花色:
学名:Verbascum
科名:ゴマノハグサ科
分類:多年草(常緑)
原産地:ヨーロッパ南部、西アジアほか
大きさ:背丈30〜200cm、横幅20〜80cm
主な見所:花(4〜7月)
バーバスカムの仲間では大型のビロードモウズイカが以前から植えられてきましたが、園芸では見かける機会が減ってきています。ですが、最近では比較的小型で花色豊富なフォエニセウムの改良品種が出回り再び注目されるようになりました。
花は長い花茎を伸ばして総状に咲き、花色は黄色、薄黄色、薄ピンク、濃紫、白などがあります。花は下側から咲き上がってきます。高性種と矮性種があり、両者で花茎の伸びがかなり違います。葉は楕円〜長卵形でしわが目立ちます。ビロードモウズイカは白い毛が生えシルバー色ですが、フォエニセウム系は毛がなく濃緑色です。株は低いロゼット型で花期になると長い花茎を伸ばします。
日当たりと水はけのよい場所に植えます。乾燥には強いですが、ジメジメした環境は苦手です。特に夏は注意が要ります。フォエニセウムは二年草扱いにされることもありますが、風通しと水はけに配慮すれば暖地でも夏越しは十分可能。一方でビロードモウズイカの花後の夏越しは難しいです。
洋風や自然風の庭に合います。和風の庭にはあまり合いません。
フォエニセウムは花茎が長いのでボーダーガーデンによく用いられます。一株では目立ちにくく、ある程度株数をまとめて植えると効果的です。花が咲いたあとはロゼットだけの低い背丈になるため、広めのボーダー花壇でないと、そこだけ変に空間が開けてしまうことになります。過湿になりやすい条件の悪い庭では、雨を避けるために鉢植えで単植するのが現実的かもしれません。
ビロードモウズイカに代表されるシルバーリーフの品種郡もボーダーガーデンに向いています。とても大きくなるので狭い庭では使いづらいです。
フォエニセウム系の改良品種がポピュラーです。その他にもいくつか種類が出回っています。
大型のビロードモウズイカやその改良種は狭い庭では持て余すことが多いでしょう。
○フォエニセウム(V. phoeniceum)
葉に毛が生えず緑色です。二年草扱いされることもありますが、実際は暖地でも夏越し可能。原種は1m以上になりますが、小型の改良品種が人気です。
「ビオレッタ」
フォエニセウム系の矮性種。濃紫色の花が咲きます。草丈は伸びても60cm程度。
「サザンチャーム」
フォエニセウム系の矮性種。淡い黄色やピンク、白などの花色があります。
草丈は伸びても1m未満程度です。
「ウェディングキャンドルズ」
シャイクシー(V. chaixii)系の改良品種。白い花弁に紫色の雄しべがつきます。ひとつひとつの花は小さいですが花つきが良く、花茎もたくさん立ち上がります。
草丈は伸びても1m未満程度です。
○ビロードモウズイカ(V. thapsus)
以前は、単にバーバスカムといえばこちらを指すことが多かったです。
背丈は2m近くと大型になり、シルバーリーフと黄色い花が特徴です。また花序は穂状になります。観賞用として持ち込まれましたが、現在では北海道などで帰化植物になっています。
有料庭園ではよく見かけますが、一般の庭にはあまり使われなくなりました。多年草ですが、暖地ではたいてい花後に枯れてしまいます。
○クロバナモウズイカ(V. nigrum)
黄色い花弁に赤紫の雄しべが目立ちます。草丈はやや高くなります。
オススメ度:★★★
フォエニセウム系の品種は比較的丈夫で、言われているほど夏越しも難しくないですが、単独では目立ちにくくアレンジでは扱いの難しい花です。
ビロードモウズイカはかなり広い庭以外では利用価値は低いでしょう。