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ガーデニング・園芸に用いられる植物の中で私が栽培したことのある種類を図鑑にしています

バラ

ブッシュ(立性)つるバラ(CL、つる性)
1枚目:ブッシュ(立性)・2枚目:つるバラ(CL、つる性)

ハイブリッドティー(HT、大輪咲き)フロリパンダ(FL、中輪房咲き)
1枚目:ハイブリッドティー(HT、大輪咲き)・2枚目:フロリパンダ(FL、中輪房咲き)

シュラブ(S、半つる性)ミニチュア(Min、矮性)
1枚目:シュラブ(S、半つる性)・2枚目:ミニチュア(Min、矮性)

オールドローズ原種系
1枚目:オールドローズ・2枚目:原種系

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バラのデータ

花色:赤赤橙ピンク薄ピンク赤紫紫薄紫薄青オレンジ黄色白ライムグリーン複色
学名:Rosa
科名:バラ科
分類:落葉低木
原産地:園芸品種(原種は北半球の各地原産)
大きさ:背丈15〜200cm(以上)、横幅15〜200cm(以上)、小葉2〜6cm(互生)
主な見所:花(5〜11月)※最盛期は初夏と秋。※初夏の一季咲き種もあり

バラの特徴

観賞用はもちろん、香料を取るための実用種まで様々な改良・交雑品種が作られています。
作成された時期で、ハイブリッドティーが作出された以降の品種であるモダンローズと、それ以前の品種であるオールドローズ、原種系に分かれます。一般的に出回る品種はほとんどがモダンローズです。
花の系統で大きく分けるとハイブリッドティー(HT、大輪四季咲き)、フロリパンダ(FL、中輪房咲きで四季咲き)になり、ここからさらに細分化されます。
樹形ではブッシュ(立性)・つるバラ(CL、つる性)・シュラブ(S、半つる性)・ミニチュア(Min、矮性)に分かれます。場合によってはノイバラ系とコウシンバラの交配種のポリアンサ(Pol、背丈が低い房咲き)や、オールドローズとの交配種であるイングリッシュローズなど、さらに細かく分かれます。
花は八重咲きが一般的ですが、一重や千重咲きもあります。花色は青と黒以外はほとんどそろいます。青いバラといわれているものは大半が紫がかっており、通常求めることができるもので本当に青いバラはまだありません。黒バラも真っ黒ではありません。それらを考慮しても花色の多さは特異です。香りの優れた品種が多いですが、中にはほとんど香りのないものもあります。葉はやや濃いめの緑色で羽状複葉、小葉は広楕円形で鋸歯があります。品種により葉の照り具合が異なります。枝にはおなじみのトゲがあり、かなり鋭く扱いには注意が必要です。一部の品種は果実も観賞対象になります。
多くの品種が病害虫に弱いのですが、株自体は丈夫で簡単には枯れません。

  • 難易度: 品種によりかなりの幅があります。
  • 日照量: 半日陰で育つ品種もありますが、大抵は日当たりのよい場所を好みます。
  • 水分量: 水はけのよい土を好みますが、強い乾燥も苦手です。
  • 耐寒性: 耐寒性は強いです。
  • 成長速度:普通〜早い 品種により多少違いがあります。つるバラは早い。
  • 移植:落葉期 移植はやさしい。落葉期なら大株も移植可能。ただし、つるバラの大株は新しい株を買って植えた方が現実的でしょう。

バラの育て方

育てること自体はさほど難しくありませんが、美しい姿を維持するために管理を必要とする花木です。
日当たりと風通しのよい場所を好みます。ミニチュアなど性質の強い系統は半日程度の日射でも花をつけますが、そのぶん花つきは悪くなります。肥沃で水はけがよく、やや水もちのよい土を好みます。
病害虫は気をつけていても発生してしまうものなので、予防的に薬剤を散布したり、なるべく病害虫に耐性のある品種を選ぶようにします。特にうどんこ病耐性があるかは初心者には重要です。
購入株には新苗(春に出回る花つき苗)と大苗(落葉した大株)があります。大苗のほうが安定感があるので初心者には育てやすいです。

