不老園は山梨県甲府市にある梅園。1897年(明治30年)に市内の呉服商であった7代目奥村正右衛門が別荘として開園したもので、ウメの開花期に期間限定で開園します。富士山や南アルプスを望む、見晴らしの良い斜面に咲くウメが美しいです。
酒折駅から徒歩10分程度で着く入園口。駐車場は入園口からさらに坂道を上った所にあります。
園内は簡単な順路がありますが、脇道も多く気になるところを辿ってみればよいでしょう。ここでは主な見所ごとに紹介します。
やや急な傾斜地を利用しているため、ジグザグのつづらおりの園路になっています。
斜面に咲くため横から見ると量感があり見事。
天気が良ければ、富士山や南アルプスと合わせて観賞できるところが大きな魅力。見晴らしが良い場所にはパノラマ写真の案内板があるので目安になります。
ただ、富士山は手前に御坂山地あるため、頭が少し見える形になります。後述の南アルプスの方が見ごたえがあるかもしれません。
園内には奇石や句碑、橋などがあり、景色のアクセントになっています。ただ、楚々とした花であるウメを邪魔するような派手なものはありません。
梅にゆかりが深い菅原道真公をお祀りした北野天満宮より分霊されたという梅天神。
上から見た時の梅天神周辺に咲くウメも見所です。
園の一番高い場所には展望台があり富士山が見晴らせます。ただ、実際には園の様々な場所で富士山は見えますし、ウメと合わせるならここよりも良い場所があります。
富士山と同様に南アルプスも様々な場所から望めますが、展望台から少し西に進んだところがウメと一緒に見れて美しいです。写真右にある尖った山が甲斐駒ヶ岳、左は鳳凰三山となります。
大正時代に建てられたという長生閣。目の前には逍遥の池がある日本庭園になっています。
広々としていてベンチもあるので休憩にも向いています。
見晴らしの良い軽食店や、ウメの盆栽や苗木が販売されているビニールハウス、名物の梅干しなどが販売されているお土産店などがあります。
場所
山梨県甲府市酒折3丁目4−3
交通手段
■公共交通機関
JR中央線「酒折」駅より徒歩7分。
※酒折駅は特急が止まらないので注意。
■車
中央道「一宮御坂IC」から約15分。
中央道「甲府昭和IC」から約20分。
駐車場あり(無料)
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.furouen.jp/
庭園デザイン:★★★★
山の斜面を利用した梅園。ジグザグの園路のためか、ウメが整然とではなくバランスよく植えられており、横から眺めた時もランダム性があって見ごたえがあります。あえてウメを植えない見晴らしの良い場所を造ったりと、展望の良さを生かしたデザインも良いです。
ウメは樹形が特徴的なためウメ自体に装飾性があり、全体的にそれを邪魔しないシンプルな構成の意匠も好印象。あくまでウメが主役となっています。
植物充実度:★★★
ウメの開花期のみに開園されるだけあり、ウメのボリュームは十分。園の歴史もあるのでウメの古木特有の風格もあります。実用ではなく観賞の為の梅園のため、様々な種類や花色のウメが観賞できるのも良い点。その他にはオウバイなどが咲きますが季節柄、花の種類は少な目です。
植物の管理状態は良好です。
娯楽度:★★★★
ウメの開花最盛期は誰でも楽しめる美しい景色が望めますが、できれば富士山や南アルプスの展望も同時に楽しめる晴天の広がる日に訪れたいです。紅葉の時期にも臨時開園しますが、遠方から訪れるならやはりウメの季節に来るのがよいでしょう。
混雑度:★★★
園は比較的広いものの、斜面が多いためオープンスペースはやや少なく、開花最盛期の土日は混雑します。それでも歩くのに困るほどではなくのんびりできます。
交通の便:★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩いて行けるため交通の便はとてもよいです。ただ、酒折駅は普通列車しか停まらない駅のため、遠方からくる場合は少し不便です。
車の場合、通常の駐車場ほか、土日には臨時駐車場がありますが、それを含めても駐車場台数が少なめです。ウメの開花最盛期であれば早出をおすすめします。
総合満足度:★★★★
富士山や南アルプスを望む、眺めがよい斜面にウメの花が咲くところが大きなポイント。園の少し高い方に行けば、様々な場所から山々とウメを合わせて観賞できます。満足度にかなり差ができるので、できればよく晴れ渡った日を狙って訪れたいところです。
斜面に咲くことが園の魅力につながっていますが、その分坂道が多くなります。道がジグザグになっており勾配が緩和されているものの、バリアフリー的には厳しいです。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
早春〜春(ウメ)