小型水槽水草レイアウト
水槽をセットするまでの手順
セットするまでの手順を順を追って紹介します
買う前にどのようなイメージにしたいのかよく考えましょう
- 完成形をイメージする。初めにはお気に入りのレイアウトを真似るのもOK
頭で想像するだけでなく、紙にデッサンしたりするのもよいと思います。それが難しいと思ったならば、まずは気に入った水草レイアウトをまねしてみるのもよい勉強になります。また、下のように配置図を描くとイメージがまとまりやすくなります。
基本的には後景に背の高い水草、中景にポイントになる水草を配置して、前景には背の低い水草を植え込むのが普通です。初めのうちは基本に習って作ってみた方がよいでしょう。 - 基本的なレイアウトの種類と例
両脇
片流れ
中央
この3つがよくある配置の例です。
これらはレイアウト例も多く、初心者の方もとっきやすいのではないでしょうか。
でも、ある程度なれてきたら常識に縛られず自由にデザインして、思いつくままに作ってみるのも楽しいものです。
もちろんレイアウトを考える前に水槽の大きさも考えなければなりません。
水槽の大きさは置き場によっても変わりますが、始めは横幅30cmくらいのもので腕試ししてみるというのがオススメ。奥行きは15cm以上はほしいところです。
水槽の高さが低いと植えにくい水草があります。迫力ある水槽を作りたければ、初めから高さのある水槽(30cm以上)を選択しましょう。これならば大抵の水草は植栽できます。
レイアウトの骨格となる流木や石は自分のイメージに合うものがみつかりにくい場合が多いですが、常に気に入ったものをストックしておくとよいと思います(その際、流木は前もってアク抜きをしておくと良いです)。やわらかい流木の場合は自分で加工も可能です。
水槽の置き場を慎重に決めましょう
- 水を入れた水槽はとても重いので置き場の選定は大事なポイント
小型水槽でも水やソイルなどを入れるとかなり重くなります。ふらつかないしっかりとした場所にしましょう。もし場所を移動しなければならなくなった場合は水やレイアウト素材を出して動かさなければいけないので大変です。
水槽の大きさが15×15cm程度までだったら動かすことは簡単ですが、それでも本体はガラスですから水や石などは抜くべきでしょう。
コケを誘発する日当たりのよい場所、出入りの激しいうるさい場所などは避けた方が無難です。魚を脅かしてばかりいると、奥のほうに隠れて前に出てこなくなります。
お店で器材を購入して、水槽を配置します
- 馴染みの店があると便利。近くになければ通販でも
近場の水草に強い観賞魚店を探します。
わからなければネットなどで調べてみるとよいでしょう。
観賞魚店というと女性や一見さんには入りづらい印象がありますが、お洒落な店も増えています。特に水草に強いところは清潔でお洒落な場合が多いような気がします。店選びは重要な要素なので、納得するまで色々とのぞいてみるのもよいと思います。
どうしても水草に強いお店がなければ水草に強い通販店で買うのもありです。意外と水草に強い実店舗は少ないものです。
魚主体の販売をしている観賞魚店は水草の品質や器具の品揃えが良くない場合が多いです。水草に強くない店で下手に水草を買うと、状態が悪くて枯れたりするだけでなく、よくない貝やコケの侵入、農薬などがついていることがあり困ったことになります。
以前、私は家から遠い所にある水草に強い店まで足を運んでいましたが、育成に慣れた今はほとんどの器材や水草を、水草に強い通販店で購入しています。
- 器材を購入します
お店の人にやりたいことや予算などを告げて相談しながら、必要な器材を購入します。店によっては、水草栽培用にアレンジされた水草水槽セットなども販売しています。よほど難しい水草でなければ、一緒に水草も買ってきてしまってかまいません。
ですが、魚やエビを入れるのは少し待ちます。セット初期は水質が安定せず、魚やエビに大きな負担を与えるからです。水槽に底床を入れ、すべての器材(特にろ過器)を動かしてから一週間ぐらい待ったあとに魚を迎えます。
万全を期すなら、水草もその時に植栽してもよいでしょう。
- 水槽セットには丸一日分の余裕がほしい
水槽のセットは一日仕事です。余裕のある日に行いましょう。
買ったばかりの水槽はメラミンスポンジなどを使って水洗いしたほうが良いです。ガラス水槽なので取り扱いに十分注意します。
水槽をそえつける前に、必要に応じて水槽の後面にバックスクリーンを張っておきましょう。そえつけた後からでは張りづらくなってしまいます。小型水槽の場合はない方が雰囲気がよい場合もありますが、電気配線が目立つ場合には目隠しにもなります。
準備が済んだら、あらかじめ決めておいた場所に水槽を配置します。
底にソイルや砂を入れます
- ソイルは洗っちゃ駄目!