  • 管理:適期に剪定します。病害虫には常に気をつけます。発見が早いほど処置も楽になります。
  • 剪定:バラの剪定は四季咲き、一期咲き、つるバラで異なるのですが、花後に切り戻し剪定を行い、冬〜早春に弱い枝を整理することを共通して行います。枝を切るときは芽が株の外側に向いていることを基本にします。またつるバラには整枝作業が必要です。
    ○花後の剪定:共通で花がらのついている2〜3節下あたりで切り戻します。
    ○夏剪定:四季咲き種は2番花が咲いた後の夏(8月下旬〜9月上旬ごろ)に株全体を少し(3分の2残し程度)切り戻して秋の開花に備えます。一期咲きやつるバラは夏剪定は不要。
    ○冬〜早春の剪定:共通で交差した枝や込み合った枝、弱い枝、3〜4年目以上の古い枝を基部から切り取ります。つるバラ以外は株元から出た前年のシュートを50cm程度残して切り戻し、さらに株全体を充実した芽のある位置(株の半分〜3分の2残し程度)までやや強めに切り戻します。つるバラは先端を50cm程度切り戻し、3年目以上たった枝は基部から切り取ります。
    ○つるの整枝:つるバラの整枝・誘引は冬(12〜1月)に行います。フェンスやアーチ、ポールなど様々な仕立て方がありますが、どのような仕立て方でも、なるべくつるが水平になる距離が長くなるよう誘引します。つるは無理に曲げず、なるべく緩く誘引しましょう。
    上記はあくまで原則みたいなものなので品種や成長具合、株の状態などで適切変えます。結局は経験で学ぶのが手っ取り早いです。
  • 肥料:肥料食いがよいので、地植えの場合は、植えつける穴に堆肥などを混ぜ肥沃な土にしてから、遅効性肥料を根から離して施します。翌冬も同じように遅効性肥料を与えます。
    鉢植えの場合は、長く効く緩効性化成肥料を与えるほうが安全で管理もしやすくなります。肥料を好む一方で、多肥にすると軟弱に育ちやすいためバランスを取るのは経験が必要です。
  • 病害虫:害虫はアブラムシ、イモムシ、ハダニ、ハバチ、テッポウムシなど。病気はうどんこ病、黒星病、灰色かび病、根頭がん種病など。特にアブラムシ、うどんこ病、黒星病が多発します。品種による病害虫の耐性の強弱も激しいです。うどんこ病や黒星病はバラの宿命ともいえる病気なので、病気に弱い品種は定期的に薬剤をまくことも考慮しましょう。
    黒星病
    ハダニ

バラのアレンジ

基本的には洋風の庭に合いますが、品種を選べば自然風や和風の庭にも合わせられます。
単独でも見栄えがするうえ、管理を必要とする花木なので、単植や郡植で用いられます。開花期以外はそれほど美しい姿ではないので、そのような意味でも単植や郡植が向いています。花壇で他の花と合わせる場合はポリアンサローズなど性質が強いものを選びます。鉢植えは寄せ鉢が無難です。ミニチュアなら性質的に寄せ植えにも使えないことはないですが、無理に使うこともないでしょう。

バラの主な品種

非常にたくさんの品種があり、しかも毎年多数の改良品種がうまれます。バラ栽培の初心者は花の美しさだけでなく、性質の丈夫さも必ず確認しましょう。
古くから知られる育てやすい名花は…。
HT:クイーンエリザベス、聖火、パスカリ、パパ・メイアン、ピース、プリンセス・ドゥ・モナコ、ブルームーン、ホワイトクリスマス、マリア・カラス、ミスター・リンカーンなど。
FL:アイスバーグ、チャールストン、ベビーブレーズ、ホットココア、ラバグルートなど。
CL:アンクルウォルタ―、ウルメール・ミュンスター、ニュー・ドーン、ピエール・ド・ロンサール、安曇野など。
S:カクテル、グラハム・トーマス、ローブリッター、ラベンダードリームなど。
Min:シンデレラ、スタリナ、ベビーマスケラード、ロズマリン、ヤメツヒメ、紅姫など。
原種系:ナニワイバラ、モッコウバラなど。
Pol:ザ・フェアリー、よろこびなど。
があります。
最新の改良種の中には性質が弱いものもあるので、初めての方は古くから定評のある品種で腕を磨くのもよいと思います。また、ミニチュア系統のバラは丈夫でよく咲くものが多く、花は豪華ではないけれど、使い方しだいではHTやFLよりも効果的な魅せ方ができます。


■咲き方の説明
四季咲き:剪定で定期的(主に初夏と秋)に咲かせるもの。
一季咲き:ほぼ春〜初夏だけに咲くもの。
繰り返し咲き(返り咲き):春〜初夏に咲かせた後、不定期に断続的に咲くもの。


ハイブリッドティー(HT、大輪四季咲き)

クイーンエリザベス
クイーンエリザベス
大輪でやや香りがよい強健種。花つきが良く、株が大きくなるのが特徴。
最も定評がある品種のひとつ。

聖火
聖火
大輪種。日本で作出された丈夫な品種。

ピース
ピース
巨大輪で香りがよい強健種。最も定評がある品種のひとつ。

プリンセス ドゥ モナコ
プリンセス・ドゥ・モナコ
巨大輪で強健種。香りはやや弱め。覆輪のピンク色の濃さには変化があります。
株はやや低めに育ち、花つきはあまり良くありませんが美しい花です。

