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汽水フグの飼育の紹介

汽水フグの部屋

飼育のポイント

基本的に一般的な熱帯魚とほぼ同じ飼い方でよいのですが、汽水フグの場合は汽水環境を用意しなければならない所が大きく違います
熱帯魚の飼い方については本(初心者の方は一冊は購入すべき)や、他の一般的な熱帯魚の飼い方のサイトを参考にしてください
ここでは特に汽水フグに関する飼い方の注意点を挙げたいと思います

汽水フグ飼育に必要な器具・消耗品は?

@水槽: 売られているフグたちは一般的には幼魚(2〜3cm前後)のことが多いので、最初は小型のもので大丈夫です(水量12リットル程度)
Aフィルター: 色々なものがありますが、水槽の容量に合ったものを使いましょう
初心者はメンテナンスの楽な外掛式フィルターがおすすめです
ろ過能力に不安のあるエアー式のものは単独ではあまり使いません
フグが大きくなったらろ過能力をアップさせていきます
Bライト 明るい場所であれば、なくても飼えますが・・・
明るい方がフグがきれいに見えます
C底砂: 一般的にはサンゴ砂を使います
最初はきれいですが汚れやすいです(対策は後述)
Dヒーター 汽水フグは東南アジアや南アジアなどに自生しています。日本の寒さには耐えられませんので、水温を高めるために必要です。サーモスタット(水温調節のための器具)と一緒になったものが初心者には便利
E人工海水 汽水を作るために必要です
詳しくは下の汽水環境の作り方をご覧ください
F比重計 これで塩分濃度を計ります
Gカルキ抜き 水道の塩素はフグたちに有毒なので、これで取り除きます
Hエサ 冷凍赤虫・乾燥エビ(クリル)など。慣れてきたら人工飼料も
I魚をすくう網 あまり使いませんが、念のため
浮いているゴミをすくうという使い方もできます
J水変え用の底砂
クリーナー
底砂を敷いた場合、砂に汚れが溜まります
水換え時にこれで砂をきれいにしましょう。特に底面フィルターを使っている場合は必須です
Kピンセット 冷凍赤虫をつかんだりするときに使います。長めのが便利
Lエアーポンプ エアー式のろ過器に接続してろ過のパワーアップに使ったり、夏の高温時の対処にも使えます。また、一時的に隔離したりするときの応急避難用としても重宝します

汽水環境の作り方

汽水フグは淡水と海水が入り混じったところに生息しています。そこで、飼育水にも塩分が必要になりますが、単なる食塩ではダメです。いくつか必要なものをあげてみます

  • @人工海水の素 25リットル用600〜800円前後
    人口海水の素シーウオーター(GEX)
    観賞魚店では海水魚用に人工海水の素が売られているのでこれを利用しましょう
    変に安いものでなければどのメーカーでもかまいません。ただ、海水魚などに比べ使う量は少ないので、小分けになっているものや、少なめに入ったものが便利です
  • A比重計 800〜1500円前後
    比重計シーテスト(アクアリウムシステム社)
    :塩分濃度を測るための比重計も一緒に購入する必要があります。これにはガラス製とプラスティック製がありますが、プラスティック製(写真)のほうが壊れず扱いも簡単です
  • Bバケツと棒 1000円前後
    これは普段の水換え用のバケツでかまいません。人工海水の素を直接水槽に入れないで棒などを使ってバケツでよく溶かしてから入れます
    海水の濃度はだいたい比重が1.006〜1.008程度にします。もともと比重が変わりやすい所で自生しているので海水魚ほど数値に神経質になる必要はありませんが、なるべく水を換える前の比重に近い値になるようにしましょう
  • ★実は、ミドリフグの成魚は自然下では海水環境で暮らす海水魚です。なので、大人になったら全海水とはいわないまでも3/4海水(1.018くらい)程度にしてあげると長期の飼育が可能になります
    ちなみに汽水環境下では普通の水草を入れることはできません(上の写真は人工水草)

汽水フグ飼育のポイント!

