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ガーデニング・園芸に用いられる植物の中で私が栽培したことのある種類を図鑑にしています

クチナシ

クチナシクチナシの花

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クチナシのデータ

花色:白
学名:Gardenia jasminoides
科名:アカネ科
分類:常緑低木
原産地:日本、東アジア〜東南アジア
大きさ:背丈0.5〜1.5m(3m)、横幅0.5〜1.5m(2.5m)、葉5〜15cm(対生)
主な見所:花(6〜7月)

クチナシの特徴

純白の強い香りを放つ花が特徴です。
花は6弁の整った一重花ですが、八重咲き品種もよく見かけます。花色は濁りのない白。花もちは悪いですが次々と咲き、花期は比較的長いです。花の強い甘い香りは遠くからでも気づくほどです。葉は長楕円形〜倒卵形で、つやのある深緑色。鋸歯はありません。株は根元から枝分かれして株立ち状になります。秋にオレンジ色の実ができて着色料や生薬などに用いられます。
クチナシを食草とするオオスカシバとは切っても切れない関係です。

  • 難易度: 丈夫ですが、オオスカシバが厄介。
  • 日照量: 半日陰でも十分育ちますが、日影では花つきが悪くなります。
  • 水分量: 適湿から少し湿った場所を好みます。
  • 耐寒性: 寒さには強いですが、東北南部以南推奨。
  • 成長速度:普通 もともとやや低木なため遅く感じます。
  • 移植適期:春・初夏・秋 移植はやや容易です。

クチナシの育て方

日本にも自生があるとおり、とても丈夫な花木です。高木の下のような半日影の場所を好みます。乾燥しなければ日当たりのよい場所でも育ちますが、葉焼けしたり葉色があせたりします。土壌は肥沃で水はけのよい、やや湿り気のある土を好みます。
オオスカシバの幼虫(イモムシ)が厄介で、放任すると丸坊主にされることもあります。葉の不自然な欠きこみ、つぼみの齧られたあと、黒いフンなどを見かけたら葉裏等をよく観察しましょう。

  • 管理:オオスカシバが付いていないか春から夏・秋はよく観察します(年二回発生)
  • 剪定花後
    花後に花がら摘みを兼ねて弱めに剪定します。晩夏以降の剪定は花芽を落とすことになります。
  • 肥料:早春に遅行性肥料を控え目に与え、花後にお礼肥を与えます。花後のお礼肥はチッソ分が少ないものを選択します。
  • 病害虫:必ずといってよいほどオオスカシバの幼虫がつきます。大きめなイモムシで食害量も多いので早めに駆除します。

クチナシのアレンジ

洋風や和風の庭に合います。ウエットな落ち着いた雰囲気なのでドライな庭には合わず、装飾的な雰囲気もあるので自然風の庭にもあまり合いません。和風なら一重咲き、洋風なら八重咲きが似合いますが、好みで決めてもよいでしょう。
高木や庭石の根じめ、他の樹木との寄せ植えなどに向きます。いずれにしろ、香りが楽しめるような場所に植栽したいところです。コクチナシは背が高めのグランドカバーに使われることもあります。

クチナシの主な品種

一重咲きの他、八重咲き種もよく出回ります。矮性種のコクチナシも人気があります。

クチナシの八重咲き品種
八重咲き品種。オオヤエクチナシやガーデニアと呼ばれることもあります。実はつきません。

コクチナシ
コクチナシG. j. var. radicans
クチナシの変種。花も葉も株も小型で、特に葉が小さく別の種のようにみえるほどです。香りもクチナシに比べ控えめに感じます。一重咲きと八重咲きがあります。

その他の写真

クチナシの葉
照りが強い独特な印象の葉。綺麗に並ぶ側脈が目立ちます。

クチナシの実クチナシの実アップ
クチナシの実。黄色の着色料の原料としても知られています。

大きくなったクチナシ
沖縄の福州園で見かけた、3メートルはあると思われる大きなクチナシ。
小さく仕立てる家庭園芸とは違った趣があります。

クチナシの個人的な印象

オススメ度:★★★
純白の花が美しく、強い甘い香りも好みは分かれますが確かな個性があります。開花期以外は濃い緑葉の地味な姿なので、植栽場所のイメージに合うかよく確認しましょう。
オオスカシバの発生は宿命みたいなものなので、イモムシ駆除が嫌であれば植えない方が無難です。

コメント

  • 実が熟しても割れないことから、口なしと名付けられたという説があります。実が割れないことは珍しいことではありませんが、実の形がクチバシに似ているからでしょうか。
  • オオスカシバの幼虫に毒はありません。薬剤耐性はやや強めなので、しっかり薬剤散布を行うか、目視で採集・駆除します。
  • クチナシは丈夫なので、よほどのことがない限りオオスカシバの食害で丸坊主にされても新芽が伸びて復活します。焦って株を抜いてしまわないようにしましょう。
  • クチナシとコクチナシを両方植えていると、明らかにクチナシの食害被害の方が大きいです。やはり大きくて食べやすい葉だからでしょうか。
  • オオスカシバは園芸ファンにとって悩ましい害虫ですが、昆虫ファンには人気がある虫のようです。蛾としては怖さがない蝶のようなツルンとした幼虫と、綺麗な色でスマートな姿の成虫、器用にホバリングをしながら蜜を吸う、といった特徴から、オオスカシバを飼うためにクチナシを植える人もいるほどです。
    ただ、クチナシはあくまで幼虫の食草なので、成虫がホバリングしながら蜜を吸う姿を見たいのであれば、クチナシではなくアベリアキバナコスモスなど蜜が豊富な樹木や草花を植えた方がよいでしょう。

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