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花の名所・ガーデン・植物園訪問記

花の名所・ガーデン・植物園訪問記

くらしの植物苑(国立歴史民俗博物館付属施設)

千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館の付属施設である、くらしの植物苑。博物館のコンセプトに合わせた、人々のくらしに関わってきた植物を系統別に展示しています。花の注目でいえば、サクラソウやアサガオなどの品種改良に歴史がある植物の季節展示が大きな見所です。

園内の地図(クリックすると大きくなります)

くらしの植物苑マップ
テーマにそって、生活や産業など人のくらしに近い植物たちを展示しています。
特に順路はないので、ここでは入口すぐの東屋を起点に、時計回りで主な見所を紹介します。

くらしの植物苑入口

くらしの植物苑入口くらしの植物苑入口付近
門のような入口。門をくぐってすぐの受付で入苑料を払って中に入ります。
入口付近では季節の花の展示が行われていることもあります。

東屋

東屋
普段は休憩所となっている東屋。イベント時には展示会場のひとつになります。

東屋での展示

東屋での展示(アサガオ)
牡丹咲きのアサガオ
様々な展示が行われていますが、特に大きなものが春のサクラソウと夏のアサガオ。
特にアサガオの展示は充実しており、非常に多くの系統の花を観賞できます。
写真2枚目は出物系統の牡丹咲きアサガオ。東屋内部では系統や品種の説明もパネルで展示してあるので、アサガオの品種改良の歴史を学ぶことができます。

温室

温室(サクラソウの展示)
温室(アサガオの展示)
デリケートな展示植物を飾っている温室。イベント時はやはり展示会場になります。
棚が高いので、植物を目線に近い位置で観賞できます。

畑作物と、コンニャク(1枚目)、ゴボウ(2枚目)、ホップ(3枚目)

畑作物コンニャク
ゴボウホップ
ヒエやアワ、キビなど、普段見ることのない作物の姿を見ることができます。コンニャクやゴボウ、ホップ(ビールの原料のひとつ)は説明がないと分かる人は少ないと思います。
こんな風に、くらしに身近な植物の本来の姿をみることができます。

園内の風景1

園内の風景園内の風景(水辺の植物)
園のコンセプトに合わせた人々の暮らしに利用されてきた植物が多いです。そのため花が美しい園芸植物は多くありませんが、他の植物園で見られない変わった草花や樹木が多く見られます。

園内の風景2

園内の風景園内の風景(ボケとウメ)
下草の植物も多少見られますが、春に開花する花木や比較的地味な樹木が多いです。
そのため、テーマごとの区画はやや分かりにくいものになっています。

有毒植物のアセビと、ヒョウタンの展示

有毒植物のアセビヒョウタンの展示
アセビは有毒で昔から防虫などに、ヒョウタンは飲み物の容器として使われました。食用だけでなく、薬用や染料、道具など、くらしに用いられてきた多様な植物たちを見ることが出来ます。

落葉ツツジの花と、イベント時のアサガオ

落葉ツツジの花イベント時のアサガオ
季節によっては美しい花も楽しめますが、どちらかというと植物好きな方のための施設です。
多くの花を観賞したいなら、サクラソウやアサガオなどのイベント時を狙って訪れるとよいでしょう。

佐倉城址公園と、国立歴史民俗博物館

くらしの植物苑に訪れたら、せっかくなので隣接する佐倉城址公園と、国立歴史民俗博物館にも立ち寄っていくとよいでしょう。特にソメイヨシノやハナショウブの咲く時期は見応えがあります。

佐倉城址公園

佐倉城址公園 菖蒲園のハナショウブ
佐倉城址公園 桜と訓練用の12階段
くらしの植物苑に隣接する佐倉城址公園はソメイヨシノの名所として知られており、開花期には園内各所で花が見られます。また、ハナショウブの時期も菖蒲園で多くの花を観賞できます。
一方、佐倉城址跡として、あるいは佐倉連隊駐屯地跡としての遺構も見学できます。写真2枚目にある階段は兵士の飛び降り訓練で利用されたとのことです。

三逕亭(佐倉城址公園内)

三逕亭
三逕亭(さんけいてい)は、東京にある乃木神社から譲り受けて、移築復元した茶室です。
日曜祝日などの特定日にお茶席が設けられています。

国立歴史民俗博物館

国立歴史民俗博物館 縄文時代の展示
国立歴史民俗博物館 戦後闇市の展示
くらしの植物苑から佐倉城址公園を通って徒歩約10分の場所にある、本館の国立歴史民俗博物館。
国立だけあって一日で見切れないほどの展示内容を誇ります。十分に時間(半日は欲しい)をとるか、エリアを分けて後日見学する等、空き時間や長時間見学の疲労を考えておきましょう。

