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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

箱根強羅公園

箱根登山鉄道の終点である強羅駅近くにある有料公園。
1914年(大正3年)開園という歴史のある施設ですが、園内にはおしゃれな飲食店や体験施設があり、観光地としても賑わいを見せています。一方で、元々の庭園や植栽も大事に守られており、花や植物が好きな方でも十分満足できる施設になっています。

園内地図(クリックすると大きくなります)

箱根強羅公園マップ
斜面の中央の平坦部に噴水池を配して、噴水池の上部はローズガーデン、下部には熱帯博物館や茶苑がある分かりやすい構成です。
ここでは庭園下部にある正門から時計回りで、主な庭園や植物、花の見どころを紹介します。

正門付近

正門付近
強羅駅から近い正門。傾斜でいえば園の最下部になります。
この正門をはじめ、噴水池や茶苑、石垣や石段などは造園当時の姿をよく残しています。これらを含め強羅公園は国登録記念物となっています。

噴水池

噴水池(ツツジ)
噴水池(紅葉)
正門から階段をまっすぐ進むと現れるのが大きな噴水池。強羅公園のシンボルともいえる存在です。
池の周囲にはツツジ類が多く植えられており、例年ゴールデンウィーク頃が見頃となっています。また、秋には箱根の山々を借景にした紅葉も楽しめます。

ヒマラヤ杉

ヒマラヤ杉
公園造営前から日本に輸入されたというヒマラヤ原産の杉。
強羅公園のシンボルツリーといえる高木で、立派な姿となっています。

ヒマラヤ杉のある段から見下ろす噴水池

高台から見下ろす噴水池
ヒマラヤ杉のある段から少し南に移動した場所からは、噴水池を大きく見下ろすことができます。
特に、前景のツツジが咲く時期はぜひ立ち寄ってほしい景色になります。

ローズガーデン

ローズガーデン
園内の最上部にあるローズガーデン。音楽堂という東屋がポイントになっています。
斜面にあるためボリューム感があり、またバラ以外にも宿根草やリーフプランツが下草として植えられており、見応えがあります。

西門

西門
もう一つの出入り口である西門。ローズガーデンの上部にあります。
ここから出れば箱根美術館や、仙石原や小涌園方面に向かうバス停が近いことは覚えておきましょう。

石組と、ツツジやシャクナゲ

石組と、ツツジやシャクナゲ
園の北側部分は石組みが多く、自然に生えたと思われるコケと相まって、和風庭園の趣が強くなります。高木の下にはツツジやシャクナゲなどの花木が見られます。

白雲洞茶苑(はくうんどうちゃえん)

白雲洞茶苑(寄付付近)
白雲洞茶苑(白雲洞)
大正時代に建てられたという茶室。4棟の茶室が斜面に点在するように建てられているのが特徴で、茶苑の主題である「深林の中に侘び住む山びとの住まい」ともよく合っています。
有料ですが、点茶とお菓子付きで茶室内を観賞することができます。

白雲洞茶苑の庭園

白雲洞茶苑の庭園
付属茶花園
茶室だけでなく、周囲の庭園も美しいので観賞するとよいでしょう。特に、苔が美しい初夏から秋の季節がおすすめです。
また、奥側には付属茶花園もあるので、植物が好きな方は寄っていくとよいでしょう。茶花のため派手さはありませんが、楚々とした花や植物を観賞できます。

熱帯植物館

大理石製の噴水
熱帯植物館のブーゲンビレア
いくつかの温室を組み合わせた、立体的な動線の熱帯植物館。熱帯植物や熱帯ハーブ、大理石製の噴水などを観賞できます。
また、初夏〜夏頃が見頃のブーゲンビレアもおすすめ。様々な品種があり、特に国内最古ともいわれる盆栽風の大株が見所です。

アジサイ展

あじさい展
園内には様々な場所でアジサイも見られます。花期は平地よりやや遅めの6月下旬ごろ。
また、イベント館であじさい展が毎年開かれています。展示の時期や内容は毎年異なるため、お出かけ前に公式SNS等で確認ください。

シャクナゲ

シャクナゲ
熱帯植物館の周囲にはシャクナゲが多くみられます。
花期は例年、ゴールデンウィーク手前あたりが見頃となります。

おしゃれな飲食店

Cafe PIC一色堂茶廊
おしゃれなカフェやレストランがあり、建物は庭園の点景ともなっています。
一色堂茶廊はテイクアウトも可能で、噴水のベンチでゆっくり味わうこともできます。

