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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

府中市郷土の森博物館

府中市郷土の森博物館は東京都府中市にある博物館。広大な園内を持ち、府中市に関係のある様々な復元建物や地形のほか、ケヤキ並木、田んぼ、雑木林などが点在しています。
特に注目なのは、四季折々の美しい花々。園内には、ウメやアジサイ、ヒガンバナなどが多く植えられており、それぞれの花の季節には祭りも開催されて多くの人々で賑わいます。
さらに、博物館本館では府中市の歴史や文化、プラネタリウムなども見学でき、自然と歴史、文化を一度に楽しめる複合施設となっています。
なお、このページでは、主に園内の花や緑の見所について紹介しています。博物館としての紹介が知りたい場合は公式サイトや別のサイトをご確認ください。

園内地図(クリックすると大きくなります)


とても広い園内ですが、散策するにはちょうど良い大きさです。ただ、見所が各所にあるため、すべてを観賞・見学しようとするとかなり時間がかかってしまします。時間が足りない場合は、季節ごとの見所を集中して巡るのが良いでしょう。
特に順路はないため、花や植物を中心とした主な見どころを、正門から時計回りで順に紹介していきます。

正門付近

正門付近
広い園内ですが、入口は北側にある正門1か所のみです。ここで入館料を支払って園内へ。
大きな建物は博物園本館で、園内散策の終わりに寄ることにします。

けやき並木

けやき並木
博物館本館から南に伸びるメインストリートにあるケヤキ並木。府中市の府中本町駅近くにある大國魂神社のケヤキ並木をモデルとしたそうです。
ケヤキは武蔵野の景観を象徴する存在で、郷土の森博物館の雰囲気づくりにも貢献しています。

旧府中町役場

旧府中町役場
園内には様々な復元建物があり興味深いです。ここでは特に、花や植物と同時に楽しめるものをいくつか紹介します。
1つ目は旧府中町役場。大正時代の洋風建築となっており、内部の見学も可能です。
ウメやアジサイの季節なら花と合わせて楽しめます。

旧府中郵便局取扱所


復元建物2つ目は旧府中郵便局取扱所。ウメやヒガンバナの季節なら花と合わせて楽しめます。

旧河内家住宅(ハケの上の農家)

旧河内家住宅(ハケの上の農家)
復元建物3つ目は旧河内家住宅。浅間山(府中にある自然豊かな小高い丘)の近くにあった代表的な畑作農家の家です。
アジサイの季節なら、周囲の樹木とともに花と合わせて楽しめます。
他にも旧越智家住宅(ハケの下の農家)があり、こちらは代表的な稲作農家の家となっています。

水車小屋

水車小屋
武蔵野に多かった「胸掛け式」という水車を再現しています。
アジサイの季節なら、周囲の竹林や樹木とともに花と合わせて楽しめます。

ハギのトンネル

ハギのトンネル
トンネル状になったハギの咲く道。
9月のヒガンバナが咲く季節なら、運が良ければハギも同時に見頃をむかえます。

川崎平右衛門翁像付近のウメ

川崎平右衛門翁像付近のウメ
江戸時代に活躍した府中市の名主で、武蔵野新田の開発に尽力した川崎平右衛門翁の銅像付近には様々な花がみられます。2月にはウメ、9月にはヒガンバナなど。

田んぼ

田んぼ(初夏)
田んぼ(秋)
府中市付近では少なくなった田んぼを再現しています。
季節により移り替わる長閑な風景が魅力で、特に9月のヒガンバナの季節は、案山子に見守られてる黄金色に実った稲が美しいです。

アジサイの丘

アジサイの丘
斜面状になった場所にアジサイが多く植えられています。
田んぼの背景にもなっており、ここが谷状の地形であることが分かります。

モミジの滝

モミジの滝
敷地の高低差を生かした、幅の広い立派な滝。
少し分かりづらい場所にあるので、観賞する際は地図でよく確認しましょう。

水遊びの池と、芝生広場

水遊びの池芝生広場
園内にはこうしたレクリエーションが楽しめる施設も多いです。
よく整備された公園として利用でき、市民の憩いの場ともなっています。

アナベルの丘

アナベルの丘(上から)
アナベルの丘(下から)
芝生広場の西側の斜面には、アナベル(北米原産のアジサイの改良品種)が植えられています。最盛期は斜面が白く染まるほどボリュームがあり、量感としては在来種のアジサイを上回ります。
見頃は例年6月中旬〜7月上旬ごろ。最盛期の時期も長いので長期間楽しめるでしょう。

