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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

箱根美術館の庭園(神仙郷)

箱根美術館は箱根町強羅にある美術館。美術館の展示の一部となっている神仙郷(しんせんきょう)と呼ばれる庭園があり、特に苔と紅葉に見所があります。
創立者の岡田茂吉氏は宗教家としても知られていますが、美術館や庭園は宗教色が濃いわけではなくこだわりなく観賞できます。

園内地図(クリックすると大きくなります)

箱根美術館のマップ(期間限定公開時)
この地図は期間限定の特別公開部分を含んでいます。いつもこの園路を巡れるわけではないので注意。今回は地図の矢印の通りの経路で紹介します

園内入口を兼ねている休憩所

園内入口を兼ねている休憩所
こちらで入場料を払って園内に入ります。建物は売店と休憩所にもなっていますが、帰りに立ち寄るとよいでしょう。紅葉の季節は写真のように行列ができるほど混雑します。

苔庭(水の流れと滝)

苔庭(初夏)
苔庭(梅雨)
園内入ってすぐ広がるのは苔庭。小川の流れに沿って苔とモミジの共演が見られます。
滝を望める橋を渡り、苔庭の核心部に向かいます。橋の上からは苔とモミジが織りなす滝と美しい水の流れを観賞することができます。

苔庭(苔とモミジ)

苔庭(梅雨)
苔庭(紅葉)
橋を渡ると苔庭の核心部。非常に管理状態が良い美しい苔庭が広がります。コケは100種類以上あるということで、よく見れば場面場面で苔の雰囲気が違うことに気づくでしょう。
また、200本以上あるというモミジにも注目で、新緑や紅葉の時期には特に見所があります。

苔庭(岩や樹木の苔とヤマツツジ)

苔庭(岩の苔とヤマツツジ)
地面の苔だけでなく岩や樹木の苔にも注目してみるとよいでしょう。
赤い花は晩春に咲くヤマツツジで、真っ赤な花と苔の緑との対比が美しいです。

真和亭(しんわてい)

真和亭真和亭の抹茶と季節の和菓子
苔庭を見ながら季節の和菓子や抹茶が頼める茶屋。
混雑する紅葉の時期は落ち着きませんが、新緑の時期ならゆっくり苔庭を観賞できるでしょう。

富士見亭

富士見亭富士見亭付近の紅葉
東京にあった岡田茂吉氏の住居を移築したもの。通常は内部を見ることはできませんが、和風の建物が苔庭のよい点景となっています。建物周囲の紅葉も美しいです。

日光殿と、龍頭の滝

日光殿
龍頭の滝と紅葉
催事などが開かれることがある日光殿。設計は有名建築家の吉田五十六(いそや)。
こちらも建物内部に入ることはできませんが、日光殿周辺の庭を観賞できます。特に紅葉と滝のある池は人気のフォトスポットになっています。
なお、期間によっては日光殿周辺は立ち入りできなくなることがあります。

日光殿芝庭から望む景色

日光殿芝庭から望む景色
日光殿南側の芝庭から、茅葺屋根の神山荘方面を見上げた景色。
紅葉が特に美しい場所になっています。

石楽園(せきらくえん)

石楽園(新緑)
石楽園(紅葉)
今までの庭とは雰囲気が異なる開放的な庭で、石組と水の流れ、樹木や花々が楽しめます。
また、斜面になっており箱根の山を望む展望の良さも魅力です。

箱根美術館本館

箱根美術館本館箱根美術館本館2階から見た景色
美術館のメイン施設。日本や東洋の古美術の他、2階から庭園の眺めを楽しめます。
これ以外に岡田茂吉氏の生涯や事業を紹介している箱根美術館別館もあります。

竹庭と、萩の道

竹庭萩の道
竹林の庭と、萩が植えられた道。大きな空間ではありませんが雰囲気が良いです。
萩が見頃になるのは例年9月中旬から下旬ごろになります。

紅葉の季節は美しいが混雑も激しい

日光殿の混雑(紅葉)真和亭の混雑(紅葉)
写真1枚目は日光殿大池のフォトスポットで写真を撮るための行列ができている様子。写真2枚目は真和亭で抹茶を頼む人の行列ができている様子。
紅葉の季節は確かに美しいのですが、混雑も激しく神仙郷の名にふさわしい雰囲気を味わうことが難しいです。新緑や苔が美しい初夏から梅雨の時期にも訪れるてみることをおすすめします。

