東京都立川市にある国営公園。国営だけあって園内は広く施設も充実しています。チューリップやサクラ、各花畑、イチョウ、紅葉の最盛期には非常ににぎわいます。
また、園全体でみられるケヤキや雑木林を生かした武蔵野的な景観も見所です。
園内は広大で枝道が多く、順路も特にありません。ちょうど中心に原っぱと池があるので周囲を回るように巡ればよいと思います。すべてを見ようと思うと非常に時間がかかり体力もいるので、見頃の花と場所を確認してピンポイントで巡るのもよいと思います。
また、パークトレインという園内を巡る乗り物もあります(有料)。
今回は立川駅に近い、立川口から入るルートで主な見どころを紹介します。
有料エリアには5つの入口があり、公園の表玄関ともいえるのが写真の立川口。
ただ、後述の西立川口のほうが駅から近く、電車でのアクセスは便利です。
JRの西立川駅最寄りの西立川口と、西武線の武蔵砂川駅最寄りの砂川口。
電車で来た場合は、西立川口→立川口(あるいは逆ルート)で歩くと効率が良いです。西立川口は駅から2分と短く、しかもデッキが直結しています。
また、駅から離れている砂川口の駐車場は立川口が混雑している場合の代替として使えます。
カナールとは造園用語で直線状になった細長い水路のこと。水路の両側にはイチョウの並木が植栽されており、イチョウが黄葉する季節にはたくさんの人が訪れます。
なお、ここのイチョウは隣接する自衛隊基地の高さ制限のため、刈り込まれた独特な形をしています。
中央にレストランが建つ、大きな芝生の広場。
園内は広く、所々に開けた場所があり混雑時にも余裕があります。
ボート漕ぎも楽しめる水鳥の池。紅葉の季節は水辺の樹木や草が様々な色に染まり美しいです。
なお、サンクチュアリ部分(人が立ち入れない場所)が狭いので鳥の姿が少なく、バードウォッチングにはそれほど向いてないと思われます。
丘状になった小さな広場にサクラが咲く旧桜の園。
メインストリートから外れた、少し分かりづらい場所にあるので見逃さないように注意。
大きな公園ですが、デザインされたガーデンの部分は日本庭園以外ほとんどありません。
この花木園売店周辺の他に、こじんまりしたハーブ園がある程度です。
大きな芝生広場で開放感があります。売店や出店等があり、ここで昼食するのもよいと思います。
広場の中央にあるシンボルツリーの大きなケヤキが見事。
みんなの原っぱの東・西・南側には、季節ごとに様々な花畑が見られます。
花畑に咲く花は毎年変化するので、写真はその一例となります。公式サイト等で咲いている花の情報をチェックするとよいでしょう。
みんなの原っぱの北側にある新しい桜の園。
樹木が若いためか、はたまた日当たりが良いためか、こちらの方が花に勢いがあります。
水の流れのある渓流広場。春のチューリップが有名です。蛇行して流れる水の流れと、リズミカルに配植されたケヤキもポイント。
運がよいとサクラとチューリップの競演も見られます。ただ、チューリップの開花最盛期はソメイヨシノの見ごろが過ぎたあとなので、実際には難しいところです。
斜面状になった花の丘では季節ごとに大規模な花畑が見られます。ほぼ平坦に咲くみんなの原っぱの花畑よりも花の量感はこちらが上です。
初夏にポピー、秋はコスモスが見られますが、年によっては変化することもあるので、植栽計画を公式サイト等で事前に確認しておくとよいでしょう。
昭和30年代の武蔵野の原風景を再現したエリア。農家や田んぼ、畑、水車などがあります。
季節によっては、ウメやハスなどの花も見られるのでチェックするとよいでしょう。
中心に大きな池を配し、その周囲をめぐる典型的な池泉回遊式庭園の日本庭園。
特に、秋の紅葉の時期は美しい姿を見せてくれます。
大きな池の水辺には四阿や水の流れ、橋、飛び石、菖蒲田など様々な変化があります。
東京都とはいえ西寄りで山間部に近いためか、水が綺麗で透明度が高いのもポイントです。
日本庭園内にある盆栽苑。年代ものの美しい盆栽を見ることができます。
讃樹亭(さんじゅてい)にある床飾りの盆栽にも要注目。
ボランティアも管理に参加している落葉樹主体の森。散策路が設けられておりハイキング気分で歩けます。公園の見所は派手な花ばかりじゃない、という懐の深さを感じさせます。
下草には花木や山野草が咲いており、特に早春から初夏にかけて様々な花が見られます。
このあたりにもサクラやイチョウが植えられており、最盛期は美しい姿が観賞できます。なにより人通りが少なめなのが良いです。他にもメタセコイアの黄葉が楽しめます。
全長300メートルで約100本のイチョウが続く並木道。カナールとは異なり高さ制限がないので、自然な樹形を見ることができます。
写真を撮るならこちらの方がおすすめですが、最盛期の土日には人通りが途切れることがありません。また撮影の際にも譲り合いなどの配慮をしましょう。