       
  • 受け入れ初期が一番大事!
    多くの生物がそうであるように飼い始めが一番大事です。汽水フグも例にもれず遠くの東南アジアなどから輸入されてショップに入ります。ただでさえ弱っているところへ、さらに購入者の水槽に移されるのですから大変なストレスを受けているはずです
    まずは汽水フグを買う前に飼い方の勉強をしておくことが必要です。予備知識ゼロで飼い始めるのはかなり危険です。本やネットの一部には偏った意見を書いているものもありますが、それでもまったく知らないよりは良いです
    また、購入するより先に水槽をセットして水を回しておくことも重要なことです。カルキを抜いた水道水に人工海水を混ぜただけの水は、生き物を飼うのに適していません。適した水にするためにはしばらくの間、空の水槽に汽水にした水と底砂を入れて、ろ過器やヒーターを作動させてください(このことを水を回しておくという)。ある程度の期間水を回しておくことで好ましいバクテリアなどがわいてきて、汽水フグに適した水になっていきます。市販のバクテリアの素があるともっといいのですが、なくても1〜2週間くらい水を回しておけば、受け入れ可能なレベルにはなります。とにかく飼育器具と一緒に買ってくると飼育初期は苦労することになるかもしれません
    飼育初期を乗り切れば、汽水フグの多くはかなり丈夫な魚なので安心できると思います
  • 慣れるまで我慢
    いくら人に慣れやすい汽水フグとはいえ、受け入れ初期はかなりビクビクしているように見えると思います(中にはふてぶてしいのもいますが)。ちょっとの間なので、最初のうちはあまりじっと見つめたり、おどかしたり、水槽に手を入れたりせず、ゆっくり遠めから見守ってあげましょう
    慣れてきたら水槽の前に立つとエサくれダンス(?)をするようになります
  • 水槽の大きさは?
    汽水フグは意外と大きくなります(マミズフグは20cm程度まで成長する)。また、小型熱帯魚に比べて水を汚しやすいので大きな水槽にするに越したことはありません
    ただ、置き場などの問題からそれもなかなか難しいと思います。また、汽水フグとのコミュニケーションもしにくくなります。ということで、少し小さめの水槽に1匹で飼うという方法が初心者には一番合っていると思います
    小さいうちは水量12〜25リットルくらいの水槽がよいと思います。もちろんろ過能力にも左右されますので注意してください。大きくなったら30cmキューブ水槽や40〜60cm水槽などにサイズアップします。ちょっと寂しく感じると思いますが、7〜8cm以上に成長したフグはかなりの存在感ですから
    どうしても同種(特にミドリフグやハチノジフグ)を混泳させたい場合は最初から大きな水槽にします(それでも問題がないわけではありません) 
  • レイアウトはシンプルに
    水槽に慣れれば汽水フグはあまり隠れるような魚ではありません。むしろエサをねだるためか常に前のガラス付近で泳いでいることが多いので、特にシェルター(隠れる場所)は必要ありません。また汽水環境なので水草を入れることはタブーです。しかも、よく水を汚す魚でもあるのでレイアウトがシンプルな方が掃除がしやすくなります。結局はレイアウトに凝りたくてもできないというのが本音ではあります・・・
    ただ、同種の汽水フグやバンブルビーフィッシュなどと混泳させている場合は、必ず彼らが隠れるためのサンゴ岩などをレイアウトしましょう
    流木は入れないほうが無難です(PHが酸性に傾くため、汽水はアルカリ性)バンブルビーフィッシュバンブルビーフィッシュ
  • 気が荒いので混泳注意!
    汽水フグは気が荒いので混泳相手を選びます。汽水フグ同士でしたら空腹時のストレスからくる喧嘩を防ぐために満腹状態を長めすることで混泳は可能ではありますが、小競り合いを避けるのは難しいです。また、同種同士でもサイズが違うと混泳はかなり難しくなります
    他種でも隠れ家を用意すれば小型ハゼ(バンブルビーフィッシュなど)などとの混泳も不可能ではありませんが、汽水フグに食べられてしまうことも覚悟しなければなりません
