花色:
学名:Clematis
科名:キンポウゲ科
分類:落葉〜常緑つる植物
原産地:北半球の温帯
大きさ:背丈50〜300cm以上、横幅30cm以上(つる性)
主な見所:花(5〜10月)※一季咲きや冬咲きのものもあり
美しい花、種類や品種も多数あることから、つる性植物の中でもっとも人気のあるもののひとつです。比較的丈夫な性質で誘引や剪定などの作業さえ怠らなければ花もよく咲きます。
花は花弁に見えるものはがく片で、花弁は小さいか、ないものが多いです。花色は豊富で主に青〜紫系・赤〜ピンク系、黄色系、白、復色があります。花の咲き方は一般的には中〜大輪の一重の花が出回りますが、種類により八重咲き、ベル型、チューリップ咲きなど様々です。
性質も落葉性のものから常緑のもの、一季咲きから四季咲きに近いもの、冬咲きのものなどがあります。種類が多いうえに多数の交雑・改良品種があるためコレクションする楽しみもあり、すでにバラなどにつぐ一大カテゴリーになっています。説明しきれないので個々の種類の特徴は主な品種の項を参照してください。
日当たりのよい場所で育てます。鉢植えの場合は真夏に遮光したほうがよいでしょう。水はけと水もちのよい土を好みます。乾燥に弱く、特に鉢植えでは注意が必要です。
深植えを好みます。植え付けの際は深めに穴を掘って植えつけましょう。
移植を嫌がるので植栽する場所はしっかり考えておきます。
豪華なものから野趣のあるものまで様々な品種を選べるので、洋風から和風、自然風いずれの庭にも合わせることができます。
アーチやトレリス、オベリスクなどに絡ませて用います。花色が豊富でイメージに合わせやすく、主張しすぎることも少ないのでとても使いやすいです。鉢植えであんどん仕立てにする場合でも、なにかしら他の植物を合わせてみるといいと思います。難しい場合は寄せ鉢にしましょう。
ちなみにバラと大輪系の品種はあまり相性がいいとは思えません。バラと合わせるなら小〜中輪多花性のビチオラ系やジャックマニー系の品種、その交配種が向いています。
フェンスに絡ませた植栽例。フェンスの目隠しのほか、花壇の背景にもなります。
オベリスクに絡ませた植栽例。
花が大きく花つきが良い品種は豪華な印象で洋風の庭向きですが、花が小さかったり花つきがまばらな品種は自然風の庭や和風の庭にも合います。
種類・品種が多岐にわたり様々な分類わけがあります。ここではその一例で紹介します。改良・交雑が盛んに行われているので、きちんとした系統分けは難しくなってきています。
種類の中でも性質が違うものもあり「多い」という言葉を使わざるを得ません。
○早咲き大輪系(パンテス系・ラヌギノーサ系の交配種など)
旧枝〜新旧枝咲き。早咲きの中〜大輪種が多いです。株が充実すると秋に咲くこともあります。花つきは良好。比較的丈夫で育てやすい。株は1.5〜2.5m程度の中型のものが多いです。
「クレマチスをメインに」と考えるならば、まずはこの品種郡から選んでみるとよいでしょう。
剪定は花後2〜3節下を切る弱剪定、冬は弱い枝を整理する程度にとどめます。
「ドクターラッペル」
ピンクの覆輪花が美しい有名品種。丈夫で育てやすい。
「ザ・プレジデント」
青紫の花が咲く、古くから定評のある品種。丈夫で育てやすい。
「ジョセフィーヌ」
ピンク花で万重咲き。
他にH.Fヤング(青紫花)、麻生(赤紫〜ピンクのグラデーション)、土岐(白花)など 。
○遅咲き大輪系(フロリダ系・ジャックマニー系・ビチオラ系との交配種など)
