東京都日野市にあるウメの花で有名な日本庭園。前身だった松連寺の廃寺を経て、明治時代に地元百草出身の貿易商、青木角蔵氏により復興・一般公開したものです。現在は京王電鉄所有となっています。
多摩丘陵の傾斜を利用した庭園内に、たくさんのウメの花が咲き乱れます。
入口からジグザグにきられた園路にそって見晴台まで登る構成になっています。傾斜はきつめで車椅子での散策は補助があっても厳しいかもしれません。
ここでは入口のある園内下段から、見晴台に向かって主な見所を紹介します。
階段を登り、小さな受付で入場料を払います。日本庭園らしい質素なたたずまい。
入口周辺はモミジが多く、新緑や紅葉の時期は美しいです。
庭園内に入ると左手に下段の広場があります。若山牧水の記念碑をたくさんのウメが囲んでいます。
上段にあるウメと一緒に観賞できるので、よりボリューム感が感じられます。
上段に向かって上ると、まず見えてくるのが寿昌梅(じゅしょうばい)という大きなウメ。
松連寺を再建した寿昌院という尼僧によって植樹されたものとして伝えられています。
寿昌梅の後ろに建つ茅葺屋根の松連庵(しょうれんあん)。
古風な建物と、古木のウメとの組み合わせはとてもよく似合います。
松連庵との隣にある上段の広場は、ウメが密に植えられ美しいです。
特に写真2枚目の蓮久(れんきゅう)という早咲き品種の紅梅が見事。
貸し出しをしている茶室の三檪庵(さんれきあん)や、庭園に変化をつける心字池。日本庭園らしい落ち着いた雰囲気です。この付近はウメの開花期より、新緑や紅葉の時期の方が見所が多いです。
百草八幡神社に出る横道があり、紅葉の時期は三檪庵に植えられたモミジが赤く染まります。
なお、近年は神社側に通り抜けができなくなっています。
さらに斜面を登ると見晴台にたどり着きます。
園内のウメはもとより、遥かスカイツリーも見通せます。紅葉の時期も見所があります。
見晴らし台は樹林の中にあり、なおかつ東に向いているので、午前中でないと写真1枚目のように奥側の樹木まで光が届ないので注意(手前が陰になってしまう)
遠方から訪れるならウメの時期が良いですが、花期を合わせられる花は少ないです。
比較的ボリュームを持って観賞できるのはニホンズイセン。斜面に群落がみられます。
京王百草園の駅からは急な坂道を登ります。かなり傾斜があり、普段歩きなれている人でも少し息が切れるかもしれません。グーグルストリートビュー等で坂道を確認し、無理そうと感じたならタクシーを利用するのも一考です。
場所
東京都日野市百草560
交通手段
■公共交通機関
京王線「百草園」駅より徒歩10分。
■車
※専用駐車場なし、車利用の場合は近隣駐車場を利用のこと。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.keio-mogusaen.jp/
庭園デザイン:★★★
旧寺院だっただけあり、急な斜面地にある日本庭園。段になった部分に平地を造り、そこに樹木や池、茶室などを配置しています。開放感と展望の良さが楽しめます。斜面に植栽されているので、ウメのボリューム感がより強く感じられるのも良い点。
一方で、園内は階段や斜面が多く、散策するのはやや大変です。
植物充実度:★★★
ウメの木が数・品種数ともに多く見られます。モミジも多く新緑や紅葉の時期も見所があります。それ以外にも各季節に花が見られますが、ウメほどの充実度はありません。植物の管理状態は良好。
娯楽度:★★★
ウメの開花最盛期は庭園や花に興味が薄くても楽しめると思います。紅葉の季節も良いでしょう。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
梅まつりの時期は茶店等が出ます。軽飲食程度なら困らないでしょう。
ウメの時期なら府中市郷土の森公園に寄ってみるのもおすすめで、3駅隣の分倍河原駅からバスが出ています。紅葉の時期なら高幡不動尊もよいでしょう。
混雑度:★★★★
ウメの開花最盛期は混雑します。施設内はやや狭く斜面地が多いですが、オープンスペースは比較的多いです。ウメの開花最盛期にゆっくり観賞したいなら、朝方や平日に訪問するなど工夫しましょう。
それ以外の季節は混雑することは少ないです。
交通の便:★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩いて行けるのでやや良評価。ただ、駅からの道はかなりの急坂を登ることになります。
車の場合、専用の駐車場はないので、周辺のコインパーキングを利用します。公共交通機関利用を推奨しますが、坂道を上るのが難しい場合はタクシーを利用した方がよいでしょう。
総合満足度:★★★
ウメの美しい日本庭園。多摩丘陵の傾斜を利用した花の量感が見所です。あまり余計な造作もなく、ゆっくりと和の雰囲気に浸るのに良いと思います。ウメ以外の時期は紅葉なども楽しめますが、ウメが植えられている面積の多さから見ても、ウメの開花期が一番の見所であることは間違いないでしょう。
駅からの経路や園内を含め、急な坂道や階段が多いのでそのあたりは承知のこと。バリアフリー的な意味ではやや厳しい施設となっています。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
早春(ウメ)