ソイルを敷きます
便利な砂利スコップ
ソイルの場合は洗わないでそのまま水槽に入れてください。洗うと粒がつぶれて大変なことになります。逆に砂や砂利の場合は、よく洗ってにごりがなくなってから入れます。
その際は、砂利スコップがあると大変便利なのでぜひ購入しましょう。ソイルの場合でも将来のソイル交換のときに役に立ちます。
底床の厚みは大体4〜5cm程度の深さにすると丁度よいです。20cm以下の超小型水槽の場合は5cmも入れるとバランスが悪くなるので3〜3.5cmくらいにします。
砂や砂利の場合はこのときに底床肥料を埋めておきます。
ソイルにはすでに肥料が入っている場合が多いですが、ソイルでも肥料食いのよい水草を多めに植え込む時には肥料を追加してください。
底砂式フィルターを使用する場合はフィルターを先に設置するのを忘れずに。
- 番外編1:化粧砂を敷く場合
化粧砂を使ったレイアウト
紙と石で分けている
前面に化粧砂を敷きたい場合は、この時点で分けておく必要があります。分け方は右の写真のように紙などで境を決めテープや石などで動かないように固定します。そこに砂とソイルを分けて入れますが、片方一気に入れないで両方に少しずつ入れていくと境が崩れません。
とても美しいレイアウトになりますが、途中でのレイアウトの変更や、その後の維持も難しくなるので、水草栽培に慣れてからのほうがよいと思います。 - 番外編2:高低差を自然につけたい場合
底をくり抜いた黒ポットを置く
ソイルを入れれば高低差がつく
小型水槽では奥行き幅が少ない場合が多く、自然な高低差をつけることは難しいです。そこで一部を黒ポットなど耐水性のある薄い素材でかさ上げし、そこに水草を植えることで自然な高低差がつけられます。これを大型水槽のように石でやろうとすると幅が取られてしまい不自然になってしまいます。黒ポットの前面は水草や石などで上手く隠せるようにしましょう。
器材を配置します
- 水草を植えるよりも先に器材を配置するのがポイント
ろ過器やヒーターを配置したところ
流木や石を配置する前に、ろ過器(底面ろ過なら底砂を敷く前に)や寒い時期ならばヒーター、必要に応じて二酸化炭素添加装置などを水槽に配置しておきます。
水草を植えた後からだと、うまく配置できない場合があるからです。特に小型水槽ではその傾向が強いので先に配置してしまいます。なるべく流木や水草で隠れるような配置を心がけてください。
安全のため、ろ過器やヒーターなどの電源コンセントはまだ入れないでおきます。
石や流木を配置します
- レイアウトの良し悪しを決める大事な部分。でもあえて置かないのもあり…?
レイアウトの骨格にかかわるので、慎重に置き場を考えます。
先に考えておいたイメージを大事にしつつ、実際に水槽に入れてバランスを確かめてください。これによって良し悪しが決まる場合が多いので、自然の風景を見たり経験を積んで自分なりの配置法を学んでください。
初めのうちは、雑誌などで気に入ったレイアウトを真似するのもよいでしょう。
今回の例では左に流木を置いた片流れのレイアウトを作ります。
もちろん水草のみのレイアウトもアリなのですが、中級者以上向きなので初めは避けます。作ってみるとわかりますがレイアウトのバランスをとるのがとても難しいです。見栄えがトリミングによるところが大きいのも、初心者には敷居が高いと思います。
見た目と安定のために、石や流木のまわりに底砂を寄せます.
