花色:
学名:Dianthus
科名:ナデシコ科
分類:多年草(常緑)、秋まき一年草
原産地:東アジア、ヨーロッパ
大きさ:背丈15〜60cm、横幅15〜35cm
主な見所:花(4〜11月)※主に春と秋。一期咲き種は初夏
ひとくくりにダイアンサス(ナデシコ)というとたくさんの種類があります。「テルスター」に代表される矮性で四季咲き性の強いものがポピュラーですが、その交配親であるビジョナデシコやセキチクなどもよく育てられています。花は頂部に上を向けて咲き、花弁の縁にはギザギザが入ります。花色は豊富で複色もあります。葉が細長く小さいのでそのぶん花がよく目立ちます。ビジョナデシコはやや葉幅が広めです。他にも初夏咲きのカワラナデシコ(別項)や、海浜植物のハマナデシコなどがあります。
日当たりと水はけのよい場所なら丈夫に育ち、花つきがとてもよくなります。その条件を満たしてやれないと徒長したり、病気にかかりやすくなり花つきも悪化します。用土は水はけをよくするために砂やパーライトなどを混ぜて調整しましょう。ただし鉢植えは乾燥させすぎないように注意します。肥料食いがよく、肥沃な土を好みます。
花をたくさん咲かせた後の梅雨から夏の間に弱りやすいので、多年草種でも一年草扱いになる場合があります。また、年を経るごとに徐々に勢いが衰えていくので、挿し芽等で株を更新したいです。
洋風や和風の庭に合います。四季咲き性種は株が矮性なので寄せ植えに使いやすいです。日本の自生種も交配に使われているので和風の寄せ植えにもよく合います。まとまりのよい姿が自然風の庭ではやや使いづらいですが、ポイント的に用いるとよいでしょう。
性質的に花壇にはあまり向いていませんが、前景に列植すればとても豪華です。花つきがとてもよいので単植や郡植しても見栄えがします。
前景に混植した植栽例。様々な花色がそろうのでよく目を引きます。
品種を合わせれば草丈が揃いやすいのもよいです。
草姿がまとまるので、単独で鉢に植えても楽しめます。
様々な品種が出回っていますが、四季咲き性の強い交配種が主流です。
「テルスター」
F1四季咲きナデシコの代表品種。様々な花色が揃います。育てやすい品種。
「カラーマジシャン」
F1四季咲きナデシコ。白から濃ピンクに移り変わる花色が特徴。
「初恋」
F1四季咲きナデシコ。変化する花色が特徴。
背丈が高くて葉が細長く、カワラナデシコに見た目の印象が似ています。
「ライオンロック」
シルバーの葉色が特徴の品種。花色は赤〜ピンク、白。
丈夫で育てやすいですが、高温多湿には弱いです。ロックガーデンなどに向きます。
○ビジョナデシコ(D. barbatus)
花が固まり状になり派手な印象のナデシコ。花色が豊富で、やや背丈が高くなり30〜60cm程度になります。花の間に糸状の長いひげのようなものが伸びているのでヒゲナデシコとも呼ばれます。低温による花芽分化が必要で開花は初夏です。多年草ですが寿命が短く、秋まき一年草扱いされます。
ビジョナデシコの草姿。どちらかといえば切花向きの花です。
様々な花色の改良品種。
「プラネット」
ビジョナデシコの改良品種。低温による花芽分化の必要ない品種。夏まき秋開花も可能です。
○セキチク(D. chinensis)
東アジア原産のナデシコ。やや背丈が低く15〜30cm程度。育て方はダイアンサスに準じます。
○ハマナデシコ(D. japonicus)
日本と東アジアの沿岸部原産のナデシコ。常緑多年草。背丈12〜50cm程度。花色は淡いピンクですが、園芸品種に濃いピンク花や白花を咲かせるものもあります。花期は初夏から夏が最盛期ですが、秋にも断続的に花を咲かせます。葉は肉厚で、枝が木質化するなど海浜植物らしい姿をしています。開花期に枝を立ち上げ、冬はロゼットぽい姿をしています。
日当たりのよい砂質土を好み、ジメジメした環境は苦手。強健で、適した環境なら育てやすいです。
関東以南の暖地では特に保護もなく冬を越しますが、寒冷地には向きません。
アクアマリンふくしま(水族館)で見かけたハマナデシコたち。
写真2枚目のとおり、砂浜のような土でも成育開花していることが分かります。
なお、アクアマリンふくしまのある福島県いわき市は東北ですが、太平洋沿岸の温暖地であり冬越しは屋外で問題ありません。
オススメ度:★★★★★
日当たりと水はけを確保してやれば、花つきがよくとても丈夫な花です。特に四季咲きナデシコは株が花で覆われ、単植や郡植でも十分見栄えがするのが魅力的。
ハマナデシコはやや個性的な姿ながら、強健で安定して多年草として使えます。