梅園1

梅園
梅園
府中市の市の花であるウメが植栽されている梅園。地図を見てもわかる通り園内の南側には梅園が広がっており、園のメインともいえる花です。
品種・本数ともに多く約60品種、1100本とのことで、都内最大規模のウメの名所となっています。

梅園2

梅園
梅園にくるメジロ
ウメは主に1月から3月まで咲きますが、最盛期は例年2月中旬〜下旬ごろ。
環境が良いためか樹勢が良く花つき十分で、花の蜜を求めるメジロなどの野鳥が多くみられます。

ヒガンバナ1(梅園内)

ヒガンバナ(梅園内)
ヒガンバナ(梅園内)
9月になると一転して梅園の下がヒガンバナで真っ赤に染まります。
首都圏にあるヒガンバナの名所としては埼玉県にある巾着田には及ばないものの、それに次ぐくらいのボリュームがあります。

ヒガンバナ2

ヒガンバナ(旧府中郵便局取扱所付近)
ヒガンバナと蝶
ヒガンバナは、梅園以外にも田んぼや旧府中郵便局取扱所付近など各所にみられます。
見頃は例年9月中旬〜下旬ですが例年変化し、最盛期の期間も短いので公式サイトやSNS等を活用して情報をチェックしましょう。

ロウバイの小径

ロウバイの小径
梅園の奥にあるロウバイの咲く細長い小路。寒い冬に暖かな黄色い花を咲かせます。
見頃は例年1月中旬〜下旬ごろですが、その年の気候に影響を受けやすいのでヒガンバナ同様情報をチェックしましょう。

富士見の丘

富士見の丘
富士見の丘のしだれ梅
梅園の西側には小高くなった丘があります。このあたりは枝垂れるタイプのウメが多くみられます。
また、ウメの背景に立派なケヤキの木のシルエットがみられるのもポイント。

アジサイの小径

アジサイの小径
ロウバイ同様、アジサイの咲く細長い小径があります。
小径を歩きながら奥行きのある景色を楽しむことができます。

ハケ下の流れ

ハケ下の流れ
園内の中央には流れがあり、変化のある景色をつくっています。
これらはハケ(崖地形、特に武蔵野地方でよく使われる)の下にある湧き水の流れを表しており、こうした場所には田んぼやため池などが造られていました。
ランドスケープデザインのためだけではなく、郷土の地形の再現という位置づけとなっています。

旧三岡家長屋門

旧三岡家長屋門
江戸時代後期に建てられた立派な長屋門。東京都の指定文化財ともなっています。
写真のように、アジサイの時期は建物が背景にもなります。

浅間山

浅間山
浅間山は府中の街中に奇跡的に残った、武蔵野の自然景観を色濃く残した小高い丘のことです。
その浅間山の自然を再現している雑木林となっています。

アナベルの小径

アナベルの小径
けやき並木の横にある芝生広場の奥には、アナベルが植えられた花壇があります。
同時期に咲く常緑ヤマボウシの白い花も合わせて観賞できます。

ハケの茶屋

ハケの茶屋ハケの茶屋の軽食
訪れる人に合わせた、気軽な雰囲気で入れる茶屋。比較的安価な軽食がメインです。
他にも、やすらぎ亭や博物館本館でも飲食が可能ですが、営業日や営業時間が開園日や開園時間とは異なるので、事前に確認しておきましょう。

博物館本館

博物館本館
正門すぐにある、立派な建物の博物館本館。
内部では府中市の歴史や文化を学べる常設展示のほか、様々なテーマの展示がある企画展示、興味深い投影プロジェクトのあるプラネタリウムが見学できます。
花を観賞した後に、時間に余裕があったら立ち寄ってみるとよいでしょう。

観光物産館

観光物産館
園の外に出てすぐの所にある観光物産館。府中市周辺にまつわるお土産や、地元の新鮮な野菜、情報提供コーナーのほか、軽食から本格的な定食まで楽しめるレストランもあります。
こちらも、時間に余裕ががあればぜひ立ち寄りたい施設です。