流木の間に土が入れづらい場合はレンゲを使うと楽です。
配置が終わったら、底砂をスクレーパーなどの平らな板で綺麗にならしておきます。
レンゲとスクレーパー
水草を植える下準備をします
- 買ってきた水草をすぐ植えられる状態にします
水草を植栽する前に、すべての水草をすぐ植えられる状態にしましょう。ショップで売っているものは、ポットに入ったものや、輪ゴムや鉛板で止められているもの、そのまま根や茎だけが露出したものなどがあります。
取りづらいウールマット
ポットに入ったものは大抵、根を保護するためにウールマットで包まれています。これは非常に取りづらいので、手とピンセットである程度まで綿を取ったらバケツなどで水草の根を振って落とします。さらに傷んだ葉や根をきれいにしておくと、ゴミも減るし成長もよくなります。輪ゴムや鉛板のもの、そのままのものも同様にきれいにしておきます。
種類によってはこの時、細い根をすべて切ってしまう方がよいものもあります。
この作業中に水草を乾かしてしまうことがないようにしましょう。乾きそうになったら霧吹きなどで湿らせます。
- 水草の下処理
赤丸部分が下準備したところ
有茎水草の場合は上の写真のように処理します。
株立ちの水草は外側の枯れかかった葉を切り取り、長く伸びた根や枯れた根を切ってスッキリします。塊茎(球根状のもの)や浮き草は枯れた葉を取り除きます。
- ※水草には農薬問題があります。詳細は普段の管理と注意点にて。
※ここから2通りの方法に分かれます
- 1.後景草から順に植えていく方法
利点:レイアウトのバランスを保ちやすく、初心者でも直感的でわかりやすい。
欠点:前景草を密に植え込むとき水中に手を入れなければならず作業しづらい。
- 2.前景草から順に植えていく方法
利点:前景草を植え込みやすい。
欠点:レイアウトが始めから頭の中でイメージできていないとバランスを崩しやすい。
- 2つの方法の違いを見て好みで決めればよいと思います。
最近の私は主に2の方法でやっています(前景草をしっかり植え込むことが多いので)。
1.後ろから植える方法
- 後景水草を植え込んでいきます
水槽に水を入れたら後ろの背の高い水草から植え込んでいきます。水を入れるときは土を巻き上げないように、ボウルなどで勢いを弱めながら入れます。それでもソイルの場合はたいてい濁りが出ますが、ひどいようなら一度水を入れ替えます。
なるべくろ過器の配管部分などを隠すように配置します。
水草を植える間隔は、互いの葉が触れ合う程度を目安にすればよいでしょう。
スクリューバリスネリアと、流木の後ろで見えませんがグリーンロタラを植えています。
後景ではありませんが中景と前景の境にポリゴナムを植えています。ポイントになる水草は、場所を確保するために早めに植え込むほうがよいと思います。
- 中景水草を植え込んでいきます
中景水草を植え込んでいきます。
写真ではパールグラスを植えていますが、繊細な緑で目を引きます。中景は一番目が行くところなので水草にしろ流木しろ、配置や種類をよく考えましょう。
- 前景水草を植え込んでいきます
最後に前景水草を植え込んで完成です
前景水草は種類によっては育てるのが難しかったり、逆に増えすぎたりするので慎重に選定しましょう。ランナーで増えるものは、初めから植え込みすぎるとトリミングが大変になってしまう場合があります。
大型水槽ほどではありませんが、ヘアーグラスやグロッソスティグマなど細かい水草の場合は根気がいる作業になります。焦らず落ち着いて植え込みましょう。写真ではテネルスとキューバパールグラスを植えています。
1.の方法ではこれで終わりです。
2.前から植える方法
- 前景水草を植え込んでいきます
水を五分の一程度入れて、前景水草を植え込んでいきます。
ピンセットなら水中に手を入れなくても植え込み作業ができるので1の方法よりも楽です。
ここではコブラグラスを植えています。
- 中景水草を植え込んでいきます
半分くらいまで水を足して中景水草を植え込んでいきます。
石だけでなく全体のバランスも考えます。有茎草を中心にロゼット型のものも植えています。
- 後景水草を植え込んでいきます
最後に後ろの背の高い水草を植え込んでいきます。
ろ過器の配管部分をしっかり隠せるように水草を配置します。
植えつける有茎草の長さがまだ短い場合は、伸びてきたときのことを想像して植えます。
2のやり方ではこれで終わりです。
お疲れ様でした
- 植えたら腰を落ち着けてまずは様子を見ましょう
いかがでしょうか?
最初のうちは見栄えが少し悪いかもしれませんが、残りの完成度は水草の生長によって補います。でも、この間に我慢できず色々と手を加えてしまうのが初心者の悪い癖!?
有茎水草などはすぐ大きくなりますし、水中葉に変われば印象もかなり変わります。2週間くらいすれば、環境に慣れた前景水草も広がり始めるはずです。一ヶ月くらいは最初に植えたレイアウトで様子を見てみましょう。
それでも気に入らなければ、改めて手を加えればいいのです。
- 魚やエビは一週間くらいたってから導入します
一週間くらいして水槽が落ちついたら、魚やエビを導入します。水草だけを楽しみたい場合は魚は必ずしも入れなくて構いませんが、ヤマトヌマエビなどのエビ類はコケ除去のために水槽の大きさに応じて1〜5匹程度は飼うことをオススメします。
さらにサザエイシマキガイをガラス面掃除のために導入すれば完璧です。
- 水草の成長によってレイアウトは完成します
2ヶ月後の片流れのレイアウト。途中で何回か手を加えました。