    マミズフグは他の2種に比べると少しおとなしめで、同種の混泳で成功例が多いようです(我が家でも2匹で飼っていた時期があり、特に問題は起こりませんでした。お互いのサイズが離れないように平等にエサをあげたりして気を使いましょう。ただし、個体によっては気が荒いものもいると思いますから絶対ではありません。また、他種との混泳は無理があります)
    個人的には一匹飼いをおすすめします
  • ろ過能力は高い方がいい!
    汽水フグは丈夫で飼いやすいものですが、前述したように小型熱帯魚などに比べてかなり水を汚す魚です。ろ過能力は普通の熱帯魚よりも必要だと思います。例えば60センチ水槽では上部or外部+投げ込み(スポンジ)フィルター、30センチ水槽では外掛け+投げ込みフィルターというようにろ過能力を通常より高めにします
    初心者の方には管理の面倒な底面フィルターはあまりお勧めできませんが、飼育に慣れてきたら底面フィルターはろ過能力が高く水槽内もスッキリするので狭い水槽にはおすすめです
    また、フグたちのことを考えるならばバクテリアの素を入れることをおすすめします。水質が安定してコケも少なくなります。各社から様々なものが出ていますが、中には淡水専用のものもありますのでお店で汽水フグにおすすめのものを尋ねてみてください
    B−4バクテリアの素の例:B−4(パピエC)
  • 飛び出し注意!
    フグは体型に似合わず、かなりのジャンプ力の持ち主です。何度か水槽から外にダイブして、あやうく大事な個体を失いかけたことも何度かありました。夜中など、驚かすようなことがないときでもジャンプすることがあるようなので気をつけましょう
    対策として水面と水槽上部との差を取るか、隙間を網などで塞いでおきましょう
  • エサをやり過ぎない!
    エサのやり過ぎは多くの人が陥るミスですが、特に汽水フグではそれが多いと思います。汽水フグはエサを欲しがるのが上手なのでついエサを多めに与えてしまうからでしょう
    エサのやり過ぎは水質の悪化を招き、結局は汽水フグのためになりません
    与える量ですが、エサの注意書きの欄には5分以内に食べきる量というあいまいな表示があります。しかし汽水フグの場合は単純で、お腹が十分膨れるまであげてください。それをできれば1日2回、できなければ最低でも1日1回は与えてください
    エサの種類は、天然飼料ならば少し小さめのクリルや冷凍のアカムシ・貝・エビなどがよく、製造日や品質保持期間が書かれたものがいいでしょう。人工飼料ならば粒状のものよりフレークフードの食いがいいようです。これはかじることができるためだと思います。最近はミドリフグ用の人工飼料も販売されています
    ただ、個体によっては最初のうちは人工飼料に慣れてくれないケースも多いようです。そのような個体は食べてくれるようになるのも大変な努力がいります。経験上、クリルと冷凍飼料だけで元気に育ちますので、特別な理由がなければ無理に慣らす必要もありません。むしろ人工飼料食べないからといって、そればかりあげて食べるのを待つようなことは汽水フグのためにもしないでほしいものです。馴れてきたら半生の赤虫やフレークフードなども食べてくれますし、気長に育てたいものです
    混泳をさせている場合エサやりのときに喧嘩が多いので、フグたちを分散させる意味でエサを落とす場所は複数作ったほうがいいでしょう
  • 水流は少し強めに
    汽水フグはその体型に似合わず泳ぎが意外と得意なようです。エサを見つけたときや驚いたときの素早い泳ぎっぷりには驚かされます。そのせいか水流も比較的強めのほうが気持ちよさそうです。もちろん流されてしまうほど強すぎてもよくありませんので、うまくバランスを取る必要があります
    水流の強さを変えたい場合はポンプの強弱を調整したり(調節弁があれば)、水流の向きを水槽の壁に当てて弱めたり、シャワーパイプなどで水流を分散させるなど方法があります
  • 底砂を入れるべきかそれとも・・
    サンゴ砂サンゴ砂
    底砂を入れなければゴミが取りやすく掃除しやすくなります。同じくよく水を汚す大型魚やディスカスなどの飼育でも普通に用いられています(ベアタンクという)
    ただ、観賞主体で考えると底砂を入れたほうが見栄えがすると思います。個人的には、多少の手間がかかるようになっても底砂を敷いたきれいなレイアウトで飼育した方がよいのではないかと思っています。バクテリアの住みかにもなるので水質が安定しやすくなるというよさもあります
