2つの美術館を持つムーゼの森の、軽井沢の絵本の森美術館内にあるナチュラルガーデン。著名なガーデナーのポール・スミザー氏監修の庭です。見栄えのする花は多くないものの、軽井沢周辺に自生しする植物を中心とした植栽が特徴となっています。
絵本専門の美術館と周囲の森に囲まれた中心にガーデンはあります。ガーデンは4つのエリアに分かれていますが、区切りのようなものはなく、観賞するうえでは一体になっているように見えます。
ガーデン観賞する際の順路は特にないので、ここではエリアごとに主な見どころを紹介します。
入館受付よりガーデン内に入ります。
庭園のみ観賞の料金設定はなく、絵本の森美術館の入場料と共通になっています。
日陰の庭のエリア。霧が多い軽井沢ではシダやギボウシなどの陰性植物が元気に育つそうです。
晩夏にはオミナエシが咲き、一足早く軽井沢に秋の気配を届けます。
野草やグラス類を組み合わせた草原のようなエリア。野草的なシュウメイギクやチオノドグサ、グラス類のカレックスやチダケサシなどが植栽されています。
目線が通り、奥にある美術館の白壁が風景のアクセントになっています。
切り株で組んだ原生林を思わせるガーデン。植栽は隣のシェードガーデンと共通したものが多いです。
高山をイメージしたガーデン。高植えにしてあり、目線に近い位置で花を観賞できます。
なお、ガーデン使用されている石は浅間山の噴火でできた浅間石を用いています。凹凸があるため、自然な雰囲気でコケやシダ類が着生する姿を見ることができます。
様々な絵本の原画や初版本を展示している各展示館。季節ごとに企画展も行われています。
第一展示館は、中央にある立派な木製の階段も見どころ。
周囲の樹木やナチュラルな植栽が、美術館の建物や展示とよく合っていると思います。
場所
長野県北佐久郡軽井沢町長倉182
交通手段
■公共交通機関
JR・しなの鉄道「軽井沢」駅より軽井沢町内循環バスで約20分「風越公園」徒歩7分。または「塩沢湖」下車、徒歩3分(塩沢湖バス停の方が近いが、停まらないバス便あり)。
※バスの本数が少ないので事前に時刻表を確認しましょう。
JR・しなの鉄道「軽井沢」駅よりタクシーで約10分。
■車
上信越自動車道「碓井軽井沢IC」から約15分。
駐車場あり(無料)
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://museen.org/
庭園デザイン:★★★
軽井沢の環境や植生に合わせた自然な雰囲気のガーデンが特徴。日当たりのよい開けた場所を草原風のガーデンにし、樹木の多い周辺のガーデンをシェードガーデンにするなど、奇をてらわないデザインが良いです。美術館の風景に自然と溶け込んでいます。
一方で、基本的には美術館付属のガーデンであり、面積が狭いことは承知のこと。
植物充実度:★★★
植栽密度は高く様々な植物がみられるものの、ガーデン自体の面積が狭くこの評価。これといった花の群落はありませんが、おすすめは宿根草や樹木の新緑が美しい初夏、緑が濃くなり花の多い夏、花が多くグラス類も美しい晩夏から初秋になります。
植物の管理状態は良好です。
娯楽度:★★★
いずれの季節もゆっくり散策するのに向いています。同伴する方がいるなら、美術館に興味があるか、ナチュラルガーデンに共感できる方にしたいところです。
隣には同じムーゼの森にあるエルツおもちゃ美術館やカフェがあり、近辺には塩沢湖や風越公園内にある軽井沢植物園、少し足を延ばせばアウトレットなど軽井沢周辺の観光も一緒に楽しめます。
個人的なおすすめは軽井沢レイクガーデンです。
混雑度:★★
観光シーズンでも煩わしいほどの混雑はないでしょう。ガーデンの性質上、目玉の花があるわけではないので、混雑度の偏りもありません。
交通の便:★★★
公共交通機関利用の場合、最寄りの軽井沢駅から循環バスが出ています。バスの便はやや少なめなので事前に時刻表を確認しておくとよいでしょう。
車の場合、比較的大きめな駐車場はあり、特に問題はないでしょう。観光シーズンの軽井沢は渋滞しやすいですが、美術館は市街中心部からやや離れています。
総合満足度:★★★
美しいナチュラルガーデン。一方で、こういったものに興味のない方から見れば、ただの地味な庭園に感じるでしょう。派手な花の絨毯が見たいような方には向いていません。いわゆる花の名所とは違った美しさなので人によって満足度が異なります。
残念なのは、ガーデン単独としてみた場合、あきらかにボリュームが不足していることです。美術館付属のガーデンのため仕方ない部分もあるのですが、ガーデンだけでは満足することは難しいかもしれません。庭園目当てであっても、美術館展示と一緒に楽しむ気持ちで訪れましょう。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
初夏〜初秋(各種多年草)