他の国営公園に比べると歩き回るのに無理があるほどではありませんが、それでも十分広い園内。
別料金がかかりますがパークトレインを使うのも手です。またレンタサイクルもあります。
都心から近く、最寄り駅からのアクセスも良好。チューリップやコスモスなどの花畑、イチョウ並木も宣伝のとおり美しいのですが、その分、混雑が激しいことも覚悟しなければなりません。
人混みが苦手な方は平日や朝などを狙って行くとよいでしょう。
場所
東京都立川市緑町3173
交通手段
■公共交通機関
JR「立川」駅より徒歩10分。
JR「西立川」駅より徒歩2分。
※それぞれ公園入園口までの時間で、入園口から各施設への所要時間は異なる。マップで要確認。
■車
中央自動車道「国立府中IC」より約8分
駐車台あり(有料)
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.showakinen-koen.jp/
庭園デザイン:★★★★
様々な施設がありますが、園全体としては武蔵野を代表する樹木であるケヤキを効果的に使った、伸び伸びとした景観デザインが魅力的。ランドマークはもちろん、アイストップやスカイラインなど様々な場面で活用されているのが分かります。
花畑は、みんなの原っぱ側は大きな芝生広場と隣接しており広々とした印象、花の丘は傾斜があって量感が楽しめます。写真的にもより映えるでしょう。
渓流広場のチューリップは、大きなケヤキや蛇行した水の流れとの組み合わせが印象的です。
日本庭園は広く奥行き感や開放感があります。建物も数寄屋造りで統一されており一体感があります。一方で、高低差が少な目で少し平凡な印象を受けます。
植物充実度:★★★
サクラなどの花木、新緑や紅葉の楽しめるイチョウやモミジなどの樹木が充実しています。チューリップやポピー、コスモスなどの花畑の花もボリュームがあります。
一方で、施設の広さにしては比較的花の種類は少な目。また、園芸的な花も少ないです。
植物の管理状態は良好。特にカナールのイチョウの刈り込みには注目したいです。
娯楽度:★★★★★
サクラやチューリップ、紅葉の最盛期は誰にでも勧められるほど美しい景色が楽しめます。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
広場あり水辺ありサイクリングロードありで、子供づれから年配の方まで一日遊べると思います。また、売店や出店なども充実しており飲食には困りません。
立川駅に出れば様々な娯楽施設があるので、体力に余裕があれば立ち寄ってみるのもよいでしょう。
混雑度:★★★★★
アクセスの良さも手伝ってか、サクラやチューリップ、紅葉の最盛期、大型連休中は非常に混雑します。ゲートや駐車場に入園待ちや駐車待ちの列ができるほどです。ゆっくり観賞したいなら朝一や平日に訪問するなど工夫しましょう。それ以外の季節は混雑することは少ないです。
施設内は広く、オープンスペースも多いので混雑時でもゆっくりできる場所はあります。ただ、混雑時は売店やレストランに長蛇の列ができるので、弁当や軽食を持ち込むことも考慮しましょう。
交通の便:★★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から近く非常に良い評価。特に西立川口はほぼ直結といった近さで、乗り換えが苦でなければ立川駅よりも利便性が高いです。一方で、帰りに立川口を使えば、立川駅周辺のショッピングモールや百貨店等に立ち寄ることができる利点はあります。
車の場合、広い駐車場があり普段は問題ないです。ただ、混雑時は駐車待ちが発生するうえ、周辺道路も渋滞します。これらの季節は公共交通機関使用を推奨します。
総合満足度:★★★★
さすがは国営といったところの充実した広い園内。名物のイチョウ並木は2か所もあってどちらも立派で、チューリップやコスモスをはじめとした各花畑もボリュームがあります。
一方で、デザインされたガーデン部分は日本庭園以外ほとんどなく、花の種類についても花畑の充実度から比べると物足りなさはあります。遠方から訪れるなら、やはり花や紅葉の量感を楽しむことをメインの目的とするのが良いでしょう。
花や紅葉のイベント時に非常に混雑するのが、都心に近い立地的で仕方がないとはいえ残念。なるべく朝一や平日などを利用して混雑を回避したいところです。
園路は広く、各広場も大きい上に、歩行者と自転車の導線が分けられているのもよいです。ゆっくり散歩できますし、車椅子の方も補助があれば安心して散策できます。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(サクラ、チューリップ)
初夏(新緑、ポピー)
秋(コスモス)
晩秋(イチョウの黄葉、紅葉)※都心部よりはやや早めに色づきます。