ふなばしアンデルセン公園は千葉県船橋市にある総合公園。船橋市の姉妹都市であるデンマーク・オーデンセ市の協力の元に誕生した公園で、施設の名称もオーデンセ生まれの童話作家H.C.アンデルセンに由来してます。そのため園内にはデンマークやアンデルセンにちなんだ施設が多くみられます。
一般的には、子供や親子連れが楽しめる施設がクローズアップされることが多いですが、サクラやチューリップ、ヒマワリ、コスモスなどの季節の花々や、雑木林などの豊富な樹木類、自然の起伏を生かした池や水の流れがみられる、自然あふれる憩いの場的な面も大きい施設です。
園内は5つのゾーンに分かれており、それぞれ性格が異なります。
その中で花や植物の見所が多いエリアは、花木や草花の植栽が多いメルヘンの丘ゾーンと花の城ゾーン、里山の自然風景や雑木林が見られる自然体験ゾーンとなっています。
ここでは、バス停から至近である北ゲートから入り、園内を時計回りで巡りつつ、花や緑の主な見どころを紹介します。
公共交通機関を利用した場合に便利な北ゲート。
近くには「アンデルセン公園」バス停と、やや小さめの駐車場があります。
北ゲートの他にも、自家用車で便利な大きな駐車場がある南ゲート。北ゲートとは別のバス停である「アンデルセン公園西口」に近く、小さめの駐車場がある西ゲートがあります。
それぞれ利用しやすいゲートを選ぶとよいでしょう。
フィールドアスレチックや芝生広場、どうぶつふれあい広場など、主に子供向けの施設が多いエリア。
北ゲートから入ってすぐ見えてくる、作風を知っている方なら一目で岡本太郎作とわかる像。船橋市の平和都市宣言を記念して建立されたとのことです。
春には像の周囲にサクラが咲き、美しいです。
「平和を呼ぶ」像から、であいの泉まで続く直線の園路は桜並木になっています。
樹高が高い立派なサクラで、開花最盛期にはサクラのトンネルとなります。
桜並木を通り抜けると芝生広場が広がります。大きな滑り台のあるワンパク城や、水遊びができるにじの池など子供向けの遊具や施設が多いです。
サービスセンター前や、どうぶつふれあい広場にはサクラが多く植えられています。
春の開花期には立ち寄ってみるとよいでしょう。
ワンパク王国ゾーンとメルヘンの丘を結ぶ大きな橋。橋からは太陽の池を見下ろせます。特に春や晩秋の季節は、池の周囲にサクラや花木類、紅葉がみられ美しいです。
また、季節により橋の上でハンギングバスケットや鉢植えなどの花の展示も見られます。
アンデルセンの故郷であるデンマークの牧歌的な風景を再現したエリア。
オーデンセ市にあるアンデルセンの立像を現場で型取りし制作されたアンデルセン像。
世界で初めて複製が許可されたということで、アンデルセン公園が本家本元から認められている証の一つともいえるものです。
デンマークの風車職人が手掛けたデンマーク式の本格的な風車。
経年劣化により近年修繕が行われ、再び動くようになりましたが、その際にもデンマークから職人を呼び寄せて修繕したとのことで、アンデルセン像と同じくデンマークとの強い結びつきを感じさせる施設の一つです。
風車の周辺には季節ごとに様々な花が咲き、記念撮影にも向いています。写真2枚目の白いモップ状の花は、秋から晩秋に見頃をむかえるパンパスグラス。
風車周辺に点在する、アンデルセン公園に協賛する企業や団体、種苗会社などによる花壇。
特に、種苗会社による花壇には新品種が多く植えられており、さながら花の見本市となっています。
アンデルセンの部屋を再現したギャラリーや、アンデルセンの童話絵本のミニ図書館がある施設。
また、童話館の手前には円形の企業花壇があり外観側も楽しめます。
円形花壇に例年咲く花は、冬から春に咲くパンジーとビオラ、晩春から初夏に咲くペチュニアやカリブラコア、夏から晩秋に咲くサンパチェンスとなっています。
噴水のある広場。四季折々の花で飾られています。ヒマワリやチューリップなどの、各花のまつりの期間にはそれらの花が多くみられるのでチェックしてみるとよいでしょう。
また、名前の通りイベント会場になることもあります。
オーデンセ市にあるフュン野外博物館の管理棟をイメージしたという建物。ハーフティンバー様式のデザインが目を引き、イベント広場のランドマークともなっています。
なお、建物の中にはお土産や軽食を求めることができるグッズショップが入っています。
19世紀初めのデンマークの一地方における典型的な農家を再現しています。こちらも現地から材料や職人を呼び寄せて建てられたとのことです。
