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花の名所・ガーデン・植物園訪問記

花の名所・ガーデン・植物園訪問記

日光植物園

栃木県日光市にある植物園。正式名称は「東京大学大学院理学系研究科付属植物園日光分園」。東京にある本園の小石川植物園と同様に、学術色の濃い昔ながらの植物園の雰囲気を味わえます。
日光の涼しい気候を生かして、高山植物や寒冷地の植物の展示が充実しています。一方で、大谷川(だいやがわ)に接した、自然と調和している心安らぐ環境も大きな魅力です。

正門と受付、駐車場

正門と受付駐車場
正門にある受付で入園料を払って入園します。
駐車場はこの受付の奥になっており、車の場合は一旦止めて声をかけてから入ることになります。

駐車場のハンカチノキ

駐車場のハンカチノキ
駐車場には大きなハンカチノキがあります。
開花期(例年5月中旬〜下旬頃)には見逃さないようにしましょう。

日光植物園地図(地図画像をクリックすると別ウインドウで開きます)

日光植物園の地図
石柱標識
園内はとても広いです。各所に設置されている石柱標識の番号(地図にも記載あり)を目安に歩けば効率よく巡れますが、枝道も多いので寄り道しつつ歩いても良いでしょう。
このページでは、石柱標識の番号順に沿って主な見どころを紹介します。

園内の道

園内の道(土)園内の道(砂利)
園内の道は砂利道や土の道、広い道から登山道のような狭い道まで様々。
整備されており散策に不安はありませんが、一部鬱蒼とした部分もあります。

庁舎と、ロックガーデン(石柱2番付近)

庁舎
庁舎の内部
休憩所となっている庁舎。内部は畳張りになっており、靴を脱いでゆっくりできます。
園内は広く、くまなく散策すると大変です。このような施設の存在は有難いです。

ロックガーデン(石柱2番付近)

ロックガーデン
コチャメルソウ
庁舎の前には、溶岩を組んで作られたロックガーデンがあり、高山植物などが植栽されています。
一般的な植物園とは異なり、綺麗な花を咲かせる植物ばかりでなく、学術的に興味深い、珍しい植物も多いです。写真2枚目は変わった形の花をつけるコチャメルソウ。

花石沢(石柱7番付近)

花石沢
花石沢
園内中央には花石沢という小川が流れています。他にも、園内には小さな流れや池が多いです。
護岸等は最小限になっており、自然な雰囲気で観賞できるのは大きな魅力です。

大正天皇御由諸地前の広場(石柱9番付近)

大正天皇御由諸地前の広場
林が途切れ周囲が開けた、小高い丘のある広場。周囲の植栽はサクラや紅葉する樹木が多く、春や晩秋には美しい景色が楽しめます。
園内はこのように開放感のある場所と、林の鬱蒼とした場所とがバランスよく配置されています。

大正天皇御由諸地付近(石柱8番付近)

大正天皇御由諸地付近より遠望
小高い丘の林の中には、この地を好んで散策されたという大正天皇の碑があります。
丘の上部からは、手前のサクラを背景にした鳴虫山などの山々を望むことができます。

カサスゲ池付近のクリンソウ(石柱13番付近)

クリンソウ
石柱13番付近の湿地帯には3つの池があり、それぞれの池にクリンソウやコウホネなどの水を好む植物が植えられています。
クリンソウの見ごろは例年5月中旬〜下旬ごろ。

通御橋(かよいみはし)と、田母沢川

通御橋田母沢川
通御橋という木製の橋を渡ります。下には川が流れ、周囲は鬱蒼とした林になっています。
ここから先は特に自然な雰囲気が濃いエリアで、植物が相当好きでなければ、緑が鬱蒼とする夏などは引き返すのも良いと思います。
また、橋近くの斜面にはハナネコノメノの群生がみられるので、開花期の4月上旬ごろに訪れた場合は探してみるとよいでしょう。

カエデ林と、石灯籠

カエデ林
石灯籠
橋を隔てた東側は自然林のような雰囲気。このエリアは植物園の隣にある旧田母沢御用邸から植物園帰属になった所です。
御用邸時代は日本庭園だったとのことで、その名残の石灯籠が林の中にひっそりと建っています。まるで自然に還っていくかのようです。

ミズバショウ池(石柱18番付近)

ミズバショウ池
ミズバショウ
通御橋を渡りなおして、たどり着くのが開放感のあるミズバショウ池。
ミズバショウの見ごろは例年3月下旬〜4月中旬ごろ。その年の寒さや積雪の状況で大きく変化します。状況によっては、開園期間前の3月に特別開園が行われることもあります。

ミズバショウ池(初夏)

ミズバショウ池(初夏)
ミズバショウの他に、カキツバタやヒオウギアヤメ、ノハナショウブなどの水生植物、池の周囲にはサクラやツツジなどが咲きます。
可憐な姿の春とは全く異なる印象となる、大きなミズバショウの葉も見所です。

憾満ヶ淵(かんまんがふち)(石柱21番付近)