    汚れが気になる場合には、掃除をしやすくするために底砂を薄く敷くという手があります。掃除は水を換える際に底砂クリーナーでゴミを吸い取るようにすればよいでしょう
    注意したいのは底砂クリーナーが使いやすいように、あまり細かい砂を使わないようすることです。パウダー状の砂はきれいなんですけどねー、でも我慢しましょう
  • 底砂はサンゴ砂で決まり?
    コケで汚れたサンゴ砂汚れたサンゴ砂
    底砂の種類はサンゴ砂がよいといわれているようですが、難しいところです
    アルカリ性を保ちやすいので飼育上は非常によいのですが、汽水フグ自体はあまりこの真っ白な砂を好んでいないようで、自生地もそのような環境ではないようです
    また、真っ白なのでコケなどで汚れやすいものです
    最初は白さがきれいで良いのですが、時間が経つと飽きてくるという欠点もあります
    なので私はサンゴ砂と大磯砂を混ぜたり、大磯砂だけを入れてサンゴ岩を飾りに使うという手を使ったことがあります。このへんは各自で工夫してみてください(サンゴ砂単用でも大きな問題があるわけではありませんが…)
    サンゴ岩サンゴ岩を飾りに使うという手もある
    ちなみに、上部フィルターや外部フィルターを使用しているなら、ろ材にサンゴ礫を使えば底砂の自由度が高まります
    もちろんソイルなど水を酸性に傾ける底砂は避けましょう
  • 暑いのは苦手!?
    クーラーをつけない締め切った室内はことのほか暑くなります。そのため水温がかなり高くなってしまうこともあると思います。32〜33℃程度になるとかなり危険ですが、丈夫なフグたちはほんの一時的であれば問題ないケースがほとんどです。ただ、そのような状態が長く続けば、食欲不振、水質の悪化などを招いてしまいます
    そこで水温を下げるために水槽用のファン(魚の扇風機と思えばいいかな?)を使ったり、なるべくドアを締め切りにしないなどしますが、なかなか思ったような効果を上げられない場合もあります。お金がある人は室内のクーラーをつけっぱなしにするとか水槽用のクーラーを使うという手もありますが一般的ではありません。環境にもやさしくありませんし…
    私の部屋はというと南側に窓がない部屋なので、そんなに暑くはならないようです。フグ水槽の下には暑さに弱いレッドビーシュリンプ(エビ)の水槽がありますが、特に対策もしていないのにこの夏は子供がたくさん生まれています。なので、上にいるフグたちにも暑さの問題はあまりなかったようです。部屋によっては日中の温度が違うケースもあるようなので、導入時に水槽の置き場を考えてみるのもいいかもしれません
    上記以外に、エアーポンプを使って酸素を送ってやるのもよい方法だと思います。それだけで水温を下げる効果もありますし、酸素不足も解消できます。さらにろ過装置を取り付ければろ過もできて一石三鳥です。ただし、飛沫による塩だれが起こりやすいのでこまめに掃除しましょう(汽水なので海水魚ほどひどくありません)
    最後の手段は水換えすることですが、あまり頻繁にやるとフグたちによくないので気をつけましょう
  • 秘密のエサの入手場所@
    なかなかフグがエサを食べてくれないとお悩みの方。実は釣具屋さんにはフグのエサがいっぱいあります!
    例えば、冷凍エビ、冷凍アサリ、冷凍小魚、赤虫(生きてます)、モエビ(生きてます)、ゴカイ各種(生きてます)などなど。ただし、生きているエサに対する反応はちょっと怖いくらい激しいです。残酷だと思うかもしれませんので苦手な人はヤメておきましょう
    でも、もしグルメで困ったフグがいたら試してみるのもよいのでは?上州屋のような大きな店なら女性でも怖くありません
    冷凍ものは商品に変な添加物が入ってないか必ず確かめましょう。あくまで釣り用なので…
    モエビモエビは釣具屋で手に入ります
  • 秘密のエサの入手場所A
    近くに海がある人なら自分で採集するというのもありです。特に磯にはモエビがたくさんいますし、ヤドカリ(殻から出します)やカニ(ハサミは取ること)、小魚もありです
    自然破壊しないよう、少なめに1ヶ月に一度程度、ご馳走のつもりで与えるのがよいでしょう