施設の概要

場所
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300

交通手段
■公共交通機関
箱根ケーブルカー「公園上」駅から徒歩すぐ。
箱根登山鉄道「強羅」駅から徒歩15分。
※強羅駅からはやや急な上り坂になります。
箱根登山バス「箱根美術館・強羅公園」下車すぐ。
■車
東名自動車道「御殿場IC」より約30分。
西湘バイパス・小田原箱根道路「箱根口IC」より約30分。
駐車場あり(無料)※駐車台数は少ない。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.moaart.or.jp/hakone/

My impression

庭園デザイン★★★★
岡田茂吉氏の思想が生かされた庭園デザイン。高低差のある自然の地形を生かした庭園となっており、見晴らしの良い開放感のある斜面には石庭、湿り気の多い低地には苔庭とモミジ、それらを通して流れる渓流と、日本人の自然観に沿った庭園となっています。また、各所にある和風の建物も景色に溶け込んでいます。
自然風の景観を重視した近代的な作庭は個人的にも好みです。

植物充実度★★★
コケの種類が非常に豊富です。定期的な管理により状態が良いのも魅力。モミジも種類は少ないものの本数は多いです。それら以外は日本庭園によくみられる植物がみられます。
庭園の性質上、園芸植物や派手な花は少な目です。
管理状態は非常に良好で、苔の手入れをしている管理者の姿もよく見かけます。

娯楽度★★★
紅葉の季節は誰でも楽しめるほど美しい景色が楽しめます。それ以外の時期は落ち着いた雰囲気が好きな方に向いています。庭園だけでなく美術館の美術品が楽しめるのも魅力ですが、展示内容はやや個性的なので合う合わないがあるかもしれません。
強羅駅近くに立地し、周辺はホテルや旅館が多いですが、斜面地のためか樹木が多く落ち着いた雰囲気。すぐ隣にある箱根強羅公園にはぜひ立ち寄りましょう。
ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで芦ノ湖方面に出れば、他にも楽しめる場所は多いでしょう。また、バスで小涌園方面、登山鉄道で箱根湯本方面に向かうのもよいでしょう。
花や植物の名所でいえば、先に挙げた箱根強羅公園はもちろん、仙石原の箱根湿生花園や御殿場方面の秩父宮記念公園に向かうのもよいでしょう。

混雑度★★★★
紅葉の季節は非常に混雑します。また、箱根の観光地にあるため、それに連動する形で大型連休中などは混雑しやすいです。それ以外の時期は比較的ゆっくり観賞できるでしょう。
施設内はやや広いものの、園路が木道の部分が多く、オープンスペースは多くありません。

交通の便★★★★
公共交通機関利用の場合、箱根登山鉄道を利用できますが、行楽シーズンは車内が混雑するのでなるべく平日か朝早くに乗車したいところです。また、ケーブルカーに乗らなくても徒歩で行ける距離ですが、強羅駅からは登りの道になるので留意しましょう。
小涌園や仙石原方面からのバスの便もあり、美術館近くに停留所があるので便利です。
車の場合、行楽シーズンは東名自動車道はもちろん、箱根周辺もとても混雑するので早出早立ちを。また、美術館の駐車場は駐車台数が少なくあまりあてにはできません。個人的には公共交通機関の利用を推奨します。

総合満足度★★★★
美術館ですが、神仙郷庭園の苔庭とモミジが美しく、それらは展示の一部というよりむしろメインともいえる存在になっています。特に苔の管理状態の良さは一見の価値あり。
一般的には紅葉の美しさで有名ですが、この時期は苔があまり美しくなく、混雑も激しいです。苔の美しさをゆっくり堪能したければ晩春から梅雨の時期に訪れるとよいでしょう。そのころはモミジの新緑も美しいです。あえて小雨の日を狙ってみるのもよいかもしれません。

備考1:自然の地形を生かした庭園のため、バリアフリー的には厳しい施設となっています。

備考2:熱海市にあるMOA美術館の前身である熱海美術館も岡田茂吉氏が創設したもの。MOA美術館は国宝が3点あるなど美術品の充実度は高いです。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
晩春〜初夏(新緑、ヤマツツジ)
晩春〜梅雨(コケ)
晩秋(紅葉)
※冬は保護のためコケに藁がかけられています。

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