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ガーデニング・園芸に用いられる植物の中で私が栽培したことのある種類を図鑑にしています

カラタネオガタマ

カラタネオガタマカラタネオガタマの花

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カラタネオガタマのデータ

花色:
学名:Magnolia figo
別名:トウオガタマ、バナナノキ
科名:モクレン科
分類:常緑小高木
原産地:東アジア
大きさ:背丈1.0m〜3.0m(5m)、横幅0.5m〜2.5m、葉4〜8cm前後(互生)
主な見所:花(5〜6月)

カラタネオガタマの特徴

東アジア南部原産の常緑樹で、日本には江戸時代に渡来しました。
花は花弁3枚、がくが3枚の構成で、花弁とがくの違いが分かりづらくなっています。花色は黄白色ですが、赤紫色の品種もあります。花にバナナに似た芳香があります。葉は楕円形で全縁。葉色は常緑樹としてはやや明るめの緑色です。つぼみや葉柄に褐色の毛が生えています。株は全体的にこんもりとし、仕立て方にもよりますがやや重めな印象になります。
寒さにやや弱いものの、南関東沿岸部程度の寒さなら屋外でも冬を越します。

  • 難易度: 比較的丈夫です。
  • 日照量: 日当たりのよい場所を好みますが、半日陰でも育ちます。
  • 水分量: 適潤を好み、強い乾燥は苦手です。
  • 耐寒性: 寒さには比較的弱く、関東地方以西の温暖地〜暖地推奨。
  • 成長速度:やや遅い 成長はやや遅いです。
  • 移植適期:6月〜7月 移植はやや難しく、特に成木は困難。

カラタネオガタマの育て方

比較的丈夫な樹木で、適地に植栽できれば困ることは少ないでしょう。
日当たりのよい場所に植えます。半日陰でも育ちますが、徒長しやすくなるうえ花つきも悪化します。肥沃な適潤地を好み、強く乾燥するような場所は苦手です。
耐寒性がやや弱く寒冷地では育てにくいです。温暖地でもなるべく冬に霜や寒風に当たりにくい場所に植栽するとよいでしょう。

  • 管理:株がまだ小さいうちは、花が終わったらタネをつけないように花がらを取り除き、冬は寒さが厳しい時は寒冷紗等で保護したり、鉢植えであれば霜の当たらない場所に移動しましょう。
    どちらも大きくなれば不要です。
  • 剪定新芽が固まらない時期以外はいつでも(花後)
    成長が遅いうえ自然と樹形は整うので、普段は飛び出し枝やふところ枝を切る程度の剪定でよいです。時期は新芽が柔らかい時期以外はいつでも可能です。
    株が大きくなりすぎて管理が難しくなったら、花後に全体を刈り込みます。
  • 肥料:早春に寒肥を規定量与えます。問題なく育ち、花もよく咲くようなら無理に与えなくて構いません。
  • 病害虫:通風が悪いとカイガラムシが発生しやすいです。すす病も併発するので早めに駆除したいです。

カラタネオガタマのアレンジ

和風の庭によく合いますが、洋風の庭にも合います。一方で、こんもりした印象が自然風の庭では合わせにくいです。
やや重めの樹形なので単独で植えるのが良いでしょう。寄せ植えや根じめにはあまり向いていません。
地植えに向いていますが、成長が遅いので鉢植えも可能です。大鉢に単独で植えるのが良いでしょう。

カラタネオガタマの主な品種

花色違いの品種が出回っています。

黄白色が強いポートワイン赤紫色が強いポートワイン
ポートワイン
ポピュラーな改良品種。花色が赤紫になります。ただ、写真のように個体や条件によって赤紫色の出方が多少異なります。できればラベルではなく咲いた花を見て購入したいです。

パープルクィーン」:花が濃いめの赤紫色になります。店頭では見かける機会は少なく通販で求めるのが確実でしょう。

その他の写真

カラタネオガタマの花のアップ
カラタネオガタマの花のアップ。花色は白ではなく黄色みが強いです。
花の縁が赤紫色、花の内側も赤紫色が混じります。

満開時のカラタネオガタマ
満開時のカラタネオガタマ。花つき良好ですが、前述のように黄色みが強い花色のため、株全体に花をつけてもあまり目立たないことは留意すべきです。改良品種のポートワインなどであれば多少改善されますが、それでも目を引くほどの花色ではありません。

カラタネオガタマの葉のアップ
カラタネオガタマの葉のアップ。ツヤがあります。

カラタネオガタマのつぼみのアップ
カラタネオガタマのつぼみのアップ。褐色の毛が生えているのがわかります。

カラタネオガタマの実
秋に熟したカラタネオガタマの実。観賞価値はあまりありません。

カラタネオガタマの樹皮
カラタネオガタマの樹皮。灰色〜灰褐色。

カラタネオガタマの個人的な印象

オススメ度:★★★
管理しやすく丈夫な樹木で、冬越ししやすい温暖地や暖地でおすすめできます。
全体的にこんもりした重めな樹形なのと、花があまり目立たない点には留意しましょう。

コメント

  • 香りの強さは時間帯や条件によって変化します。
  • 成長が遅いため剪定はあまりせず自然樹形を楽しみますが、最終的には比較的大きくなります。樹形もこんもりするため余計に重々しく感じられます。
    狭い土地に植栽する場合は、大きくなる前に主幹を切る等の剪定をした方が良いでしょう。
  • 花が目立たないというのは悪いことだけではなく、しっとりとした和風庭園などの落ち着いた印象の庭には、むしろ好んで植栽したくなる樹木になります。
  • 日本にも自生のある常緑高木のオガタマノキ(M. compressa)があり、それに似ている中国から渡来した植物のためカラタネ(唐種)オガタマと呼ばれています。
    なお、オガタマノキは20m近い高木になり、花の香りはバナナには似ていません。
  • オガタマの名は招霊(おきたま/おぎたま)が転訛したものとされ、木の枝を神前に供えて神霊を招くのに用いられたとされています。そのためオガタマノキはもちろん近縁種であるカラタネオガタマも神社によく植栽されています。

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