憾満ヶ淵の展望台
憾満ヶ淵と地蔵群
観光スポットとして有名な奇勝の憾満ヶ淵(含満ヶ淵)。園内から階段を下りたところに展望台があり、淵の景色を眺められます。
遊歩道や公園のある対岸から眺める方が淵の様子がよくわかりますが、こちら側からは川を隔てて向こう岸に地蔵郡(並び地蔵)が見えるのがポイントです。
※近年、展望台の手すりなどの劣化が進んでいます。現地の指示に従いましょう。

大池・ミズトクサ群落(石柱73番付近)

大池・ミズトクサ群落
ミズトクサの群落がある大きめの池。周囲の新緑や紅葉、樹木の水鏡も美しいです。

カキツバタ池と、花石沢の流れ(石柱72・84番付近)

カキツバタ池
花石沢の流れ
再び花石沢の流れ付近まで戻ってきました。流れのそばには自然風の池が複数あり、カキツバタやザゼンソウなどの群生がみられます。
また、花石沢の流れも自然な雰囲気で好ましいです。

ボッグガーデン(石柱81番付近)

ボッグガーデン
ヒオウギアヤメ
ボッグガーデンは湿地を好む植物がみられます。
ヒオウギアヤメやコオニユリなど花の綺麗な植物以外にも、珍しいものも多いです。

実験室と、実験室前の芝生広場(石柱80番付近)


実験室前の芝生広場
実験室には入れませんが、その前は芝生広場になっており、周辺の山々が望めます。
芝生広場の周囲にはサクラや春の花木が多く植えられています。

サラサドウダンの大木

サラサドウダンの大木
日光植物園の歴史は長く、現在地に移転したのは1911年(明治44年)となります。
そのため、針葉樹を中心に大木が数多くみられます。写真は見事なサラサドウダン。

花の群落

イワウチワ群落
園内には様々な花の群落があります。写真はイワウチワ群落。

昔ながらの植物園の雰囲気を味わえる

ニッコウシダ
クジャクシダ
東京大学の関わりが示すように、この植物園の特徴はアカデミックな雰囲気にあります。
美しい花木や草花も見られますが、普段は通り過ぎるような、地味な植物にも目を向けてみるとよいでしょう。写真のシダ類もそのひとつです。

施設の概要

場所
栃木県日光市花石町1842

交通手段
■公共交通機関
JR日光線「日光」駅または東武日光線「東武日光」駅から東武バスで「日光植物園」下車徒歩2分。
■車
日光宇都宮道路「日光IC」または「清滝IC」から約10分
駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://nikko-bg.jp/

My impression

庭園デザイン★★★★
寒冷地に自生する植物についての教育や研究を目的とされた施設で、各種の植物が好む環境に合わせて植栽されており、植物本来の姿が観賞できるのが魅力です。
そういった経緯から、それらの植物が自生するような、川の流れや湿地、草原、樹林、池、丘などを配した自然感あふれる景観が楽しめます。

植物充実度★★★★
高山植物や寒地植物を中心に多くの植物がみられます。特に、ミズバショウ、サクラ類、ツツジなどの春に咲く花木類、クリンソウなどの初夏に咲く草花類、紅葉する樹木が大きな見所となっています。
一方で、展示の中にはシダ類などあまり見栄えがするとはいえない植物も多く、また、園芸植物もほとんどないことは承知しておきましょう。
植物の管理状態は良好です。

娯楽度★★★
サクラやミズバショウの咲く春、花の多い晩春から初夏、紅葉する晩秋なら、植物にあまり興味が無くても楽しめるでしょう。それ以外の季節は、ゆったり散策するのに向いています。
周辺観光でいえば、隣にある日光田母沢御用邸記念公園が第一候補になります。他にも日光東照宮、輪王寺や逍遥園、神橋など、候補はいくらでもあるので事前に調べておくとよいでしょう。

混雑度★★
日光の観光地に近いですが、基本的にはそれほど混雑せず、ゆっくり観賞が可能です。
なお、日光そのものの混雑には留意しておきましょう。特に紅葉時は周辺道路や駐車場、バス車内が大混雑します。
園内は広く、オープンスペースも多いのでゆっくりできる場所はあります。

交通の便★★★★
公共交通機関利用の場合、 駅からは遠いですが、日光の観光地に隣接しており、バスの本数はかなり多いので交通の便はやや良い評価。
車の場合、高速インターから近いですが、周辺道路が混雑することがあります。また、それほど駐車台数が多くないので、大型連休時などは留意しておくとよいでしょう。
特に、紅葉の季節は公共交通機関の利用も考えましょう。

総合満足度★★★★
正式名称が示す通り、アカデミックな植物園。派手な花の群生は少ないですが、自然な雰囲気の中で様々な植物を観賞できます。普通の方には地味な印象を与える施設かもしれませんが、植物愛好家なら大いに楽しめると思います。一方で、野生種が多く園芸的な見所は乏しいので留意のこと。
園内は広く、見学には十分な時間が欲しいです。ぐるりと歩くだけなら1時間程度ですが、急いで巡るような施設ではありません。

備考:鬱蒼としている場所が多く、いくら比較的涼しい日光とはいえ、夏は散策に向かないかもしれません。また虫や野生動物に注意が必要になります。
ゆっくり散策するなら春から初夏と、紅葉する晩秋が良い季節。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(サクラ、ミズバショウ、各種花木)
春〜晩春(新緑、各種草花)
初夏(クリンソウ、カキツバタ)
晩秋(紅葉・実)

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