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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

熱帯ドリームセンター(海洋博公園内)

海洋博公園は1975年(昭和50年)に開催された沖縄国際海洋博覧会を記念して1976年(昭和51年)に博覧会跡地に設置された国営公園です。公園内には有名な観光名所である沖縄美ら海水族館のほか、海洋文化館やイルカショーなどの施設がありますが、その中に熱帯ドリームセンターがあります。
熱帯ドリームセンターは温暖な沖縄に立地することを生かして、ラン植物をはじめ様々な熱帯・亜熱帯の植物が一年中見られ、一部の植物は冬でも屋外に展示されていることが特徴です。
特に、毎年開かれる洋蘭博覧会の期間中は見所が非常に多くなります。

海洋博公園の地図(クリックすると大きくなります)

海洋博公園マップ
非常に広い海洋博公園なので、初めて訪れたなら地図で施設の大体の場所を確認しておくとよいでしょう。熱帯ドリームセンター(地図上で青線で囲った所)は中央ゲート向かって左手のほうにあり、沖縄美ら海水族館とは逆の方角になります。

熱帯ドリームセンターの地図(クリックすると大きくなります)

熱帯ドリームセンターのマップ
やや細長い園内。連続して配置された温室や湾曲した壁面がエリア分けの役目を果たしています。
順路があり看板もあるので、それに従って巡れば効率がよいでしょう。ここでも順路に従って主な見どころを紹介します。

熱帯ドリームセンター入口付近

熱帯ドリームセンター入口付近
熱帯ドリームセンター入口付近は、季節にもよりますが様々な花が植えられて雰囲気を盛り上げています。ブーゲンビレアなど熱帯や亜熱帯の花が多いのもよいです。
なおここには、海洋博公園を巡る遊覧車の停留所もあります。

ステンドホール

ステンドホール
受付で入園料を払い、まず通り抜けるのがステンドホール。沖縄の海をイメージしたというステンドグラスが展示されています。脇には熱帯ドリームセンターにちなんだ商品を販売している売店がありますが、帰りに立ち寄るとよいでしょう。

クロトンパティオ

クロトンパティオ
鮮やかな葉の変化が楽しめる観葉植物のクロトンにちなんだパティオ(スペイン風の中庭)
季節の花が植えられており、記念写真を撮るのもよいでしょう。

ファレノプシス温室

ファレノプシス温室
ファレノプシス温室
胡蝶蘭(こちょうらん)とも呼ばれ、お祝いギフトの花としてもお馴染みの洋ランであるファレノプシスを展示している温室。環境が良いのか栽培が上手なのか、非常に花つきや状態が良いです。

バンダ温室

バンダ温室
ランとしては珍しい青系の花が多いバンダを展示している温室。
上部に棚や枝が組まれていますが、根が垂れ下がる着生ランの特性に合わせた展示方法です。

カトレア温室

カトレア温室
カトレア温室のオンシジューム
洋ランの女王とも呼ばれる豪華なカトレアを展示している温室。一つ一つの花も美しいのですが、熱帯ドリームセンターでは贅沢な群生美まで楽しめるのが大きな魅力。
カトレア温室の奥にはオンシジュームなどその他の洋ランも展示されています。

果樹温室

果樹温室
果樹温室のパラミツ
広くて天井が高い果樹温室。名前の通り様々な果樹が見られます。全体的に実つきがよく、こちらもランと同様に植物の状態の良さを感じさせてくれます。
写真2枚目は世界最大の果実といわれるパラミツ。
なお、温室の天井から垂れ下がっている植物はグライダーのモデルになったというハネフクベ(ヒョウタンカズラ)。詳しくはこちらのページをどうぞ。

回廊

回廊
周囲を回廊に囲まれた、円形の中庭にはパオパブなどのサバンナの植物がみられます。
季節によってはイベント会場となることもあります。
奥に見えている螺旋状の塔は、次に向かう遠見台です。

遠見台からの眺め

遠見台からの眺め
展示室を見学した後、エレベーターで遠見台の3階まで向かいます。そこからは少し徒歩で階段を上る必要がありますが、高さ36mという頂上からの眺めが楽しめます。
美しい海と伊江島の城山を一望できる、素晴らしいロケーションであることがわかります。

中庭

中庭(遠見台から)
中庭(チューリップフェア)
周囲を温室や壁面に囲まれた中庭。季節により様々な花が咲きますが、特にチューリップフェアのころは見所が多いです。遠見台を背景に花と写真が撮れるポイントでもあります。
遠見台から見るとわかりますが、中庭はただ建造物に囲まれているだけではなく、その間にヤシや熱帯植物などを植栽して雰囲気づくりをしているのが見事だと思います。

