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ガーデニング・園芸に用いられる植物の中で私が栽培したことのある種類を図鑑にしています

ツバキ

ツバキツバキの花

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ツバキのデータ

花色:ピンク白
学名:Camellia japonica
科名:ツバキ科
分類:常緑高木
原産地:日本、東アジア(園芸品種)
大きさ:背丈0.8〜3.0m(6m)、横幅0.5〜2.0m(4m)、葉4〜12cm前後(互生)
主な見所:花(12〜5月)※最盛期は3〜4月

ツバキの特徴

まだ寒いころから厚い花弁の美しい花を咲かせてくれます。早ければ12月あたりから、ポツポツと花が咲き始め、開花最盛期は3〜4月頃になります。
豪華な八重と、清楚な一重で印象が変わり、覆輪咲きや絞り咲きなど花芸のある品種も人気です。葉はツヤがあってサザンカより大きいですが、枝の伸び具合や樹高自体は両者あまり変わりません。自然に樹形はまとまりますが剪定にも耐えます。
日本に自生があり丈夫で育てやすく、様々な環境に耐えるため植栽数が多い樹木です。一方で、毒虫であるチャドクガやイラガの食害を受けやすく問題になることがあります。

  • 難易度: とても丈夫です。
  • 日照量: 日当たりでも日陰でも育ちます。
  • 水分量: やや乾燥した場所を好み、水はけの悪い環境は苦手です。
  • 耐寒性: 耐寒性は強いです。
  • 成長速度:やや遅い 成長はゆっくりです。
  • 移植適期:梅雨 移植は難しい。特に大株の場合は根回しが必要になります。

ツバキの育て方

とても丈夫な樹木です。耐陰性があり、幅広い日照条件に適応します。日向だと花つきが良いですが、半日陰でも十分花が咲きます。花つきは悪いですが日陰でも育ちます。やや乾燥した場所を好みますが、こちらも広い幅で耐えます。ただし、水はけが悪いと弱りやすいです。
チャドクガやイラガの食害を受けやすいのが厄介。どちらも毒虫なので、管理がマメにできない場合の植栽は人の通行が頻繁でない場所を選んだ方がよいです。

  • 管理:普段は特にすることはありません。剪定は主に花後に行います。刈り込みに強いですが、深く刈りすぎると翌年に花つきが悪くなります。
    害虫の観察と駆除はしっかり行いましょう。
  • 剪定3月・6月・(9月)
    剪定の適期は花後すぐですが、生垣の場合は新芽が固まる頃や秋にも必要であれば刈り込みます。花後すぐの2節程度の切り戻しのみで済ませると、来年の花つきはあまり変わりません。
  • 肥料:早春に寒肥を与え、花後に控えめにお礼肥を与えます。どちらも花つきがよいようなら無理に与えなくても構いません。
  • 病害虫:5月と8月ごろチャドクガが発生します。固まって行動する幼虫のうち駆除します。チャドクガほど頻繁ではありませんが、イラガも時々発生します。どちらも厄介な毒虫のうえ、その他の病害虫には強いだけに余計に被害が目立ちます。

ツバキのアレンジ

和風の庭に合います。自然樹形でも刈り込みものでも使え、深緑の葉が落ち着いた印象を与えます。一方で、八重の豪華な花は洋風の庭にも合い、こちらは刈り込んで用いることが多いです。
日陰に耐えるので使い道は多いですが、病害虫の管理のしやすい場所を選びます。サザンカに比べ葉が大きめなので生垣にはあまり向いていません。生垣に用いる場合は広めの場所がよいでしょう。

ツバキの生垣ツバキの高垣
ツバキの生垣。日当たりの悪い場所でも使える良さがあります。
厚く仕立てれば遮蔽性は十分ですが、薄く仕立ててると葉が大きい分、枝が空いたところがスカスカな印象になりやすいです。特に高垣にする場合は注意。

