庭園や植物園、花の名所などで見られる看板。分かりやすく目立たせなければいけない反面、花や風景の邪魔をしないようにする必要もあるという、相反する課題があります。そのため各施設で様々な工夫をしているようです。
ここでは、様々な施設を観賞した中で、気になった看板デザインについて紹介してみます。
写真1枚目は京都の龍安寺の看板。写真2枚目は同じく京都の退蔵院庭園の看板。
日本庭園に多い、王道ともいえる江戸時代の木の立札風看板。やはり日本庭園によく合います。通常は木目や木色を生かしたものが多いですが、退蔵院の看板は背景が白壁なので、白色の看板となっているのでしょう。施設によって様々なデザインの違いがあるのも楽しいです。
庭園の風景に溶け込み、写真を撮る際も違和感なく庭園と一緒に撮ることができます。
写真1枚目は北海道のファーム富田の看板。写真2枚目は埼玉の国営武蔵丘陵森林公園の看板。
それぞれ施設の雰囲気に合わせたおしゃれな形状の立て看板で、このデザインであれば看板と一緒に写真を撮りたいと思ってしまいます。
私は常に「雰囲気づくり」という要素が大事だと思っているので、花や庭園など目玉のものだけでなく、看板まで雰囲気づくりにこだわる姿勢は賞賛したいですね。
看板に言葉だけでなく写真を加えることで、より判別しやすくなっています。様々な植物が寄せ植えされている花壇だと、文字だけの看板では咲いてる花と同じかどうか分からない時があるのです。
また、その場での観賞の際だけではなく、後日写真を整理するときにも役に立ちます。
写真1枚目は谷津バラ園で見かけた看板。多様なバラの品種が植栽されている施設のため、言葉だけでなく分かりやすい花の写真を加えて、品種の同定がしやすくなっています。
写真2枚目は神戸市立森林植物園で見かけた看板。写真アリだと看板が悪目立ちする場合がありますが、立て看板風にデザインして見た目に配慮しているのが良いですね。
写真1枚目は筑波実験植物園の看板。写真2枚目は看板の絵を編集で無理やり消したもの。
絵があるものとないものと比べて、どちらが「ハチに注意しなくちゃ!」と思うでしょうか?看板に言葉だけでなく絵を加えることで、より分かりやすく注意も引きやすくなっています。
あと、手作り感があることで自然と看板に対する面白味というのがわいてきます。
写真は大阪の咲くやこの花館の手書き洋風看板。1枚目はエリア全体での見頃の植物の紹介した看板で、2枚目は見頃の花に個別に作られた看板です。咲くやこの花館は様々な展示の工夫をしていることでも知られていますが、特に手書き看板の設置は先駆けともいえる存在です。
おしゃれな飲食店では手書き看板をよく見かけますが、それの植物版といえるでしょう。手間暇はもちろんですが、手書きの実力や、デザインするセンスも問われる難易度が高めな看板です。
それだけに効果は大きいと感じますし、それ自体が一種の展示となっています。その証拠に、意識したわけではないのに花だけでなく看板も含めて写真を撮ってありました。
写真は国営武蔵丘陵森林公園の掲示看板。
看板そのもののデザインというよりも配置を含めた工夫です。コースの入口に地図と見頃の花、そして見頃の花がある場所を分かりやすく示しています。そして紹介の花がある散策コース内には最小限の花名看板を設置して、野草園の雰囲気を壊さないようにしています。
掲示する情報を更新していかなければならない、かなり手間と根気が必要なタイプの看板だと思うのですが、見学者にとっては非常にありがたい看板だと思います。
様々なデザインや工夫があって興味深かったのはもちろん、やはり「看板を工夫する」という思いそのものが大事なのではないかと思いました。植物や、その施設に対する愛着のようなものを間接的に感じ取ることができる気がするのです。
あくまで看板は施設にとって展示等を説明するためのものであって、頑張ってデザインしたり気を使ったりしたくないという気持ちもわかります。でも、私としては施設の雰囲気を守るために、最低限の配慮してほしいというのが願いです。
一事が万事。看板デザインへの配慮があるかないかで、その園全体の印象も変わってくると思います。