清澄庭園は東京都江東区にある日本庭園。泉水や築山、枯山水を主体にした回遊式林泉庭園です。江戸時代から造園が始まりましたが、本格的に今の姿になったのは明治時代以降になります。大きな池とそこに浮かぶ島、各所に配置された名石が主な見所です。
敷地に大部分をしめる広い池(大泉水)が変化のある空間を造っています。ここでは出入口から池を中心に時計回りで主な見どころを紹介します。
控えめな感じが好印象の出入口。
園内に入ってすぐの坪庭は狭い空間ですが、日本庭園らしくてよい雰囲気です。
大正天皇の葬儀に用いられた建物を移築した大正記念館。現在の建物は再建されたものです。
周囲は芝庭になっていて開放感があります。
庭園の大部分を占める大きな池の大泉水。池に浮かぶ島と、岬のように突き出した岸辺が景観に変化を与えています。島には雪見燈籠や舟付石などポイントになるような意匠が施されています。
橋で渡れる中の島。秋になるとハゼノキが見事に紅葉します。
富士山を模した築山。頂上に溶岩石、たなびく風を表したツツジの刈り込みを配しています。
築山の周囲を巡る園路から枯滝が池に流れています。
池のほとりに立つ数奇屋造りの建物。日本庭園らしい風景を演出しています。
利用許可のいる集会施設になっており通常は中には入れません。
前述の通り涼亭は利用許可がいるのですが、正月など限られた日に一般開放されます。
暖かい休憩場所として、また普段とは違う景色を見ることが出来ます。
涼亭の裏手にある自由広場の花菖蒲田に植えられたハナショウブは6月上旬ごろが見頃。
自由広場は芝生が広がり、ベンチやあずまやもあるのでゆっくりできます。
池の周囲を巡れるだけでなく、園路に磯渡りを配置して池と積極的に結びつけています。
ここの庭園は「石」にこだわりがあります。写真1枚目は大きな一枚岩2枚でできた石橋。
他にもある園内の名石には、石の種類が書かれた札が立っているので確認してみましょう。
鳥の姿が多くみられます。特に渡り鳥の多い冬にはかなりの数が飛来します。
ほかに、初夏から夏は亀もよく見られます。
場所
東京都江東区清澄3丁目3−9
交通手段
■公共交通機関
都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線「清澄白河」 駅より徒歩3分。
■車
※専用駐車場なし。公共交通機関利用を推奨。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.tokyo-park.or.jp/park/kiyosumi/index.html
庭園デザイン:★★★★
敷地の半分近くを占める大きな池が特徴。池に浮かぶ島や、池に突き出した岸辺や建物なども併せて、この思い切りのよさのおかげで変化の多い魅力のある空間になっています。
磯渡りや舟付石、石橋など水辺と積極的に結びつけようとする動線も良いと思います。
植物充実度:★★★
日本庭園の主流の樹木や花が多いです。これといった大群落はないものの様々な花が見られます。晩秋に紅葉するハゼノキは見所ですが、他に紅葉する樹木が少ないことは承知のこと。
植物の管理状態は良好です。
娯楽度:★★
ハナショウブなどの花畑も見られますが、いずれも小規模で落ち着いて園内を散策するのに向いている庭園です。人によっては地味に感じる方もいるかもしれません。
冬は鳥が多く観察するのが楽しいです。水鳥が多いせいかフン等はあまり気になりません。暖かい時期は亀の姿もよく見られます。
混雑度:★★★
都内にあるためか比較的混雑することが多いです。ただ、これといった大きな見所の花や紅葉がないためか、酷く混雑することも少ないです。
施設内には自由広場等のオープンスペースがあるのでゆっくりできる場所はあります。
交通の便:★★★★★
公共交通機関利用の場合、最寄り駅から近く非常に良いです。
車の場合、専用の駐車場はなく、近隣のコインパーキング等を利用します。特別な事情がない限り公共交通機関の利用を推奨します。
総合満足度:★★★★
江戸時代に基礎が造られ明治時代に完成したという歴史をみるに、大名庭園と近代庭園の橋渡し的な印象を持ちます。そのためか、都内にある有名な大名庭園に比べ、格式や作法を考慮しながらも、より自然で楽しめる庭園となっています。しっかりした日本庭園という枠組みの中にありながらも、自然に触れながらのんびりできる憩いの庭園という評価ができると思います。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
初夏(新緑)
梅雨(ハナショウブ、アジサイ)
冬(水鳥)