庭には花壇があり季節の花々がみられるほか、晩春には生垣につるバラが咲きます。
農家の内部も見学でき、寒さをしのぐために寄り集まって座った状態で寝るボックスベッドなど、興味深い展示がみられます。
地図上での名称はありませんが、農家の近くにやや大きめの花畑があります。チューリップやナノハナ、ヒマワリ、コスモスなど季節ごとに様々な花がみられます。
名前の通り、花畑内の順路が簡単な迷路状になっています。
上記と同様に地図上の名称はありませんが、花めいろの近くにバラの咲く庭があります。
晩春から秋まで断続的に花がみられますが、特につるバラの咲く晩春から初夏は美しいです。
太陽の池にはラクウショウ(ヌマスギ)が多く植えられています。
落葉樹のため春には新緑が楽しめるほか、晩秋には紅葉して美しいです。
広さ約1ヘクタールという大きな池。池の周囲にある遊歩道を巡れるほか、ほとりにはボートハウスが建っておりボート遊びも可能です。
花や植物の見所的には、池から見上げる太陽の橋の周囲を彩る花木や紅葉する樹木、スイセンなどの季節の花が見所です。
太陽の池を一通り巡ったら、いったん花めいろ近くに戻り、道路を横切る幅広の橋を渡って花の城ゾーンに向かいます。
アンデルセン童話をイメージした庭や遊具、オブジェなどがみられるエリア。
建物内部は休憩室になっており、夏や冬には冷暖房も効いてゆっくりできます。
城の周囲は花壇になっており花が多いです。
季節の花で彩られた約2.5mあるというハートのトピアリー。
トピアリーの奥には、同じく様々な季節の花が咲く整形花壇もありフォトジェニックです。
地図上に名称はありませんが、花の城ゾーン内には花壇がいくつかあり、四季折々に花がみられます。
花がらの処理など、よく管理されているので見ていて楽しいです。
整形花壇の近くにある、道路を横切る幅の狭い橋を渡って自然体験ゾーンに向かいます。
既存の樹林や湿地を生かして作られたエリア。森林浴や自然観察に適しています。
湿生植物や、水生の生き物を観察できる水辺。
池や小川をそっと覗いてみると、メダカやオタマジャクシなどの生き物が観察できるでしょう。
毎年、稲の植え付けから収穫までの風景が観察できる田んぼ。
昔は千葉県北西部でも多くみられた水田ですが、その数はずいぶん少なくなりました。
かなり広い雑木林があり、森林浴が楽しめます。
特に、新緑が美しくキンランなどの草花がみられる春から初夏や、紅葉し木漏れ日が心地よい晩秋から初冬は見所が多いです。
子供たちが主役の体験型美術館が建つエリア。
花や植物が目当てであれば普段あまり見所がない美術館ゾーンですが、春にはサクラ、晩秋には紅葉がみられるので、立ち寄ってみるとよいでしょう。
パーフォーマンスゾーンにある展示室では、アートに関する大人向けの展示が行われることもあるので、公式サイトでイベントをチェックしてみるとよいでしょう。
訪れる客層の豊富さに合わせた様々なレストランやカフェ、売店があり、簡単に紹介します。
メルヘンの丘ゾ−ンにある園内唯一のレストラン。しっかりした食事をしたい場合に向いています。
また、バーベキューも楽しめます。
ワンパク王国ゾ−ンにあるフードショップ。同じ建物に様々な店が並列しており、ラーメンやカレー、ファストフード、かき氷、アイスクリームといった軽飲食が楽しめます。
値段も手ごろで、気軽に食事がしたい場合に良いです。
太陽の池のほとりに建つ売店。オープンデッキから池の景色を見ながら、本場デンマークのデニッシュやアンデルセンドッグ、コーヒーなどの飲食が楽しめます。
美味しくて、おしゃれな食べ物が欲しい時に。
西ゲートの近くにあるカフェ。コーヒーや紅茶などの飲み物のほか、ソフトクリームや、パスタといった食事も楽しめます。店外のテラスでの飲食や、テイクアウトも可能なので気軽に利用できます。
ちなみにヒルデモアとは、アンデルセンの童話に登場する妖精の名前です。
他にも地元酪農家が作る牛乳を使ったアイス屋さんや、季節のジェラートが楽しめる店などがあり、好みや季節によって様々な選択が可能です。
また、大規模な遊園地やテーマパークの高額な飲食料金とは異なり、訪れる様々な客層や市民に合わせた手頃な値段設定なのも嬉しいです。
場所
千葉県船橋市金堀町525
交通手段
■公共交通機関
新京成「三咲」駅からセ02系統バス「アンデルセン公園」下車、徒歩1分(北ゲート)
新京成「三咲」駅から小室駅行きバス「アンデルセン公園西口」下車、徒歩5分(西ゲート)
他に、船橋駅や北習志野駅、小室駅からのバスの便もあり。
