シラカシ
アラカシ
ウバメガシ
葉色:
学名:Quercus
科名:ブナ科
分類:常緑高木〜小高木
原産地:日本、東アジア
大きさ
シラカシ:背丈1.5〜5m(20m)、横幅0.8〜3m(8m)、葉4〜12cm(互生)
アラカシ:背丈1.5〜5m(20m)、横幅0.8〜3m(10m)、葉7〜12cm(互生)
ウバメガシ:背丈1〜3m(10m)、横幅0.5〜1.5m(6m)、葉3〜5cm(互生)
主な見所:葉(周年)
常緑のカシの仲間で庭木としてよく用いられるのは、やや大きくなるシラカシとアラカシ、比較的小型のウバメガシがあります。他にもアカガシ、ウラジロガシ、イチイガシなどがありますが上記3種ほど一般的ではありません(個々の説明は主な品種を参照)。
シラカシは比較的寒さに強く東北以南から関東にかけて育てられます。それより西の温暖地ではアラカシがよく見られます。ウバメガシは関東以西の海岸地方に自生し、葉が硬めで小さく、他種と比べて印象はだいぶ異なります。
いずれの種類も花や実を楽しむというより主に生垣や風除けとして実用目的で植栽されていますが、シラカシやアラカシは自然風の庭で単植や寄せ植えにされたり、ウバメガシは刈り込みものとして用いられることもあります。
日本の山野で普通に見られるように非常に丈夫な樹木。日当たりのよい場所から日陰いずれにも耐えて生育します。水はけ水もちのよい肥沃な土の場所を好みますが、湿潤地から乾燥地まで耐えます。
弱点は移植で、根付くまでが育成のポイントといえるほどです。大きくなるまで時間がかかりますが小さなポット苗から育成するか、苗木の葉や枝を切り払いほとんど棒状にして株の負担を減らしてから植栽するなど配慮が必要になります。すでに育っている庭木の移植は丁寧な根回しが必要で、細根の発生もあまりよくないため難しいです。
生垣で用いるのが普通です。シラカシは葉が細く上品な印象を与えるので普通の生垣や境裁に向いています。アラカシは葉幅が広く大味な印象で、広い場所や公道側の生垣に向いています。ウバメガシは葉が小さく刈り込めば遮蔽性が高く実用性があります。また潮風や乾燥に強いので海岸地方にも向いています。
伝統的な高垣(風を遮ることが主な目的の背丈の高い生垣)は自分で管理することが難しくなるので、庭師さんを頼んでいるような人向けです。
棒状、あるいは株立ち状にしたものを自然風の庭の寄せ植えや主木に用いることもできます。花や実は楽しめませんが里山的な雰囲気を楽しめます。形が作りやすいウバメガシを刈り込みものとして用いることもあります。
シラカシとアラカシ、ウバメガシが一般的ですが、地域によってはその他の品種の方がよく育てられていることもあります。
○シラカシ(Q. myrsinaefolia)
他の種類に比べ寒さに強く、主に東北南部から関東地方で育てられます。葉や樹形が細長くなるため他の種類に比べ上品な印象を与えます。その分、生け垣の遮蔽性はアラカシやウバメガシに劣ります。新芽が赤くなるのも特徴です。
○アラカシ(Q. glauca)
主に関西の温暖地で育てられますが関東地方でも十分育ちます。葉の荒い鋸歯が目立ちます。生垣の場合は葉や樹形が幅広くなるため、シラカシに比べ繊細さは薄れますが実用性は上。主木や寄せ植えで用いられる場合は株立ちのものを使用することも多いです。
○ウバメガシ(Q. phillyraeoides)
主に関東南部以西で育てられます。葉はやや丸まり、鋸歯が緩く入ります。新緑の葉色は黄色みがありますが徐々に緑が濃くなります。新梢に毛が生えます。寒さにはやや弱いものの海岸地方に自生しているため海風や乾燥に強いです。葉が小さく密につくため実用性が高く、刈り込みものにも使えます。
○アカガシ(Q. acuta)
全体的な印象はアラカシに似ています。葉の鋸歯がないのが特徴。
○ウラジロガシ(Q. salicina)
中部地方でよく植栽されています。全体的な印象はシラカシに似ていますが、葉裏がシラカシよりもさらに白いのが特徴。
○イチイガシ(Q. gilva)
挙げた種類の中では一番樹高が高くなり(30m)、暖地を好むため主に九州地方で植栽されています。寒い地方ではあえて選択する必要はないでしょう。
オススメ度:★★★★
丈夫で実用的な生垣としておすすめ。また里山風な雰囲気を出す際にも使えますが、地味な樹木なので使いどころは間違えないようにします。
移植に難があるのと、茂りやすく剪定の手間がかかるのがマイナスポイント。