神奈川県鎌倉市にある寺院。狭い谷の最奥にあり、観光客の絶えない鎌倉としては閑静な境内です。季節の花が咲く「花の寺」の別名で有名。また、寺院の奥にある夢窓疎石(国師)作庭とされる瑞泉寺庭園も見所があります。
大塔宮バス停から瑞泉寺に向かいます。小さな谷状の道が徐々に狭くなり、途中にある総門をくぐるとすぐ拝観受付があります。
拝観受付の左手は梅林になっています。まとまって植えられているのでボリュームがあります。
その他の季節もスイセンやアジサイ、ムクゲ、ハギなどが咲きます。
参道の石段を上がっていきます。途中でよく整備された新しい階段と、雰囲気が良い古い階段の二手に分かれます。古い階段は石が擦り切れて歩きづらいので、通常は新しい階段を使ったほうがよいでしょう。特に下りで使うのは危ないです。
石段を上ると山門にたどり着きます。周囲を樹木に囲まれ、季節によって異なる景色を見せてくれます。特に晩秋の紅葉する時期は風情があります。
山門をくぐると前庭が広がります。
鶴亀の石庭になっており、早春に咲くウメや、秋に咲くシュウメイギクが見所。
山を背景にした銅葺き屋根が美しい本堂。周囲には白いフヨウや、ウメなどが咲きます。
本堂前にも花木が植えられています。注目は本堂正面左手にある薄黄色の花をつける黄梅(オウバイ)。江戸時代から知られているウメの品種です。
本堂の奥に造られた夢窓疎石(国師)作庭とされる庭園。凝灰岩(ぎょうかいがん)の岩盤に修行のための洞をくりぬき、手前に池を配しています。さらに東側には坐禅のための窟(いわや)と小さな滝があります。西側には二つの橋がかかっています。庭園はさらに橋の奥に続いていますが残念ながら非公開となっています。
この特異な作庭は禅宗(臨済宗)の影響を強く感じさせます。
季節ごとに様々な表情が見られ、庭園手前にはヒガンバナなどの四季折々の花が植栽されています。
場所
神奈川県鎌倉市二階堂710
交通手段
■公共交通機関
JR・江ノ電「鎌倉」駅からバスで「大塔宮」下車、徒歩約10分。
■車
横浜横須賀道路「朝比奈IC」より約20分。
駐車場あり(無料)
※駐車場はありますが途中の道が非常に狭い。公共交通機関利用推奨。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.kamakura-zuisenji.or.jp/about/
庭園デザイン:★★★
瑞泉寺庭園は、自然の岩盤をくりぬいた洞窟と池泉を組み合わせた一風変わった庭園。谷間の敷地を生かした、宗教施設と庭園の融合といえる面白い構成です。
他にも瑞泉寺内には花の寺にふさわしい、本堂や山門と花や樹木を合わせた庭園があります。
植物充実度:★★★
ウメやフヨウ、アジサイなどの花木の他、スイセンやシュウメイギク等の草花も多いです。モミジも多く新緑や紅葉の時期はとても美しいです。境内全体で花が豪華に咲きそろうというよりは、四季折々の花が咲いているという印象です。植物の管理状態は良好。
娯楽度:★★
晩秋の紅葉が大きな見所。他にはウメやヒガンバナの時期が散策しやすい季節です。
寺社なので基本的には静かに参拝・観賞するのに向いています。
混雑度:★★★
晩秋の紅葉の時期はやや混雑しますが、それ以外の時期はそれほど混雑感はありません。園内はやや広めですが、オープンスペースは少な目。鎌倉の有名寺社に比べれば比較的混雑に悩まされないのは嬉しいです。
交通の便:★★★
公共交通機関利用の場合、鎌倉駅から歩ける距離ではないですが、バスの本数は多いです。最寄りのバス停からの道も雰囲気が良く、途中の永福寺跡(ようふくじあと)の広場で休憩もできます。バス停からの歩きを省略したいならタクシーを使うのも一考。
車の場合、駐車場はあるものの途中の道が非常に狭く、個人的には車で行くことをお勧めしません。また、観光シーズンは鎌倉周辺の道路が渋滞しやすいので注意。
総合満足度:★★★
鎌倉は寺社としての見所は多いものの、花の名所や庭園はこじんまりしたものが多くじっくり観賞できる所は少ないですが、瑞泉寺はその貴重な一つといえます。また、花が綺麗でも混雑が激しい鎌倉の他の有名寺社とは異なり、静かな雰囲気が味わえるのも魅力です。
紅葉最盛期が非常に遅く12月に入ってもまだ見頃でない年も多いです。ウメやフヨウなども含め、他の花名所に比べ全体的に見頃が遅めなので、ウェブやSNSなどで情報を収集するとよいでしょう。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(ウメ、スイセン)
夏〜初秋(フヨウ)
秋(ヒガンバナ、シュウメイギク)
初冬(紅葉)