■車
京葉道路「花輪IC」から約25分。
※専用駐車場あり。混雑期は臨時駐車場も開かれる。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.park-funabashi.or.jp/and/
庭園デザイン:★★★
比較的都心に近い立地ながら、自然の起伏を生かした緑あふれる風景が楽しめます。特にデンマークの牧歌的な景色を再現したという、メルヘンの丘ゾーン周辺の景色は開放感もあって良い雰囲気です。
また、メルヘンの丘ゾーンや花の城ソーンを中心に花木や花の植栽が多いのも魅力で、風車はもちろん、施設の建物やオブジェと花との組み合わせも楽しめます。
一方で、基本的に公園風のランドスケープであり、デザインされた庭園エリアは多くありません。
植物充実度:★★★★
サクラやチューリップ、ヒマワリ、コスモスといった主力の花のほか、季節の花や花木も多くみられます。園芸的に興味深い品種も多いです。また、樹木の数も多く、自然散策的な楽しみもできます。
一方で、植物園や植物公園とは異なり珍しい植物は多くありません。
植物の管理状態は非常に良好で、定期的によく管理されているようです。
娯楽度:★★★★★
サクラの最盛期は誰にでも勧められるほど美しい景色が楽しめます。チューリップやコスモス、紅葉の時期も良いでしょう。ヒマワリやアイスチューリップの時期も良いですが、その季節は暑さ寒さが厳しく他の花も少ないため近隣の方向け。
アスレチックや遊具など、花観賞以外の娯楽も求めるなら特に季節は問いません。水遊びがしたいなら夏になります。
園内には様々な施設や飲食店、売店があるため、そういった楽しみにも事欠かないでしょう。
※一般的にはテーマパークとして紹介されることが多いですが、アンデルセン公園は総合公園であり、いわゆる遊園地的な楽しみを期待する施設ではないことは承知のこと。四季折々の花が咲く自然あふれる環境の中で、様々な立場の方がのびのびと過ごすことができるのが、この施設の大きな魅力です。
また、デンマーク(オーデンセ市)やアンデルセンに関する施設や展示は比較的硬派なしっかりしたもので、エンターテイメント的なものとは異なります。
混雑度:★★★★
サクラの最盛期はとても混雑します。また、総合公園らしく大型連休時も大混雑します。ゆっくり観賞したいなら平日に訪問するなど工夫しましょう。ただ、花や植物は大型連休時以外でも楽しめるので、大型連休以外の土日に訪れることで混雑度はある程度緩和できるでしょう。
施設内は広く、オープンスペースも多いです。混雑時でもゆっくりできる場所はあります。
交通の便:★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩ける距離ではありませんが、バスの便は頻繁にあるので困ることは少ないでしょう。アクセスがあまり良くない新京成線の三咲駅からはバスの便が多く、アクセスが良いJRの船橋駅からはバスの便が少ないです。どちらを選ぶかは難しいところ。なお、サクラの最盛期の土日や大型連休時は三咲駅や小室駅からアクセスすることをお勧めします。
車の場合、専用の大きな駐車場があり、混雑時は臨時の駐車場も開かれます。ただ、サクラ最盛期の土日や大型連休時は朝から臨時も含め満車になることもあります。
なお、船橋市やその周辺は道路渋滞が激しい場所なので、時間や心に余裕をもって出かけましょう。
総合満足度:★★★★
テーマパークや親子連れ向け施設として紹介されることも多く誤解されがちですが、本質は先も述べたように花が多く自然あふれる総合公園で、花や植物が好きな方も十分満足できる施設です。また、樹木が多く自然散策的な楽しみができるのも良いところです。
ただ、あくまで総合公園のため、庭園的な観賞ができる場所は限られていることは承知のこと。
備考1:花や自然散策が目的ならば、期限が限られるサクラの最盛期は仕方ありませんが、大型連休時はなるべく避けたいところです。芝生広場が簡易テントで文字通り埋まるほど混雑します。
備考2:船橋市周辺の道路渋滞の酷さは悪い意味で有名です。訪問が大人のみであったり、少人数や単独であれば公共交通機関の利用も考慮しましょう。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(サクラ、季節の花)
晩春(チューリップ、ナノハナ、季節の花、新緑)
初夏(季節の花、新緑)
秋(コスモス、季節の花)
晩秋(ラクウショウの紅葉)
初冬(モミジの紅葉)