1枚目:ブッシュ(立性)・2枚目:つるバラ(CL、つる性)
1枚目:ハイブリッドティー(HT、大輪咲き)・2枚目:フロリパンダ(FL、中輪房咲き)
1枚目:シュラブ(S、半つる性)・2枚目:ミニチュア(Min、矮性)
1枚目:オールドローズ・2枚目:原種系
花色:
学名:Rosa
科名:バラ科
分類:落葉低木
原産地:園芸品種(原種は北半球の各地原産)
大きさ:背丈15〜200cm(以上)、横幅15〜200cm(以上)、小葉2〜6cm(互生)
主な見所:花(4〜11月)※最盛期は初夏と秋。※春〜初夏の一季咲き種もあり
観賞用はもちろん、香料を取るための実用種まで様々な改良・交雑品種が作られています。
作成された時期で、ハイブリッドティーが作出された以降の品種であるモダンローズと、それ以前の品種であるオールドローズ、原種系に分かれます。一般的に出回る品種はほとんどがモダンローズです。
花の系統で大きく分けるとハイブリッドティー(HT、大輪四季咲き)、フロリパンダ(FL、中輪房咲きで四季咲き)になり、ここからさらに細分化されます。
樹形ではブッシュ(立性)・つるバラ(CL、つる性)・シュラブ(S、半つる性)・ミニチュア(Min、矮性)に分かれます。場合によってはノイバラ系とコウシンバラの交雑種のポリアンサ(Pol、背丈が低い房咲き)や、オールドローズとの交配種であるイングリッシュローズなど、さらに細かく分かれます。
花は八重咲きが一般的ですが、一重や千重咲きもあります。花色は青と黒以外はほとんどそろいます。青いバラといわれているものは大半が紫がかっており、通常求めることができるもので本当に青いバラはまだありません。黒バラも真っ黒ではありません。それらを考慮しても花色の多さは特異です。香りの優れた品種が多いですが、中にはほとんど香りのないものもあります。
葉はやや濃いめの緑色で羽状複葉、小葉は広楕円形で鋸歯があります。品種により葉の表面のツヤ具合が異なります。枝にはおなじみのトゲがあり、かなり鋭く扱いには注意が必要です。一部の品種は果実も観賞対象になります。
多くの品種が病害虫に弱いのですが、株自体は丈夫で簡単には枯れません。
育てること自体はさほど難しくありませんが、美しい姿を維持するために管理を必要とする花木です。
日当たりと風通しのよい場所を好みます。ミニチュアなど性質の強い系統は半日程度の日射でも花をつけますが、そのぶん花つきは悪くなります。肥沃で水はけがよく、やや水もちのよい土を好みます。
病害虫は気をつけていても発生してしまうものなので、予防的に薬剤を散布したり、なるべく病害虫に耐性のある品種を選ぶようにします。特にうどんこ病耐性があるかは初心者には重要です。
購入株には新苗(春に出回る花つき苗)と大苗(落葉した大株)があります。大苗のほうが安定感があるので初心者には育てやすいです。
基本的には洋風の庭に合いますが、品種を選べば自然風や和風の庭にも合わせられます。
単独でも見栄えがするうえ、管理を必要とする花木なので、単植や郡植で用いられます。開花期以外はそれほど美しい姿ではないので、そのような意味でも単植や郡植が向いています。花壇で他の花と合わせる場合はポリアンサローズなど性質が強いものを選びます。鉢植えは寄せ鉢が無難です。ミニチュアなら性質的に寄せ植えにも使えないことはないですが、無理に使うこともないでしょう。
非常にたくさんの品種があり、しかも毎年多数の改良品種がうまれます。バラ栽培の初心者は花の美しさだけでなく、性質の丈夫さも必ず確認しましょう。
下記に、古くから知られる育てやすい名花を列記します。
HT:クイーンエリザベス、聖火、パスカリ、パパ・メイアン、ピース、プリンセス・ドゥ・モナコ、ブルームーン、ホワイトクリスマス、マリア・カラス、ミスター・リンカーンなど。
FL:アイスバーグ、チャールストン、ベビーブレーズ、ホットココア、ラバグルートなど。
CL:アンクルウォルタ―、ウルメール・ミュンスター、ニュー・ドーン、ピエール・ド・ロンサール、安曇野など。
S:カクテル、グラハム・トーマス、ローブリッター、ラベンダードリームなど。
Min:オーバーナイトセンセーション、シンデレラ、スタリナ、ベビーマスケラード、ロズマリン、ヤメツヒメ、紅姫など。
原種系:ナニワイバラ、モッコウバラなど。
Pol:ザ・フェアリー、よろこびなど。
最新の改良種の中には性質が弱いものもあるので、初めての方は古くから定評のある品種で腕を磨くのもよいと思います。また、ミニチュア系統のバラは丈夫でよく咲くものが多く、花は豪華ではないけれど、使い方しだいではHTやFLよりも効果的な魅せ方ができます。
