪れるなど工夫しましょう。特に表参道をなるべく人を入れずに撮りたいとなると、朝一や閉門間近でないと厳しいでしょう。
紅葉の季節もやや混雑し、こちらの季節は丸窓が人気になります。やはり平日や朝早くに訪れた方が良いでしょう。
シダレザクラやハナショウブの季節も美しいですが、上記ほどは混雑しません。
境内はやや狭めで、オープンスペースもあまり多くありません。混雑時に境内でゆっくりしたい場合は本堂後庭園に入るしかないでしょう。

交通の便★★★★★
公共交通機関の場合、電車の本数が多い北鎌倉駅から歩いて約10分なのでとても良い評価。
車の場合、専用の駐車場はなく、公式からも紹介されていません。公共交通機関の利用を強く推奨します。特別な事情がある場合は鎌倉駅等からタクシーを利用しましょう。

総合満足度★★★★
あじさい寺として有名で、実際にボリューム感のあるアジサイを楽しめます。一方で、アジサイの季節は非常に混雑するため、ゆっくり観賞することが難しいのは仕方ないことですが残念。個人的なおすすめはシダレザクラの季節。比較的空いているうえ美しい景色が観賞できます。
谷戸の地形を生かした境内の景色は変化に富んでおり、散策が楽しいです。
庭園管理者が常駐しているようで、花や庭園の管理状態が良いのがポイント。また、全体的な雰囲気が優しげで、寺院でありながら花の観賞にも向いているのはありがたいです。

備考1:谷間にある敷地のため写真の日照条件的には良い時間帯が限られてきます。日差しのある日は午前中に訪れると良いでしょう。

備考2:花の名所ではありますが、あくまで寺院なのでマナー等には気を使いたいところです。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
4月上旬(シダレザクラ、新緑)
6月上旬(ハナショウブ)
6月上旬〜中旬(ヒメアジサイ)
晩秋(紅葉)

戻ります