2025年5月上旬の某日にBOTANICA MUSEUMを見に行きました。
BOTANICA MUSEUMは、千葉県美浜区にあった千葉市花の美術館が2022年の春からリニューアルのため長期休館し、予定から大きく遅れた2025年3月29日に再開後できた施設です。
リニューアル前の千葉市花の美術館が個人的に好きな施設だったことと、事前にあった様々な事情(リンクを参照ください)により、なるべく早く訪問したかったのですが、なかなか機会に恵まれず…。
5月になってやっと訪れることができました。(エッセイにするのも遅れに遅れましたが…)
その時の記録と感想です。
一言でいうと、BOTANICA MUSEUMは、以前の千葉市花の美術館とは立ち位置が大きく異なる施設となっていました。
以前の千葉市花の美術館は、名前こそ「美術館」でしたが、実態はフラワーパークに近く、実物の生きている花や植物を多用した施設だったのです。
一方、新しくなったBOTANICA MUSEUMは、名前の通り「ミュージアム」と言えると思います。
以下、写真を交えて、新しくなった千葉市花の美術館(BOTANICA MUSEUM)の紹介と、簡単に感想を記してみようと思います。
なお、夜間のライトアップ時に訪れたことはありません。
花と緑関連を重要視しているので、私の感想に大きな齟齬はないと思います。
今回は、JR稲毛駅から稲毛海浜公園行きの路線バスを利用しました。経路の途中に高浜団地という人口密集地があるため、バスの本数は多くアクセスしやすいです。
また、稲毛海浜公園は大きな駐車場もあるので、自家用車でアクセスするのもよいと思います。
ただ、夏はプール利用者で駐車場が混雑し、オートサロンなどのイベント時も周辺道路が渋滞するので、事前に確認した方が良いでしょう。
事前にあった様々な事情の通り、プレオープン時にはドッグランがあり、賛否のあった場所。
しかし、グランドオープン時にはドッグランが無くなっており、広々としていました。
まだ美術館という印象は薄いですが、大きな青りんごのオブジェが目を引きます。
なお、私は花や植物には一家言ありますが、美術評論は門外漢なので、各美術品に対する紹介や感想は述べません。興味があれば、実際に訪れて実物を鑑賞してみてください。
リニューアル前には及びませんが、一部で花畑が復活していました。
千葉市の担当者の方が、花壇の復活交渉を頑張ったのかな…と思ってしまいました。
建物自体はあまり変わった様子はありませんでした。資材や人件費の高騰が続く中、既存の建物を最大限に活かしてリニューアルされていると感じました。
具体的には、写真のようなサインやオブジェを活用しているようです。
受付付近にある作品たち。ここから先は有料エリアとなっています。
作品の素材は一部、生きているランや観葉植物もありますが、基本的にはオブジェや切花、ドライフラワーが中心となっています。
受付からすぐ、向かって左手にある作品。
展示室中央にある作品。
屋外なこともあって、中庭にはアート作品はありませんでした。
しかし、植栽には変化があり、モミジなどの樹木が多く植えられました!