施設の概要

場所
千葉県佐倉市城内町117

交通手段
■公共交通機関
京成「京成佐倉」駅からバスで「国立歴史民族博物館」下車、徒歩約10分。
JR「佐倉」駅からバスで「国立歴史民族博物館」下車、徒歩約10分。
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京成「京成佐倉」駅からバスで「宮小路町」下車、徒歩約10分。
JR「佐倉」駅からバスで「宮小路町」下車、徒歩約10分。
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京成「京成佐倉」駅より徒歩25分。
※京成佐倉駅から国立歴史民俗博物館までは徒歩約15分で、佐倉城跡公園を歩いて、くらしの植物苑までは徒歩約10分となります。
■車
東関東自動車道「四街道IC」より車で15分。
東関東自動車道「佐倉IC」より車で15分。
駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.rekihaku.ac.jp/exhibitions/plant/index.html(くらしの植物苑)
URL:https://www.rekihaku.ac.jp/(国立歴史民俗博物館)

My impression

庭園デザイン★★
敷地形状に合わせて広い園路を造り、その間に各種植栽と、狭い園路を配置しています。展示の美しさではなく、展示の見やすさや分かりやすさを重視しています。
園内は高低差がなく歩きやすいですが、その分変化は少なめとなっています。

植物充実度★★★
博物館のコンセプトに合わせた野菜や草花、樹木の植栽がメインとなっています。
花でいえば、サクラソウやアサガオの展示は充実しています。それ以外では派手な園芸植物は少ないですが、比較的華やかな景色が見たいならば春から初夏に出かけるとよいでしょう。植物が好きならば秋の果実が実る季節もよいでしょう。秋や冬にはキクやサザンカの展示イベントもあります。
植物の管理状態は良好です。

娯楽度★★★
サクラソウやアサガオなどの展示イベント時は花が多いので誰でも楽しめるでしょう。それ以外の時期は落ち着いた印象で植物が好きでなければ厳しいかもしれません。
国立歴史民俗博物館本館を一緒に楽しめるのは大きな魅力。多くの方にとっては、こちらの本館のほうが本命の施設になるかもしれません。
なお、国立歴史民俗博物館バス停からDIC川村記念美術館行きのバスが出ています。旅程に組み込むのも良いでしょう。また、サクラソウの季節なら佐倉ふるさと広場のチューリップも併せて楽しめるでしょう(開花状況は佐倉市の公式サイトで確認のこと)。

混雑度★★★
各イベント時はやや混雑します。園内は比較的狭めですが、園路は広めで、オープンスペースもあり大きな問題はないでしょう。
ソメイヨシノ最盛期は佐倉城址公園が混雑します。お祭り気分が味わえるものの、くらしの植物苑や国立歴史民俗博物館が目当てであればソメイヨシノ最盛期は外したほうが賢明です。

交通の便★★★★★
公共交通機関の場合、少し遠いものの、京成佐倉駅から歩いてこられるのでやや良い評価。さらに京成佐倉駅や佐倉駅からかなりの本数でバスが出ています。
車の場合、狭いですが植物苑に近い駐車場があります。なお、博物館本館の広い駐車場も利用でき、帰りに博物館本館に寄る予定であればこちらに駐車したほうがよいでしょう。
ソメイヨシノ最盛期の土日祝は駐車場が混雑しやすいので注意。

総合満足度★★★
花木や草花もありますが、博物館付属の植物園とあってメインはくらしに役立ってきた植物たち。イベント時などを狙っていかないと、たくさんの花は楽しめないでしょう。
おすすめは伝統の桜草展と伝統の朝顔展で、かなりのボリューム感で珍しい品種のサクラソウやアサガオの花を観賞できます。
植物苑だけでは観賞時間が少なめなので、隣接する佐倉城址公園と一緒に楽しみましょう。ソメイヨシノやハナショウブ、アジサイの時期は美しいです。なお、これらはサクラソウやアサガオとは開花期が合わないので、遠方からの訪問であれば展示イベントを優先するとよいでしょう。
さらに、見学しがいのある広さと展示内容を誇る国立歴史民俗博物館本館も訪れれば、半日程度は楽しめます。

備考1:アサガオは朝早くに開花し、昼にはしぼんでしまうことも多いため、伝統の朝顔展を観賞する場合はなるべく朝早くに出かけましょう。

備考2:上記のこともあり、伝統の朝顔展では期間限定で早朝入園が行われています。ただ、その時間帯は国立歴史民族博物館行きのバスが少ないです。公共交通機関利用の場合は宮小路町行きのバスを使うか、タクシーを使う想定もしておきましょう。

備考3:国立歴史民俗博物館本館は、展示内容が充実しすぎて1回で一気に見るのは大変な施設です。個人的な見立てですが、後半の展示も見所が多いのに、多くの方は前半で疲れて流し見か、途中で切り上げてしまう方が多いような気がします。時間を十分にとって途中で休憩をはさむか、2度訪問して分けて見るといった工夫で鑑賞すると良いと思います。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(サクラソウ)
夏(アサガオ)

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