株立ちで、自然樹形のツバキの大株
株立ちで、自然樹形のツバキの大株。主木として用いることもできます。

一本立ちで、刈り込みつつ自然樹形風にしたツバキ
一本立ちで、刈り込みつつ自然樹形風にしたツバキ。一般的な仕立て方です。

ツバキの主な品種

元親(ヤブツバキやユキツバキなど)をもとに多くの改良、交雑品種が出回っています。様々な変異がありますが、特に一重咲きか八重咲き、あるいは大輪〜小輪で印象が異なります。

ヤブツバキ
ヤブツバキ
原種で様々な品種の交配親。花は筒状〜半開き状に咲きます。
地味な見た目なので、茶庭以外の一般的な庭で植栽されることは少ないです。

ユキツバキ
ユキツバキ
原種で日本海側の山地に分布しています。雪の多い地域に順応して、株立ち状のやや横に広がるような樹形になり、樹高も1〜2mほどとそれほど高くなりません。
花はヤブツバキよりも平らに開いて咲きます。こちらも様々な品種の交配親となっています。

蝦夷錦
蝦夷錦
八重咲きで白あるいはピンク色と濃紅色の絞り咲き。大輪。

乙女
乙女
千重咲きのピンク色。中輪。花期が長く、こんもり育ちます。
人気が高い品種でオトメツバキの名でもよく出回ります。

玉の浦
玉の浦
野生の選抜種。名前は長崎県五島列島の旧玉の浦町(現五島市)で発見されたことによります。原木は過剰な枝の採取により枯死してしまったとのことですが、その枝の挿し木による増殖によって各地で見られる有名品種となりました。
赤花に白覆輪の美しい花ですが、覆輪のサイズが安定しない等、気難しい面もあります。

紅唐子
紅唐子
八重の唐子咲きで濃い紅色。中輪。やや遅咲きです。

ナイトライダー
ナイトライダー
逆輸入された交配品種。濃赤色の花が印象的。黒椿系としては育てやすく花もよく咲きます。

その他の写真

ツバキの白花種
白花種

斑入り品種
斑入り品種。落ち着いた和風の庭への植栽というツバキの主な使用用途を考えると、斑入り葉を生かしずらいためか、斑入り品種が店頭で出回ることは少ないです。

一重咲きのツバキの落花八重咲きのツバキの落花
ツバキの花が散った様子。花弁と雄しべが一緒に落花します。これはツバキとサザンカ(花弁がバラバラに落花する)を見分けるときの重要なポイントになります。
この様子は写真1枚目のように一重咲きの方が分かりやすく、八重咲きだと写真2枚目のようにすぐバラバラになり、一見サザンカと区別がつきづらくなります。

ツバキの個人的な印象

オススメ度:★★★
丈夫で花も美しく、毒虫さえ出なければ星五をあげたい樹木です。
葉が濃緑色で暗めの印象なので配植では留意しましょう。

コメント

  • ツバキ・ワビスケ・サザンカなどの違いには例外もあり、厳密な区別は難しいです。ですが、いずれも性質がほぼ同じなので栽培管理上はあまり問題になりません。
  • ツバキとサザンカの簡易な見分け方として…
    ツバキ:花弁がくっついたまま落ちる、葉が大きい。
    サザンカ:花弁がばらばらに落ちる、葉が小さめ。
    とすれば園芸的には理にかなっていると思います。花弁がバラバラに落ちることが多いカンツバキ系の品種はサザンカの仲間に含めた方が分かりやすいでしょう。
  • 毎年のように毛虫の被害がある株もあれば、被害株の近くにあるのにほとんど被害がない株もあったりと、毛虫の発生には何か規則性があるのかもしれません。
  • チャドクガに刺されたことがあると分かりますが、しつこい痒みが長期間にわたって続きます。正直に言うと、ツバキの植栽をやめてしまおうかと思えるほど辛いです。
    ツバキ嫌いの人を少なくするためにも、毎年しっかり管理を行いましょう。

仲間の花

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