実はこの中庭、リニューアル前に「ナチュラルガーデン」として改修されたことがあったのですが、あまりにも整形なガーデンだったため、個人的に不満があったのです。
今回のリニューアルで、ナチュラルガーデン色が強まったのは意外というか、何というか…。
高台になった場所からの、中庭の全体像。
以前の花の美術館を知っている方なら、樹木類が増えたと感じることでしょう。
展示室の中央奥にある作品。
展示室奥にある、2階にも枝が伸びているダイナミックな作品。
以前は、モネの睡蓮の絵を飾っていた部屋。
円形の閉鎖空間であることを生かして、音と照明を利用した作品となっています。
温室にはアート作品はなく、印象も以前とあまり変化が無いように見えました。
ただ、一部の下草(オジギソウなど)や、2階のランの花が無くなっていたり、生きている植物の展示が少なくなっているようです。
2階のほとんどの部分は立ち入り禁止となっていました。
以前は、2階の屋外部分にかなりの植物が見られたので、ここは単純にマイナスでしょう。
写真は渡り廊下から見下ろした展示室。
1階の北東側エリアが開放され、ワークショップになっています。
生花やドライフラワーによるアレンジメント体験ができるようです。
アート展示に合わせた、お洒落な雰囲気となっていますね。
有料の美術館エリアから外に出て、すぐ隣にあるレストラン。
食事のメニューは少な目で、ドリンクメニューが豊富。印象は喫茶店の方が近いです。
中庭の景色を見ながらゆっくりできます。
事前の計画ではバーベキュー場になるとのことで、心配していた後庭ですが、温室同様それほど変化が無いように見受けられました。
おそらく、花の美術館のコンセプトが大きく変わったことで、ドッグランとともにバーベキュー場の計画も立ち消えとなったのでしょう。
個人的には、美術館の印象にも関わるし、良かったのではないかなと思います。
新しくなった千葉市花の美術館(BOTANICA MUSEUM)の紹介はここまで。
以下は私の感想となります。やや不満が多くなっているので、ここまでの紹介で施設が気になった方はブラウザバックした方が良いかもしれません。
やはり、実際の魅力は、自身の目で確かめてみなければ分からないと思うので。
気になった点について、感想を記してみたいと思います。
前述しましたが、美術作品については感じ方は人それぞれということで、言及はしません。
樹木の植栽はむしろ充実した部分もあったのですが、前庭・美術館中庭・温室・後庭のいずれも下草の草花類はボリュームダウンしていました。
植栽量に比例するように管理状態もイマイチで、気になる箇所が多かったです。
コストダウンや、美術館のコンセプトが変更になったことで、予想できたことではありましたが、以前の草花類の充実度(こちらを参照)を知っているだけに、残念な気持ちに…。
事前計画において、前庭のドッグラン、後庭のバーベキュー場への変更が気になっていた点でしたが、ドッグランは公園内の別の場所に造られ、バーベキュー場は既存施設を拡大する方針になったようです。これについては、良い落としどころになったといえるのかもしれません。
アート作品のある美術館とは、両者ともあまりにもかけ離れた印象の施設ですし、訪れる客層も大きく異なると思うので。
何より写真のように、公園内には両施設に適した場所がいくらでもありましたから。
写真は、ミュージアムショップのあるアトリウムのアート作品。
アート作品に対する評価は人それぞれだと思います。ただ、今後の展示方針をどうするのかは気になりました。今ある展示のみで、展示替えをしないのでしょうか?
以前の花の美術館は、季節ごとに様々なテーマの植栽が楽しめるのが大きな魅力でした。
定番の、季節を先取りした展示(冬にチューリップなどの春の花を植える等)のほか、ハロウィン、クリスマスなど、季節のイベントごとの展示も楽しめました。
これが、様々な季節にリピートして訪れる大きな動機となっていたのです。
しかし、もし今のアート展示が常設のまま…ということであれば、リピートする人は大幅に減ってしまうのではないかと危惧しています。いわゆる「企画展示」をするべきではないかと。
今後の動向を見守りたいと思います。
帰りは同じルートで帰路に。
やはり、私が好きだった以前の千葉市花の美術館とは異なる施設となっていました。ただ、プレオープン報道時に不安視したものよりは、マイルドな変更といえるのではないでしょうか。
内部でどのような議論があったか分かりませんが、「花を増やしてほしい」という千葉市の働き掛けも大きかったかと思います。
運営側は、ミュージアム施設とすることで入場料を高めることができ採算性を向上、千葉市側は、植物をアートのモチーフにしたことで花や植物が少なくなるという事態を防ぐ、という両者の歩み寄りによって、事前計画とは大きく異なる施設になったのではないかと想像しています。
展示の方向性は賛否あると思いますが、持続可能性でいえば、悪いことばかりではないと思います。
新しくなった千葉市花の美術館(BOTANICA MUSEUM)は、私のサイトのこちらのページの掲載基準を満たすような、生きた花と緑中心の施設ではなく、あくまでアート作品中心の場所になっています。
このあたりをどう感じるか、または、アート作品に共感できるかで、この施設の評価は大きく異なるものになるでしょう。
気になったら、一度訪れてみるとよいと思います。
なお、1年間はオープン特別価格となってますのでお早めに!
公式HP:BOTANICA MUSEUM
ちなみに、アートと花や植物を組み合わせた好例の施設として、ガーデンミュージアム比叡を挙げておきます。こちらは印象派の作品に合わせて花壇を整備しています。
北川村「モネの庭」マルモッタンも近いですが、アートというよりは、モネという人物そのものに注目した施設となっています。