ブルームーン
ブルームーン
大輪で香りのよい品種。藤色の花を咲かせますが、温度等による花色の変化が大きいです。
藤色〜紫色系の品種の中でも育てやすい品種の一つ。

ホワイトクリスマス
ホワイトクリスマス
巨大輪で香りがよい強健種。白系では最も定評がある品種のひとつ。

マリア・カラスマリア・カラス
マリア・カラス
花弁が多い巨大輪で香りのよい強健種。株はやや大きめに育ちます。
育てやすく、花壇の寄せ植えにも向いています。

ミスター・リンカーン
ミスター・リンカーン
巨大輪で香りがよい非常に強健な品種。最も定評がある品種のひとつ。
耐病・耐虫性があり育てやすいです。


フロリパンダ(FL、中輪房咲きで四季咲き)

アイスバーグ
アイスバーグ
別名:シュネービッチェン。花つき花もちがよい強健種。最も定評がある品種のひとつ。
育てやすく、花壇の寄せ植えにも向いています。

チャールストン
チャールストン
変わり咲きの代表的な品種。

ラバグルート
ラバグルート
濃いビロードのような赤色の品種。丈夫で花もちが良い。


つるバラ(CL(クライミング・ローズ)、つる性)

ウルメール・ミュンスター
ウルメール・ミュンスター
繰り返し咲き。大輪で花もちが良い強健種。花つきはやや悪い。

ピエール ドゥ ロンサール
ピエール・ドゥ・ロンサール
繰り返し咲き。巨大輪で花弁が多く、花つきが良い強健種。豪華で美しいうえに、耐病性があり丈夫という非常に優れた品種で高い人気があります。

安曇野
安曇野
一季咲き。花も葉も小さい品種。つるバラにしてはコンパクトにまとまります。


シュラブ(S、半つる性)

カクテル
カクテル
繰り返し咲き。中輪で花つきが良い強健種。樹勢が非常に強くつるが良く伸びるため、一般的にはつるバラとされています。


グラハム・トーマス
繰り返し咲き。大輪で香りがあります。イングリッシュローズの有名品種。樹勢が強くつるが良く伸びるため、つるバラとして扱うこともできます。

ローブリッター
ローブリッター
一季咲き。小輪で花つき花もちがよい品種。ややうどん粉病に弱い。


ミニチュア(Min、矮性)

紅姫
紅姫
四季咲きの極小輪種。日本で作出された非常に強健な品種。


原種系

モッコウバラ(黄八重)
黄八重モッコウバラR. banksiae lutea
一季咲き。八重咲きの黄色花。枝にトゲがないのが特徴。小輪種で香りはほとんどありません。耐病・耐虫性があり強健ですが、樹勢が非常に強く管理はやや大変。
モッコウバラには他に一重咲き種や白花種もありますが、たんにモッコウバラという場合はだいたい写真の黄八重モッコウバラを指すことが多いです。


ポリアンサ(Pol、背丈が低い房咲き)

よろこび
よろこび
四季咲き。小輪種で樹勢が強く、花壇にも向く。日本で作出された強健な品種。

その他の写真

バラのトゲ
品種にもよりますがトゲは非常に鋭いので、剪定時にバラ用の手袋などでガードしたいです。
トゲがない品種(鎌倉など)もありますが選択肢が限られてしまいます。

バラの幹
品種(写真はパパ・メイアン)によっては枝が太く立派になります。

ローズヒップ(赤色実)ローズヒップ(黄色実)
バラの実。ローズヒップと呼ばれています。一重咲きで一季咲きのつるバラや原種に近い品種を中心に実を楽しむこともできます。実の色は赤色が多いですが黄色のものもあります。
なお、八重咲きも品種は実がなりません。

バラの個人的な印象

オススメ度:★★★★★★★
すでにバラのみでひとつのジャンルとして定着しています。バラにこだわりだすと他に手が回らなくなります。どのような庭(バラ主体かどうか)を目指すかでその評価も変わってくるでしょう。

コメント

  • 樹形は好みが分かれますが、花の美しさはやはりbP。香りも優れています。鋭いトゲ、簡単には枯れない強い樹勢を持ちながら病害虫に弱いことも含め、なんとも極端な花木です。
  • 海外で高く評価されているバラでも、日本の気候には合わない品種もあります。日本の気候で長く栽培された品種や、その改良種から選ぶと間違いありません。
  • つるバラ(シュラブ系統の大きく育つ品種も含む)は整枝の手間が厄介なので、バラ栽培に慣れてから育てた方がよいでしょう。
  • 品種名の説明にある「病気に強い」と「病気にかかりにくい」はイコールではありません。多少の被害にあっても成長し、花を咲かせる品種を「病気に強い」としていることが多いです。
    バラに病気はつきものと考えて、常に観察を行うことが大切だと思います。
  • ここでは一般的な育て方のみ扱っています。品種によっては育てづらかったり、病害虫が多かったり、剪定の方法が原則と異なるものもあります。各品種ごとにバラを詳しく知りたいなら、バラを専門で扱っているウェブサイトや本などを参考にしてください。バラ専門の通販会社のウェブサイトも参考になると思います。
  • 主な品種にあるような丈夫なバラを育てるならば、ここにある知識でも十分事足りると思います。頭でっかちになるよりも、経験を増やすために挑戦あるのみです。

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