施設の概要

場所
東京都府中市南町6丁目32

交通手段
■公共交通機関
京王線・JR「分倍河原」駅から郷土の森総合体育館行きバス「郷土の森正門前」下車すぐ。
京王線・JR「分倍河原」駅から徒歩20分。
JR「府中本町」駅から徒歩20分。
西部多摩川線「是政」駅から徒歩20分。
地元民向けに分倍河原駅や府中駅からコミュニティバスの便もあり。公式サイトを要確認。
■車
中央自動車道「国立府中」ICから約10分。
中央自動車道「稲城IC」から約10分。
駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.fuchu-cpf.or.jp/museum/

My impression

庭園デザイン★★★★
武蔵野でよく見られる地形であるハケ(崖地形)を再現することで、結果的に一種のランドスケープデザインとして成立しています。ハケの上のケヤキが好むような乾きやすい土壌と開けた景色、ハケの下の水が流れるアジサイやモミジなどが好む湿った土壌と落ち着いた景色といった具合です。
さらに、復元建物や広場が各所に配置され、ウメなどの花木が多く植栽されていますが、これらの景観を邪魔することはなくよく調和された空間となっています。

植物充実度★★★
ウメは品種・数ともに多く最盛期はとても美しいです。他にはアジサイ(アナベル)やヒガンバナも、ボリュームがあり楽しめます。ロウバイは植栽範囲が広くないので近隣の方向け。それ以外の季節は自然散策するつもりで楽しむとよいでしょう。
植物の管理状態は良好です。

娯楽度★★★★
ウメやアジサイ、ヒガンバナの最盛期は特別に花に興味がなくても楽しめます。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
水遊びの池や芝生広場、博物館本館、各種復元建物など花以外の見所やレクリエーションも多く、娯楽度は高めです。
茶屋や博物館本館、観光物産館で飲食が楽しめます。軽食から定食まで提供される食事に幅があるので、様々な立場の人でも求めやすいのが魅力です。お土産を購入するのも良いでしょう。
周辺観光では同じウメが見所の京王百草園神代植物公園のほか、大國魂神社、東京競馬場など、花めぐりも含め楽しめる施設がかなりあるものの、個人的には府中市郷土の森博物館のみをじっくり巡った方が余裕をもって楽しめると思います。

混雑度★★★★
ウメやアジサイ、ヒガンバナの最盛期はとても混雑します。特に分倍河原駅からの路線バスが混雑しやすいです。土日祝であれば早めに駅に着いて並んでおくのが良いでしょう。なお、周辺の駅から歩ける距離にはあるものの、どの駅からも20分程度かかることは考慮しましょう。同行人数が多いならばタクシーの利用も検討したいです。
施設内は広く、オープンスペースも多いため、一度園内に入ってしまえばそれほど混雑感は強くないですが、上記3つの花の最盛期にゆっくり観賞したいなら平日に訪問するなど工夫しましょう。

交通の便★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩ける距離ですが、各駅とも絶妙に距離が離れており、特に利便性の良い分倍河原駅や府中本町駅からは道順も少し分かりづらいです。
基本的には分倍河原からの路線バスの便を利用しましょう。都内の路線バスとしては本数がやや少な目ですが、乗車時間が短いので座れなくても問題は少なく一番楽です。
車の場合、専用の駐車場があり無料となっています。ただ、公式サイトにもある通り、花の最盛期の土日祝は満車となることも多く、公共交通機関の利用が推奨されています。これらの季節は早めに駐車場に着くことをお勧めします。

総合満足度★★★★
博物館ですが、ウメの花のボリュームは、都内にある有名なウメの花の名所を上回るものとなっており見応えがあります。また、アナベルやヒガンバナの数もかなりのものです。
これらの花と調和するような園内のデザインも良く、狭義な庭園デザインというくくりでは評価しづらいものの、気軽に散策する施設としては、非常に完成度の高い空間となっています。
また、地元の方が多めの素朴な雰囲気も好印象。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
2月中旬~下旬頃(ウメ)
6月中旬〜下旬頃(アジサイ、アナベル)
9月中旬〜下旬頃(ヒガンバナ)
※花の最盛期は年によって異なるので、訪れる際は公式サイトや各種SNSを確認ください。

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