新枝〜新旧枝咲きで四季咲き(初夏・秋)。遅咲きで、大輪系とありますが花は中型のものが多いです。季節的にも、花の大きさ的にもバラと合わせやすいです。
とても丈夫な品種郡で、クレマチスが初めての方にもオススメできます。
花後と冬に強剪定します。
「コンテス・ド・ブウショウ」
淡ピンク花で花つきに優れています。丈夫で育てやすい。
「ビオラ」
濃紫花の品種。横〜やや下向きに咲きます。花つきにとても優れています。丈夫で育てやすい。
他にジャックマニー(青紫花)、ロマンチカ(濃紫花)、ピンク・ファンタジー(淡ピンク花)など。
○モンタナ系
旧枝咲き。早咲きの一季咲き(春〜初夏、一部遅咲きあり)。花期は短いですが、その分豪華に咲きそろいます。株は大型のものが多いです。
剪定は花後、冬ともに弱剪定〜邪魔な枝を切る程度。
エリザベス(淡ピンク花)、メイリーン(ピンク花)など。
○ビチオラ(ヴィチセラ)系
新枝咲きで四季咲き(初夏〜秋)。花は小〜中型で花つき良好。冬は地上部の大半が枯れます。
丈夫で育てやすいものが多いです。
花後と冬に強剪定します。
ロゼア(淡ピンク花でベル型)、マダム・ジュリア・コレボン(濃ピンク花で一重)など。
○インテグリフォリア系
新枝咲きで四季咲き(初夏〜夏)。小花が多い。花の形はつぼ型や浅い釣鐘型など。花つきは普通。つる性のもののほか、低木〜半つる性のものもあります。冬は地上部の大半が枯れます。
丈夫で育てやすい品種が多いです。
花後と冬に強剪定します。
「エリオステモン」
美しい青紫の花が下向きに咲きます。半つる性で丈夫な性質。
「ロウグチ」
濃紫花のベル型で木立性です。丈夫で育てやすい。
他にハクレイ(白花で低木性)など。
○テキセンシス系
新枝咲きで四季咲き(初夏〜秋)。花は小〜中型です。花の形がつぼ型やチューリップ型、開いた釣鐘型など変わったものが多い。チューリップ咲きのものは咲き進むと花弁(がく)が横に開きます。冬は地上部の大半が枯れます。
丈夫で育てやすいものが多いです。
花後と冬に強剪定します。
「プリンセスダイアナ」
美しい赤花のチューリップ咲き。暑さに強く丈夫です。
他にダッチエス・オブ・アルバニー(ピンク花のチューリップ咲き)など。
○アーマンディー系
早春に香りのよい白花を咲かせます。硬質の葉は常緑でつるは太くなります。
寒さにやや弱く関東以西の温暖地向きです。
伸びすぎた枝を切る程度の弱剪定します。
○アーマンディー(C. armandii)
早春に香りのある白花が咲きます。常緑で硬質の葉が特徴です。
○原種系
早春に香りのよい白花を咲かせます。硬質の葉は常緑でつるは太くなります。寒さにやや弱く関東以南向きです。
伸びすぎた枝を切る程度の弱剪定します
○テッセン(C. florida)
東アジア原産。大輪系の園芸品種の元親としても有名です。遅咲き大輪系(フロリダ系)に入れられることもあります。
性質は遅咲き大輪系に準じます。
○カザグルマ(C. patens)
日本、東アジア原産。大輪系の園芸品種の元親としても有名です。早咲き大輪系(パンテス系)に入れられることもあります。性質は早咲き大輪系に準じます。
外国産種ばかりに注目が集まりますが、日本でもカザグルマやテッセンをもとに改良品種が作られていました 。
他にも多数の品種や系統が出回ります。
オススメ度:★★★★★
美しい花、丈夫な性質、選ぶ楽しみ、どれをとっても優秀な花。ハダニ以外の病害虫に悩まされにくいのもポイントです。
ただ、誘引や剪定などで上手に管理してあげることも必要で、放任栽培というわけにはいきません。