■咲き方の説明
四季咲き:剪定で定期的(主に初夏と秋)に咲かせるもの。
一季咲き:ほぼ春〜初夏だけに咲くもの。
繰り返し咲き(返り咲き):春〜初夏に咲かせた後、不定期に断続的に咲くもの。
○ハイブリッドティー(HT、大輪四季咲き)
「クイーンエリザベス」
大輪でやや香りがよい強健種。花つきが良く、株が大きくなるのが特徴。
最も定評がある品種のひとつ。
「聖火」
大輪種。日本で作出された丈夫な品種。
「ピース」
巨大輪で香りがよい強健種。最も定評がある品種のひとつ。
「プリンセス・ドゥ・モナコ」
巨大輪で強健種。香りはやや弱め。覆輪のピンク色の濃さには変化があります。
株はやや低めに育ち、花つきはあまり良くありませんが美しい花です。
「ブルームーン」
大輪で香りのよい品種。藤色の花を咲かせますが、温度等による花色の変化が大きいです。
藤色〜紫色系の品種の中でも育てやすい品種の一つ。
「ホワイトクリスマス」
巨大輪で香りがよい強健種。白系では最も定評がある品種のひとつ。
「マリア・カラス」
花弁が多い巨大輪で香りのよい強健種。株はやや大きめに育ちます。
育てやすく、花壇の寄せ植えにも向いています。
「ミスター・リンカーン」
巨大輪で香りがよい、非常に強健な品種。最も定評がある品種のひとつ。
耐病・耐虫性があり育てやすいです。
○フロリパンダ(FL、中輪房咲きで四季咲き)
「アイスバーグ」
別名:シュネービッチェン。花つき花もちがよい強健種。最も定評がある品種のひとつ。
育てやすく、花壇の寄せ植えにも向いています。
「チャールストン」
変わり咲きの代表的な品種。
「ラバグルート」
濃いビロードのような赤色の品種。丈夫で花もちが良い。
○つるバラ(CL(クライミング・ローズ)、つる性)
「ウルメール・ミュンスター」
繰り返し咲き。大輪で花もちが良い強健種。花つきはやや悪い。
「ピエール・ドゥ・ロンサール」
繰り返し咲き。巨大輪で花弁が多く、花つきが良い強健種。
豪華で美しいうえに、耐病性があり丈夫という非常に優れた品種で高い人気があります。
「安曇野」
一季咲き。花も葉も小さい品種。つるバラにしてはコンパクトにまとまります。
○シュラブ(S、半つる性)
「カクテル」
繰り返し咲き。中輪で花つきが良い強健種。
樹勢が非常に強くつるが良く伸びるため、一般的にはつるバラとされています。
「グラハム・トーマス」
繰り返し咲き。大輪で香りがあります。イングリッシュローズの有名品種。
樹勢が強くつるが良く伸びるため、つるバラとして扱うこともできます。
「ローブリッター」
一季咲き。小輪で花つき花もちがよい品種。ややうどん粉病に弱い。
○ミニチュア(Min、矮性)
「オーバーナイトセンセーション」
四季咲きの中輪種。ミニチュア系の中では大きな花を咲かせます。
非常に香りが強い品種です。
「紅姫」
四季咲きの極小輪種。日本で作出された非常に強健な品種。
○原種系
○黄八重モッコウバラ(R. banksiae lutea)
一季咲き。八重咲きの黄色花。枝にトゲがないのが特徴。小輪種で香りはほとんどありません。開花が早く関東以西の温暖地では4月下旬頃に満開になります。
耐病・耐虫性があり強健ですが、樹勢が非常に強く管理はやや大変です。
モッコウバラには他に一重咲き種や白花種もありますが、たんにモッコウバラという場合はだいたい写真の黄八重モッコウバラを指すことが多いです。
黄八重モッコウバラと白花モッコウバラを隣り合わせで植えた例。
豪華ながら、どことなく野趣があります。
○ポリアンサ(Pol、背丈が低い房咲き)
「よろこび」
四季咲き。小輪種で樹勢が強く、花壇にも向く。日本で作出された強健な品種。
品種にもよりますがトゲは非常に鋭いので、剪定時にバラ用の手袋などでガードしたいです。
トゲがない品種(鎌倉など)もありますが選択肢が限られてしまいます。
品種(写真はパパ・メイアン)によっては枝が太く立派になります。
バラの実。ローズヒップと呼ばれています。一重咲きで一季咲きのつるバラや原種に近い品種を中心に実を楽しむこともできます。実の色は赤色が多いですが黄色のものもあります。
なお、八重咲き品種は実がなりません。
オススメ度:★★〜★★★★★
すでにバラのみでひとつのジャンルとして定着しています。バラにこだわりだすと他に手が回らなくなります。どのような庭(バラ主体かどうか)を目指すかでその評価も変わってくるでしょう。
花の美しさは非常に素晴らしいですが、樹形が乱れやすく剪定や誘引の腕が問われ、病害虫にも弱いなど、マイナス面も目立ちます。