体験施設

箱根クラフトハウスとんぼ玉工作堂
吹きガラスやとんぼ玉、陶芸等の体験施設があり、プロが作った作品を購入することもできます。
こういったことを主目的に訪れるのもよいでしょう。

施設の概要

場所
神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300

交通手段
■公共交通機関
箱根登山ケーブルカー「公園下」駅から、徒歩2分(正門)
箱根登山ケーブルカー「公園上」駅から、徒歩2分(西口)
箱根登山鉄道「強羅」駅から、徒歩6分(正門)※上り坂注意。
箱根登山バス「箱根美術館・強羅公園」下車、徒歩すぐ(西口)
■車
東名高速道路「御殿場IC」から乙女峠経由、約30分。
小田原箱根道路「山崎IC」から宮ノ下経由、約30分。
※駐車場あり(有料)。駐車台数がやや少な目です。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.hakone-tozan.co.jp/gorapark/

My impression

庭園デザイン★★★
日本初のフランス式整形庭園とのことですが、庭園デザインはフランス式整形庭園とはやや異なる比較的自由なスタイルとなっています。これは本場のフランス式整形庭園の多くが平坦で広い立地に造園されるのに対し、斜面の細長い立地に造園されていることが影響していると思われます。
そうした違いは悪いことではなく、現地資料が少ない中で、自然を模範する日本人の感性に合わせて造園したともいえるでしょう。また、借景の箱根周辺の山の景色も同時に楽しむことができるのも魅力。
一方で、狭い離隔で様々な施設が混在し統一性に欠けるのは、ややマイナスといえます。

植物充実度★★★★
バラやツツジ、シャクナゲが充実しています。アジサイも楽しめます。また、数は多くないものの花木や草花類の種類もかなり充実しています。熱帯植物館も比較的多くの植物が植えられています。
植物の管理状態は良好です。

娯楽度★★★★★
ツツジやシャクナゲ、初夏バラ、アジサイ、紅葉の最盛期は植物に興味薄い方でも楽しめます。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
園内にはおしゃれなカフェやレストランやショップ、体験施設があり、そういったことが目的でも楽しめるでしょう。
箱根強羅の観光地にあり、強羅周辺はもちろんバスやケーブルカー、登山鉄道を使って箱根にある観光地を巡れるのは大きな魅力です。
個人的なおすすめは公園上部の西門を出てすぐにある箱根美術館で、美しいコケやモミジの新緑紅葉が楽しめます。さらに仙石原方面にある箱根湿生花園もチェックしておくとよいでしょう。

混雑度★★★
ゴールデンウィークから初夏バラの最盛期は混雑します。紅葉時もやや混雑します。一方で、主力の花が分散しているためか、非常に混雑するということも少ないです。なお、箱根の観光地という面もあるため、箱根が混雑していると施設も混雑しやすいです。
施設内はやや狭いですが、オープンスペースは比較的多くベンチも多いです。混雑時でもゆっくりできる場所はあるでしょう。

交通の便★★★★★
公共交通機関利用の場合、ケーブルカーの最寄り駅からすぐで非常に良いです。なお、ケーブルカーを利用する場合は「公園上」駅の方を利用すると斜面を下りながら園内を散策できます。また、バスの便も頻繁にあるので困ることは少ないでしょう。
一方で、強羅駅からの行程は坂道となり、足が不自由な場合は少し大変です。グーグルマップのストリートビューで確認し、無理そうであればケーブルカーやタクシーの利用を考えておきましょう。
車の場合、駐車場は台数が少なめですがあります。ただ、周辺の道が坂だったり狭いところが多いので運転には注意。個人的には公共交通機関の利用を推奨します。

総合満足度★★★★
まず、観光地の交通の要所である強羅駅から歩いて行ける立地なのがありがたいです。観光ルートのひとつとして自然に組み込むことができます。交通の便の良さというのは何事にも代えがたいです。
おしゃれな飲食店や体験施設ができ観光地化されてはいるものの、庭園や植物の充実度も高いです。ツツジや初夏バラはもちろん、そのほかにも四季折々の花が見られます。集客を図りつつ、庭園の美しさも生かすという、程よい形での折衷案といった施設といえるでしょう。

備考:箱根の山の山腹にあるため、平地と比べると少し花期が遅めになっています。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
晩春(ツツジ、シャクナゲ、新緑)
5月下旬〜6月頃(初夏バラ)
6月中旬〜下旬頃(アジサイ展)
晩秋(紅葉)

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