ビクトリア温室

ビクトリア温室
熱帯の水生・湿生植物がみられる温室。夏にはパラグアイオニバスを見ることもできます。
1階には中南米の魚が見られる水槽があります。また、温室内ではオオゴマダラという蝶の成虫やサナギを観察することもできます。オオゴマダラについて詳しくはこちらのページもどうぞ。

ロータスポンド

ロータスポンド
熱帯スイレンが咲く池。周囲にも様々な植物が観賞できます。
なお、池にはシルバーアロワナが見られます。ここが本土ならニシキゴイになるのでしょうが、やはり沖縄のガーデンはひと味違いますね。

オーキッドガーデン

オーキッドガーデン
日差しの下でも育つ丈夫なランが見られる庭。さすがに地植えではなく鉢植えを利用しているようですが、温暖な沖縄ならではの展示となっています。

沖縄国際洋蘭博覧会

沖縄国際洋蘭博覧会の様子
沖縄国際洋蘭博覧会の様子
熱帯ドリームセンターで毎年開かれる国際規模の洋ラン博覧会。国内外から様々な洋ランの出展があり、最優秀賞には日本で唯一の内閣総理大臣賞が授与されます。
開催時期は毎年早春か晩秋のどちらかなので、公式サイト等の情報収集を忘れずに。
どの作品も非常にレベルが高く、日本一の洋ラン展といってもよいかと思います。

沖縄国際洋蘭博覧会の装飾

沖縄国際洋蘭博覧会の装飾
沖縄国際洋蘭博覧会の装飾
博覧会開催中は園内が洋ランで飾られ、非常に華やかになります。
なお、出展作品はもちろん、装飾の展示内容も毎年異なるので、写真は一例として実物は訪れてからのお楽しみとなります。

海洋博公園のその他の施設

熱帯ドリームセンターのある海洋博公園には、ほかにも様々な見どころがあります。
植物関連を中心に簡単に紹介します。

熱帯・亜熱帯都市緑化植物園

熱帯・亜熱帯都市緑化植物園熱帯・亜熱帯都市緑化植物園のカジュマル
植物愛好家ならまず寄ってみたい熱帯・亜熱帯都市緑化植物園。本土では地植えが難しい植物が、普通に生垣や並木に使われており興味深いです。写真2枚目は大きなカジュマルの木。
公園の端の方にあるため、園内中央部が混雑していてもゆったりした時間が満喫でき、休憩やお弁当を食べるといった利用にもよいでしょう。無料施設。

海洋文化館と、おきなわ郷土村

海洋文化館おきなわ郷土村
沖縄の歴史や文化に興味があれば寄ってみるとよいでしょう。
海洋文化館は有料。おきなわ郷土村は無料。

沖縄美ら海水族館

沖縄美ら海水族館のジンベイザメ
海洋博公園というよりも、沖縄美ら(ちゅら)海水族館といった方が通じるほど有名な沖縄の観光施設。沖縄の海を再現したとあって、黒潮の海や大規模なサンゴの飼育展示などを観賞できます。
なかでも、世界最大級の水槽で飼育されている巨大なジンベイザメは一番の見所です。

エメラルドビーチ

エメラルドビーチ
夏には海水浴も楽しめる美しいビーチ。ラグーン内にあり波は穏やかです。
晴れていれば冬でも沖縄らしい景色が楽しめるでしょう。

施設の概要

場所
沖縄県国頭郡本部町石川424番地

交通手段
■公共交通機関
○那覇空港から
高速バス117系統「記念公園前」下車、徒歩10分。
やんばる急行バス「記念公園前」下車、徒歩10分。
他にもエアポートシャトルやリムジンバス、美ら海ライナーなどがあり。
時刻表はもちろん料金も異なるので各公式サイトで確認を。
エアポートシャトルやリムジンバスは予約が可能で、混雑期は利用を検討したい。
○名護バスターミナルから
バス系統65・66・70「記念公園前」下車、徒歩10分。
※いずれも熱帯ドリームセンター入口までの所要時間。海洋博公園はバス停下車すぐになります。
■車
那覇空港から高速利用で約2時間。
沖縄自動車道「許田IC」から50分。
※駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:
https://oki-park.jp/kaiyohaku/inst/38(熱帯ドリームセンター)
https://oki-park.jp/kaiyohaku/(海洋博公園)

