大阪府大阪市鶴見区にある鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会」(以下花博)のために建てられた大温室。その資産を受け継ぎ、熱帯植物や高山植物を中心に様々な花を観賞できます。
温室施設としては国内トップクラスの植物の種類と状態の良さ、イベント開催数を誇ります。
大温室周囲をぐるっと一周しつつ徐々にスロープで二階へ、花回廊の巡りつつ最後にフラワーホールの大空間に出てくる順路。動線的に無駄がなく分かりやすいです。
ここでは順路通りに主な見どころを紹介します。
立派な大温室。温室の外観の形は、日本で一種しかない野性のスイレンのヒツジグサの花からイメージしたものだそうです。初夏から夏にかけて手前の池でスイレンやハスの花が楽しめます。
滝や水の流れなどを配して熱帯のジャングルを再現したエリア。ランやヘリコニアなどの花や花木のほか、シダやタコノキ、マングローブなどがあります。
別室空間で、熱帯スイレンやオオオニバスなどが栽培されているロータスガーデン。
周年28℃前後の水温で栽培しているため、冬でも花が見られます。
花博の遺産であるラフレシアの標本。隣の通路には食虫植物が栽培されています。
ヒスイカズラやブーゲンビレアなど美しい花木のほか、バナナやマンゴー、パパイヤなどの果樹が植栽されています。トックリキワタやパラボラッチョなど興味深い樹木もあります。
ハイビスカス専用の別室になった温室。周年花を見ることが可能です。
美しい園芸種から、珍しい固有種まで様々なハイビスカスを観賞できます。
外部にある小さな花壇。春から秋には様々な花が見られます。
所々で、大温室から別の空間に出入りできることが、園内の余裕につながっています。
乾燥地に特化した植物やサボテン、多肉植物が植栽されたエリア。
立派な幹の乾燥地の植物の他、美しい花サボテンが見所。
外部のデザートガーデンには、比較的耐寒性のある乾燥地の植物が栽培されています。
ヒマラヤやチベット、アルプスなどの高山植物を集めたエリア。青いケシのメコノプシスの仲間が目立ちますが、他にも様々な高山植物が咲いています。
花の多さに驚きますが、開花調整でいつでもある程度の花が見られるよう工夫しているそうです。
順路を進むといつのまにか2階部分の花回廊にたどり着きます。回廊はフラワーホールを中心にぐるりと一周しています。開放感のある空間です。
花回廊の途中には温室を見下ろせる通路が伸びているので、寄り道していきましょう。
見下ろす温室は熱帯花木室。タビビトノキの特異な姿が目立ちます。
花回廊の中心にあるフラワーホールは様々なイベントの会場になります。
写真は毎年夏に開催される人気イベント、虫を食べる植物展。
公式ウェブサイトや、イベントチラシ等を見ればわかりますが、毎週のように何かしらのイベントが開かれています。積極的なイベント開催が園内の活気につながっているようです。
ボードに書かれた注目の花。見頃の花を知らせる印と解説。興味を持たせる創意工夫があります。
植物の入れ替えを行って常に多くの花が見られます(よく見れば鉢植えが上手に岩で隠されているのが分かります)。植物の状態の良さも見逃せません。バックヤードで栽培のプロが大量の植物を育てているのが想像できます。2枚目の写真は開花調整で咲かせた夜咲きのサボテン「大輪柱」。
施設のある鶴見緑地は広大で、花博が開催されたことでも知られています。花的には風車周辺の大花壇やバラ園などが見所ですが、往時をしのぶ花博の跡地である国際庭園を巡るのもよいでしょう。ただ、跡地の状態はあまり良いものではありません。
公園内には様々な施設や、レストラン、売店も点在しています。
緑地内には様々な花が咲きますが、主な花の見所は風車の丘の大花壇、バラ園、日本庭園の池に咲くスイレンなど。他にもサクラやウメ、ハスの花なども見られます。
比較的よく整備されている庭園もあれば、施設内に入れないほど老朽化している庭園もあります。
一方で独特の雰囲気が好まれるのか、コスプレ撮影の背景として人気があるとのことです。
場所
大阪府大阪市鶴見区緑地公園2−163
広大な鶴見緑地の一角にあります。
交通手段
■公共交通機関
Osaka Metoro長堀鶴見緑地線「鶴見緑地」駅より徒歩約10分。
その他の駅からバスの便もあり。詳しくは公式ウェブサイト参照。
■車
近畿自動車道「大東鶴見IC」「門真IC」から約10分。
阪神高速守口線「森小路ランプ」から約10分。
※鶴見緑地の駐車場を利用(有料)。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.sakuyakonohana.jp/
庭園デザイン:★★★★
順路が分かりやすく、徐々にスロープを登りながら2階の花回廊に至るという動線も面白いです。最後にイベント会場となるフラワーホールに自然と辿り着くのも、よく考えられています。所々に別室の温室や外部に出たりと変化もあります。
メインの通路は広く、全体的に明るい雰囲気で散策しやすいのは好印象。
植物充実度:★★★★★
温室のため季節を問わず様々な花や植物が楽しめます。ただ、周年にわたって花が見られるのは運営側の努力も大きいと思います。他の大温室施設で、ここまでの花を周年見ることは難しいです。
植物の管理状態は非常に良好。
娯楽度:★★★★
オールシーズンで花が見られますが、特に初夏から夏は花が多いのでおすすめ。鶴見緑地を含めると春から初夏、秋に花が多く見られ、特に春のサクラの見所は多いです。
多くのイベントが開催されているので、事前に調べておくとよいでしょう。
温室のため、雨の日のお出かけにも向いています。
混雑度:★★★★
温室としては広いですが相応の混雑感はあります。ただ、園路が広く、順路があり逆行者が少ない、所々にある外部空間やフラワーホールの大空間、広大な鶴見緑地があることもあり、ストレスはそれほどありません。
交通の便:★★★★★
公共交通機関利用の場合、最寄り駅から近く、途中の道も公園内がほとんどなので非常に良いです。鶴見緑地駅以外からもバスの便があるので場合によっては便利です。
車の場合、温室専用の駐車場がありませんが、鶴見緑地の大きな駐車場が使えます。イベント時でもなければ混雑することは少ないでしょう。
総合満足度:★★★★★
日本にある大温室の中で規模、植物の種類の多さと状態の良さ、イベントの豊富さなどトップレベルと思われる施設。花博で展示されていた植物の継承という優位性はありますが、いつ行っても美しい花が見られることや、興味を持たせる工夫をしていることが素晴らしいです。
温室のため、いつ行っても楽しめますが、全体的な花の多さは初夏から夏頃になります。
あわせて、各種イベントを目当てに行くのもよいでしょう。その場合は、公式ウェブサイトでイベント内容や開催時期をチェックしておきましょう。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
周年(熱帯植物、高山植物、熱帯スイレン)
初夏(メコノプシスの仲間)
夏(ハス、温帯スイレン)