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花の名所・ガーデン・植物園訪問記

花の名所・ガーデン・植物園訪問記

箱根湿生花園

箱根湿生花園(はこねしっせいかえん)は、湿地性の植物を中心とした箱根町立の植物園。湿地やその周辺に生育する樹木や花の展示が多いですが、山野草や高山植物も見られます。
自生地に合わせた、池や流れが多い自然風の植栽環境も含め、ここまで湿地性植物にこだわった展示をしている植物園はかなり珍しいのではないでしょうか。

園内案内板(クリックすると大きくなります)

箱根湿生花園マップ
湿生花園の名のとおり植物は湿地にちなんだものが多く、水の流れや池も豊富にあります。
園内は順路があるので、その通り歩けば無駄がないでしょう。ここでも順路通りに主な見どころを紹介します。

園内入口の管理棟

園内入口の管理棟休憩所
管理棟を兼ねた立派な入園口。ここで入園料を払って園内に入ります。
棟内には休憩所や展示室、売店があり、山野草などの苗や、お土産を求めることもできます。

外国の山草と園芸種

外国の山草と園芸種
入ってすぐは外国の山草がまとめて植栽されています。
大きな葉が特徴のオニブキをはじめとした外国産の珍しい湿生植物が見所です。

企画展示場

企画展示(春の山野草)
季節ごとに企画展示が行われています。
写真は、サクラソウ類などが咲く春の山野草展の様子。展示内容は毎年異なるので、公式サイトをチェックして訪れるとよいでしょう。

季節の花

ハナショウブ(初夏)と、サギソウ(夏)
ハナショウブやサギソウなど、土に植えっぱなしだと育成が難しい湿生植物が、休憩所前の広場にまとめて展示されています。こちらも毎年展示内容が異なるので公式サイトで確認を。

落葉広葉樹林区

落葉広葉樹林区落葉広葉樹林区のカタクリ
箱根でみられる落葉広葉樹が植えられたエリア。
樹木の下にはカタクリやエビネなどの季節の花が見られます。

ススキ草原区

ススキ草原区アザミ
ススキ草原やシバ草地に生える植物を集めたエリア。オミナエシやキキョウ、ワレモコウ、アザミ、マツムシソウなど、主に晩夏から秋に咲く花が植えられています。

低層湿原区

低層湿原区(クリンソウ)
低層湿原区(アサザ)
川や湖沼の周辺でみられる低層の湿原を模したエリア。春に咲くミズバショウや初夏に咲くクリンソウやサクラソウのほか、チョウジソウ、アサザなどが咲きます。

低層湿原区のミズバショウ群落

低層湿原区のミズバショウ
低層湿原区のミズバショウ(初夏)
各季節に花が見られますが、特に春に咲くミズバショウの群落は大きな見所。
また、ミズバショウの春の可憐な花と、初夏以降の大きな葉とのギャップにも注目です。

ヌマガヤ草原区

ヌマガヤ草原区(ノハナショウブ)
ヌマガヤ草原区(レンゲツツジ)
尾瀬や霧が峰などでよく見られる湿原を模したエリア。低層湿原から高層湿原に変化していく途中の湿原となっています。樹木が途切れて開放感があります。
季節によってレンゲツツジやニッコウキスゲ、ノハナショウブ、アサマフウロ、池にはコウホネなどが咲きます。まとまって咲くというよりも、点々と花が見られる自然な雰囲気となっています。

高山のお花畑区

高山のお花畑区高山のお花畑区(クロユリ)
高山のお花畑では日本の代表的な高山植物を集めています。
湿原や雪渓に関係の深いものから、あまり関係のないコマクサ、クロユリなどもあります。

岩場植物区

岩場植物区
湿った岩場を再現した岩場植物区では、ダイモンジソウやイワシャジン、ホトトギスの仲間などが見られます。なかでも秋に咲くキイジョウロウホトトギスが大きな見所です。

高層湿原区

高層湿原区(ヒメシャクナゲ)高層湿原区(トキソウ)
尾瀬やサロベツ原野に見られるミズゴケ湿原を模したものです。とても小型のヒメシャクナゲやトキソウなどが咲きます。水はほとんど地面の下になり、所々で水溜りになる程度になります。

仙石原湿原区

仙石原湿原区
仙石原湿原区
箱根仙石原に生育する湿原植物を集めたエリア。
ノハナショウブやヒツジグサ、コオニユリ、コバギボウシなどが咲きます。

仙石原湿原植生復元区(低層湿原部分)