My impression

庭園デザイン★★★★
南国という立地を生かしたエキゾチックなデザインが魅力的。アイストップとしての遠見台はもちろん、湾曲したレンガ風の壁面もエリア分け以外に、南国風の背景として機能しています。水辺の空間が多いのも熱帯風のイメージをより感じさせてくれます。
連続した温室空間も、温室の中間部分に屋外に出られるようになっていて、圧迫感の軽減と園内の統一感を保つのに役に立っています。
ヤシやクロトンなど、熱帯をイメージする植物を効果的に配植しているのもよいと思います。
一方で、せっかくの素晴らしいロケーションを園内に取り込めていない印象があります。潮風から植物を守る目的もあると思いますが、遠見台から見ると少し残念な気持ちになります。

植物充実度★★★★★
洋蘭博覧会期間はもちろん、それ以外の季節もランが非常に充実しています。通年にわたって楽しめるのも魅力ですが、暑すぎる夏は外したほうが良いかもしれません。他には熱帯果樹も多いです。
チューリップフェア期間中もおすすめで、その期間はチューリップだけでなく、それ以外の花も多くみられるので都合が良いというのもあります。
植物の管理状態は非常に良好です。

娯楽度★★★★★
洋ラン博覧会の期間は誰にでも勧められるほど美しい景色が楽しめます。チューリップフェアの季節もよいでしょう。それ以外の季節はゆったり散策するのに向いています。
園内にはカフェがあり軽飲食が楽しめます。また、洋蘭博覧会期間やチューリップフェア期間は出店が出ていることもあります。
海洋博公園内には沖縄美ら海水族館やイルカショーなどが楽しめる観光施設があり、美しい海岸に出られる場所もあります。また、レストランや出店、売店などの施設も充実しています。そのため娯楽度は非常に高いです。

混雑度★★★★
洋蘭博覧会期間は混雑します。施設内はやや広いですが、オープンスペースはそれほど多くありません。ゆっくり観賞したいなら平日に訪問するなど工夫しましょう。それ以外の季節は混雑することは少ないです。公園は非常に広いので、施設を出ればゆっくりできる場所はいくらでもあります。
なお、沖縄美ら海水族館内は季節曜日問わず常に混雑していると思ってよいでしょう。朝方は団体客が少なく比較的空いているのでねらい目です。

交通の便★★★
公共交通機関利用の場合、那覇空港や那覇市街から高速バスの便があります。長距離なうえ混雑しやすいですが、他の選択肢となると路線バスの乗り継ぎなど難易度が高めです。
車の場合、大きな駐車場があり、イベントや大型連休時でもなければ停めるのは問題ないでしょう。中央が満車であれば、施設から遠いですが南ゲート駐車場に停めることも考慮しましょう。
多くの方がレンタカーを利用すると思いますが、沖縄の交通事情は本土とは違ったものがあるので、運転に不安があるなら事前に現地の情報をよく確認しておくとよいでしょう。

総合満足度★★★★★
建物などが全体的にエキゾチックな雰囲気で、屋外にも熱帯の植物を多用しており「沖縄のフラワーパーク」という印象を強く感じさせてくれるのは高評価。
また、本土の温室に比べると洋ランの充実度が群を抜いています。洋蘭博覧会の時はもちろん、それ以外の季節も十分楽しめるでしょう。また、珍しい熱帯果樹も個人的に興味深いです。また、それら植物の状態の良さが印象をさらに良くしています。
一方で、美しい海との連携があまり楽しめないのはやや残念な印象。羨ましいともいえるロケーションを生かした展示があってもよかったかもしれません。

備考1:沖縄美ら海水族館は初めての訪問であれば訪れる価値は高いものの、植物展示や環境再現的な楽しみは少ないので、2回目以降は他の施設に時間を割くことを考慮してもよいかもしれません。
都市緑化植物園や海岸遊歩道などに、本土では見られない様々な熱帯・亜熱帯の植物が植栽されていたり自生している姿は、植物愛好家であれば興味をそそられると思います。

備考2:遠方から花や植物が目当てで訪れる方は洋蘭博覧会期間はもちろん、それ以外なら晩秋から春が季節的に良いと思います。夏は暑すぎて散策に向かないうえ、花も少ないです。
夏はパラグアイオニバスが観賞できますが、本土にもパラグアイオニバスがたくさん見られる場所はあります(富山県中央植物園草津市立水生植物公園みずの森など)。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
洋蘭博覧会期間(晩秋、あるいは早春)
チューリップフェア期間(早春)

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