庭園のそこかしこに印象派の陶板名画が飾られ、その絵画の雰囲気に合った庭園を見られるというスタイルが特徴の庭園。比叡山の山頂直下、標高約800m付近にある平地よりも涼しい環境を生かした植栽も見所です。
叡山ロープウェイから比叡山にいたる斜面を利用した細長い庭園。周遊というよりも片道で見所がほぼ観賞できるので分かりやすい動線になっています。
ここでは叡山ロープウェイ側のローズゲートから入り、バス乗場に隣接しているプロヴァンスゲートから出るルートで主要な見所を紹介します。
印象派絵画でもバラは主要な花の題材でした。印象派時代のバラの品種はオールドローズですが、ここでは無理にこだわらず様々な種類のバラが植えられています。
カフェでは、デッキから琵琶湖や京都市内を眺めながら軽飲食が楽しめます。手前にあるバラの花壇も綺麗です。
カフェの手前付近からは展望が大きく開けます。庭園内には他にもいくつか展望が望めるスポットがあります。
後述する展望塔からの方がより眺めが良いですが、展望塔を登るためには階段しかないため、これら平場からのスポットの景色で満足してもよいと思います。
モネの自宅庭園をモチーフにしたファンならお馴染みの構成の庭園。アーチのつるバラが咲く6月中旬ごろが一番の見所ですが、それ以外にも多年草が多数植えられているため長期間花が楽しめます。
花やハーブ、印象派関連のグッズが販売されているお洒落なショップ。
昭和30年代に建てられたという年代物の展望塔。そのためエレベーターがなく階段を利用します。登った先の最上階の景色は素晴らしく、一見の価値はあります。また、花の庭の全体像が眺められるのも楽しいです。
名称は藤の丘ですが、クレオメなどをはじめとした草花がメインの花畑。春・夏・秋と季節毎に入れ替えられるので、場合によっては花の少ない時期もあります。
有名なモネの睡蓮の名画の雰囲気を取り入れた、池と太鼓橋のある庭園。スイレン以外にも池の周辺には様々な花が見られます。午後遅くになるとスイレンは花が閉じ気味になるので注意。
南フランスのプロヴァンス地方の明るい雰囲気をモチーフにした庭園。名前の通りラベンダーやサルビアなどのハーブが多く植えられていますが、季節の花も多いので美しい花畑になっています。
場所
京都府京都市左京区修学院尺羅ケ谷四明ケ嶽4
交通手段
■公共交通機関
叡山電車「八瀬比叡山口」駅下車後、ケーブルとロープウェイを乗り継ぎ「比叡山頂」駅下車すぐ。
JR京都駅からバスで「比叡山頂」下車。
他に坂本ケーブルを利用する手段もあり。公式HPで確認を。
■車
名神高速道路「京都東IC」より西大津バイパス〜比叡山ドライブウェイ経由で約30分。
駐車場あり(無料)
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.garden-museum-hiei.co.jp/
庭園デザイン:★★★★
展望や山の起伏といった既存の環境を生かしつつも、花と相性が良いルノワールやモネ、ゴッホなどの印象派の絵画に注目するという独自性は面白いです。ただ、メインの花の庭や睡蓮の庭はモネの自宅庭園をモチーフにしたものであり、デザイン的な独創性という要素はやや少ないです。
植物充実度:★★★★
冷涼な気候を生かして真夏でも花の見所が多いのが特徴です。西日本で7〜8月にこれだけの種類の花が見られるのはそれだけでも貴重です。一方で、華やかな一年草と季節感を感じる多年草や花木がバランスよく植えられており植物愛好家には楽しいガーデンになっています。
娯楽度:★★★★
叡山ロープウェイ山頂駅からすぐという立地で、比叡山観光のひとつとして楽しめるのは大きいです。初夏から秋の間であれば、バラ最盛期でなくても華やかな花は多く見られます。お洒落なカフェやショップもあります。
また、初見であれば比叡山延暦寺に参拝することをお勧めします。最澄によって開かれた天台宗の総本山で、比叡山の山頂付近に多く堂宇が点在します。延暦寺へのアクセスは比叡山内シャトルバスを利用するのがよいでしょう。
混雑度:★★★
大型連休中は比叡山が混雑するので、その余波で多少混雑します。バラ最盛期もやや混雑しますが気になるほどではないでしょう。気をつけたいのは紅葉の季節で、園内の見所は多くないですがケーブルカーやロープウェイをはじめ比叡山がとても混雑するので、庭園が主目的ならば避けたほうがよい季節です。
交通の便:★★★
比叡ロープウェイや京都市からの直通バス、比叡ドライブウェイなど、様々なアクセス方法があり大変良いとしたいところですが、運賃や手間などを考えるとこの評価。
総合満足度:★★★★★
印象派絵画の雰囲気に合わせた庭園として面白いですが、個人的には平地で花が少なくなる夏に数多くの種類の花が咲いている点に注目。北海道のガーデンに近い印象があります。同時に展望と山上の開放感が楽しめるのも大きな魅力です。
陽光の表現に特徴がある印象派の雰囲気を味わいたいのであれば、できれば日差しが降り注ぐ晴れの日を狙いたいところです。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
初夏(フジ、シャクナゲ、季節の花)
初夏〜秋(スイレン、季節の花)
夏(バラ、季節の花)