仙石原湿原植生復元区(低層湿原部分)
園内とは入り口が繋がっている湿原復元区。箱根の湿原は自然状態では末期のため、その復元実験をしているそうです。低層湿原部分にはサワギキョウやノハナショウブが咲きます。

仙石原湿原植生復元区(高層湿原部分)

仙石原湿原植生復元区(高層湿原部分)
高層湿原部分にはススキが多く見られます。
同時に、隣接する仙石原すすき草原を遠目から眺めることができます。

湿生林区

湿生林区
湿生林区(カキツバタ)
湿地に多いハンノキを中心とした林。林の下にはミズバショウやハンカイソウ、開けた湿地にはサギソウやカキツバタなどが咲きます。
ここに限らず、ちょっとした場所にも水の流れや池があり飽きさせません。

施設の概要

場所
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原817

交通手段
■公共交通機関
小田急線「小田原」駅よりバス「仙石案内所前」下車徒歩8分。
箱根登山鉄道「強羅」駅よりバス「箱根湿生花園」下車すぐ。
JR「御殿場」駅よりバス「仙石案内所前」下車徒歩8分。
他に箱根湯本駅や桃源台などからもバスあり。
新宿駅からの高速バスを利用することもできます。
■車
東名高速道路「御殿場IC」より約20分。
西湘バイパス・小田原箱根道路「箱根口IC」より約35分。
駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://hakone-shisseikaen.com/

My impression

庭園デザイン★★★★
湿地性植物に合わせた水の流れや池、樹木を効果的に使った自然感あふれる展示で好感が持てます。園の緩やかな勾配に従って初期の湿原から発達した湿原へ移り変わる姿を、順を追って観賞できるのも理にかなっています。仙石原や箱根の山々など、周辺の環境も好ましいです。

植物充実度★★★★★
湿地性植物や花の美しい野草の種類が多いです。特に湿地性植物は国内でもあまり例がないほど種類が多く、植栽されている環境も含め見所が多いです。高山植物もそこそこの種類と数が見られます。ツツジなどの花木や、ハンノキをはじめとした樹木も豊富。
植物の管理状態は良好ですが、近年の温暖化もあって高山植物の育成には苦戦しているようです。

娯楽度★★★
自然風の景色の中でみられる花や植物を愛でながら、ゆっくり散策するのに向いています。
ミズバショウやノハナショウブなど花がたくさん見られる時期はあるものの、どの季節も派手な景色ではありません。花や緑に興味がないとつらい部分があるかもしれません。
箱根の中でも落ち着いた雰囲気の箱根仙石原に立地し、周囲には美術館やホテルが多いです。秋ならば仙石原すすき草原に立ち寄るのがおすすめ。
バス等で強羅や芦ノ湖方面に出れば、他にも楽しめる場所は多いでしょう。花や植物の名所でいえば、箱根強羅公園や箱根美術館、御殿場方面の秩父宮記念公園もよいでしょう。

混雑度★★★
箱根の観光地にあるため、それに連動する形で大型連休中などは混雑します。ただ、団体客と鉢合わせでもしない限りは、煩わしいほど混雑するということはないと思います。むしろ、箱根の道路渋滞など周辺の混雑の方が気になります。
施設内はやや広いものの、園路が木道の部分が多く、オープンスペースは多くありません。

交通の便★★★★
公共交通機関利用の場合、最寄り駅から遠いですが、各方面からバスが出ているため良い評価。小田原駅や箱根湯本駅、新宿から仙石原に直通するバスは便利ですが、観光シーズンや大型連休中は渋滞で時間通り着つかないことが多いので注意。混雑が予想されるときは強羅駅や御殿場駅まで電車を利用して、そこからバスに乗るのが確実でしょう。
車の場合、駐車場が広めで普段は問題が少ないでしょう。一方、行楽シーズンは東名高速道路はもちろん、箱根周辺もとても混雑するので早出早立ちを。

総合満足度★★★★★
とにかく湿地性の植物が豊富です。湿地生植物にここまでこだわった植物園は少ないでしょう。また、花そのものよりも、自然環境の再現がメインといえるため派手さはありませんが、個人的には好みの展示が多くとても楽しいです。
一方で、植物に興味が薄い方から見れば、花の少ない時期は地味めな植物園という印象を受けるかもしれません。なるべく花が多い初夏から7月上旬あたりを目安に訪れるとよいでしょう。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(ミズバショウ)
晩春〜初夏、秋(湿生植物各種、高山植物各種)
6月下旬〜7月上旬(ノハナショウブ)
秋(ススキ)

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