長野県軽井沢町の、別荘が立ち並ぶ閑静な軽井沢レイクニュータウン内にある庭園。
避暑地である軽井沢の羨ましいともいえる環境を生かした、美しいナチュラルガーデンです。
つる植物の絡まる石造りの門を入ると、バラに囲われた空間に噴水があります。
奥ゆかしい構成で、ガーデンに入る雰囲気作りが上手だと思います。
順路にそって進むとすぐ池が視界に飛び込んできます。
園内の半分近くを占めるこの池は、レイクガーデンの名の通りガーデンの大きなポイントになっており、様々な場所で池とのつながりを感じられ、庭園の自然感や一体感を高めています。
また、水辺を石組みや植物で柔らかく区切っているのも好ましいです。
イングリッシュローズを中心とした整形のガーデン。庭園全体としては自然風なのですが、各所にあるローズガーデンの構成は整形庭園となっています。
整形庭園の構成としてはオーソドックスなものですが、他の整形庭園と大きく異なるのは、周囲が池あるいは自然風の樹木で囲われていることです。これにより、庭園全体としてみた時のナチュラルガーデン感を損なわないようになっています。
園内に2つあるめがね橋。ツタを絡ませてナチュラルな雰囲気を演出しています。
対岸の島に見える小さな滝。秋になると周囲にハギの花が咲きます。
池の中島に橋で渡ると、様々な樹木と宿根草が植えられたウッドランド。野の道を散歩してるかのような気持ちのよい空間です。ベンチも適度に配置されていて休憩できます。
よく見れば珍しい多年草も植栽されているのがわかります。
沈床式の整形ガーデン。長方形の池の周囲をバラと宿根草で彩っています。
華やかですが、周りが樹木で囲まれていて秘密の花園感があります。
池に架けられた木製の架け橋。夏から秋にかけて、池にはたくさんのアサザが咲きます。
園内は池のほか、川の流れもあり、水辺を効果的に活用しています。
香りの良いバラが植えられた小径(パス/path)。
バラ最盛期は、バラに近寄らずとも道を通るだけで芳香が漂ってきます。
池を眺めながら湖畔を歩く小路。水辺の植物や、アサマフウロなど宿根草が多数咲きます。
また、天気が良ければ、めがね橋方面に浅間山(あさまやま)を望めます。活火山のため、場合によっては噴煙を上げる姿を見ることもできます。
水生植物が植えられた池。ナチュラルガーデンならではの自然な雰囲気です。
庭園に隣接したルゼ・ヴィラというホテル内のガーデンも美しいですが、宿泊者や食事利用者用で、一般入園者は中には入れません。
ヨーロッパ風のホテルの外観は、ガーデンを彩る点景のひとつとなっています。
つるバラとクレマチスが絡まるパーゴラと、フレンチローズの植えられた整形ガーデン。こちらも池に面しているため、整形ガーデンの堅苦しさが緩和され、自然風感が保たれています。
庭園の内側から見るのもよいのですが、めがね橋やイングリッシュローズガーデン側から見る花の量感も見所。パーゴラ外側はよく日に当たるため花つきが良いです。
噴水のあるエントランスの分岐から見えるボーダーガーデン。芝生と宿根草が美しいです。
以前はボーダーガーデン内に自由に入れましたが、近年は基本的にルゼ・ヴィラ利用者エリアとなっており、遠目でしか眺めることしかできない場合もあります。現地の標識に従いましょう。
レストランやカフェ、苗の販売、売店のメアリーローズが入るマナーハウス。帰りに立ち寄るとよいでしょう。噴水のあるエントランスの分岐から入れます。
場所
長野県北佐久郡軽井沢町レイクニュータウン
交通手段
■公共交通機関
JR・しなの鉄道「軽井沢」駅より軽井沢町内循環バス「東・南廻り線」で約10分「ニュータウン入口」下車、徒歩約3分。
※バスの本数が多くないので事前に時刻表確認を。なお、東・南廻り線は外回りと内回りがあり、外回りは駅から約10分で着きますが、内回りは約50分かかります。
■車
上信越自動車道「碓井軽井沢IC」から約15分。
駐車場あり(無料)
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.karuizawa-lakegarden.jp/
庭園デザイン:★★★★★
現在の庭園に整備される以前からあったと思われる大きな池と中島を生かしつつ、避暑地らしい樹木である針葉樹や落葉樹をバランスよく配植して、ナチュラルガーデンの雰囲気を作り出しています。
また、ローズガーデン部分は自然風とは異なる整形庭園風でありながら、庭園の周囲を池あるいは自然風の植栽と併せて、ナチュラルガーデンの雰囲気を壊さないように配慮もされています。
植物充実度:★★★★
バラを中心とした花木のほか、樹木や多年草をバランスよく植栽しています。池の護岸が最低限なため水辺の植物が多くみられるのも特徴。園の性質上、一年草のような派手な花は少なめ。
植物の管理状態は良好です。
娯楽度:★★★★
初夏バラ最盛期は見所が多く娯楽度が高めです。それ以外の季節は落ち着いた景色となり、ゆっくり散策するのに向いています。
園内にはレストランやカフェがあり、軽飲食やランチも可能。また、庭園周辺にはカフェやレストランなどが点在しています。グーグルマップなどで気になる店を探してみるのも良いかと思います。
敷地は軽井沢の南に位置し、少し移動すれば軽井沢の観光地やアウトレットなど、様々な楽しみ方ができます。個人的には美術館や歴史的建物巡りがおすすめです。
混雑度:★★★★
初夏バラ最盛期は混雑します。一方で園内は広く、オープンスペースも多いので混雑時でもゆっくりできる場所はあります。ただ、バラの見所が固まって配置されているので人が集中しやすいのが難点。それ以外の季節は混雑することは少ないでしょう。
バラ最盛期に落ち着いて観賞したい場合は平日の朝に出かけるなど工夫しましょう。なお、初夏のローズシーズン期間は土日限定で早朝入園が行われています。詳しくは公式ウェブページを確認のこと。
交通の便:★★★
公共交通機関の場合、軽井沢駅から循環バスが出ていますが本数はそれほど多くありません。事前に時刻表の確認が必要です。
車の場合、広めの駐車場があり普段は問題ありませんが、バラの最盛期の土日祝は混雑しやすいので早めの到着を。
総合満足度:★★★★★
自分好みのナチュラルガーデン。バラも美しいですが、大きな池や水の流れなど水辺を生かした植栽が魅力的です。整形ガーデン部分も周囲に池や樹木があるため異質に感じられません。環境の良さを存分に生かした好例といえるでしょう。
いわゆる花の名所とは違った美しさなので、人によって満足度が異なります。作りこまれたガーデンが見たいという方は満足できると思いますが、派手な花の絨毯が見たいような方には向いていません。
自分や同行者の趣向に合うかどうか、当ページを判断の一助としてもらえればと思います。
備考:軽井沢は平地に比べ、季節が1ヶ月程度遅れておりバラ最盛期は6月中〜下旬頃になります。近年は見頃が早まる傾向にあるので、公式サイトで開花状況を確認しておきましょう。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
6月中旬〜7月中旬(バラ)
5月上旬〜9月(各種花木、多年草や球根の花)
10月中旬頃(紅葉)