滋賀県米原市の醒井(さめがい)には、居醒の清水(いさめのしみず)から湧き出た清流の地蔵川が流れています。その川の中には、冷たくきれいな川で育つバイカモ(梅花藻)という水草が生えており、夏に美しい白い花が見られます。
また、醒井は旧中山道の宿場町(醒井宿)としても知られており、美しい街並みと調和した風景も見所となっています。
こちらのページではサイトの趣旨に沿って、主にバイカモの見所について紹介します。
JR東海道線の醒ヶ井駅から歩いて10分程度でアクセスが良いです。
地蔵川の流れに沿って、往復するように巡ればよいでしょう。
立派な駅舎の醒ヶ井駅。駅前には広い駐車場もあります。
駅から国道21号(中山道)を渡って、居醒の清水方面に歩くと、地蔵川と道がぶつかる箇所に橋が2つあります。このあたりから本格的に醒井宿(旧中山道)となります。
※JRの駅名は「醒ヶ井」、周辺の地名は「醒井」となっています。
なお、どちらも読み方は「さめがい」です。
地蔵川の水源の一つで、近くに十王堂があったことから名がついたとされています。
十王水にある灯ろうは、地蔵川の水量を知る基準の一つとなります。
バイカモは水量が多いと、花が流れてしまったり、水中に花が隠れてしまいます。そのため、なるべく大雨の後を避け、晴れが数日続いた後に訪れるとよいとされています。
写真1枚目程度の水量であれば、バイカモの花を見るのには良い具合となるでしょう。写真2枚目ぐらいだと残念な感じになるかもしれません。
地蔵川には所々に小さな橋や、水辺に降りれる階段があり、川の近くで美しい水が流れる景色を観賞できます。また、緑のバイカモの姿も近くでみられます。
バイカモにかかるピンクのものは、同時期に見頃をむかえるサルスベリの花びらです。
バイカモ(梅花藻)は、水温15度程度という澄んだ流水を好み、流れになびくように育つ多年草の水草です。名前の通り、初夏から晩夏にかけてウメのような小さい白花を咲かせます。
特に、開花最盛期となる盛夏(7月下旬〜8月)には見応えが増します。
前述したとおり、バイカモ最盛期には、サルスベリもまた最盛期をむかえます。
地蔵川に被さるように幹が伸びている株もあり、見栄えがします。
また、サルスベリの花びらが落ちて、バイカモについている様子は風情があります。
地蔵川から少しだけ離れた場所にある了徳寺の境内には、葉の上に銀杏の実がなるオハツキイチョウという珍しい樹木があり、国の天然記念物に指定されています。
秋には実がつきますが、バイカモが見頃の時期は実が目立たないため、普通のイチョウとの区別はつけにくいです。
軽飲食もできる久保田呉服店前は、バイカモの群生ポイントのひとつとなっています。
呉服店で販売されている、湧水で冷やしたわらび餅や、湧水でいれたコーヒーを味わいながら観賞するのもよいでしょう。
問屋とは、宿場町を通行する大名や役人に対して、人足や馬の提供などの引き継ぎ事務を行っていたところです。問屋の建物が完全な形で現存されていることは珍しいとのこと。
建物内部は資料館になっています。
問屋場前には、見応えのあるバイカモの群生ポイントがあります。
水量が多い時でも、ここでは水上で花が見られる事もあるので、チェックしてみましょう。
地蔵川のほとりに建つ、木彫り作品を展示している美術館。
醒井に近い、上丹生(かみにゅう)は昔から木彫りが盛んだそうで、当地出身の彫刻家である森大造氏や地元の作家の作品を展示しています。
また、美術館周辺はきれいに整備されており、ベンチで休んだり、川を眺めたりできます。
昔、地蔵川の川の中に安置されていたという地蔵菩薩を祀るお堂。
地蔵堂の横には、灯ろうのある水汲み場があります。
なお、そのまま生水を飲むのは推奨されていません。煮沸して飲みましょう。
水汲み場や久保田呉服店には、ハリヨがみられる水槽があります。
ハリヨは綺麗な清流や湧水地でみられる淡水魚で、地蔵川を含む、岐阜県や滋賀県の一部のみに生息する貴重なものです。また、地蔵川全体がハリヨ保護区となっています。
川の中で見つけるのは至難なので、簡単に観賞できるのは有難いです。
地蔵堂の隣には、日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の伝説にちなんだ像があります。
周囲は樹木に囲まれた。苔むした美しい景色となっています。
ただ、日当たりが良くないためか、この周辺にはバイカモの花はほとんどみられません。
地蔵川の源流となっている居醒の清水(いさめのしみず)
滾々と美しい水が湧き出ているのを眺められます。
地蔵川のそばに鳥居があり、急な階段上ると拝殿があります。
名神高速道路の建設に伴って遷宮(せんぐう)したものだそうです。
階段を上がった加茂神社の上部からは、醒井宿の全景を見渡せます。
急な階段に躊躇する方もいると思いますが、一度は上ってみるとよいでしょう。
ここまでで主な観賞スポットの紹介は終わりますが、余裕があれば、下記にあるその他の見所も巡ってみると、より充実度が増すでしょう。
地蔵川周辺には他にもいくつか見所があり、主なものを紹介します。
1915年(大正4年)に建てられた木造の擬洋風建物で、以前は醒井郵便局として使われていたものです。現在は資料館として使われています。
安価で入館でき、2階では様々な資料や、建物の造作が見学できます。
西行法師の伝説が残る湧水で、岩の間から水が湧き出る様子が観察できます。
バイカモの花はみられませんが、小魚の姿が多くみられます。
表題の商店の近くには、バイカモの群生ポイントがあります。
観光の最後に、商店で名物の鱒の甘露煮やお寿司をお土産にするのも良いかもしれません。
地元の方々にとって、地蔵川は今も生活の一部となっています。また、ボランティアで定期的に川の清掃活動をしているとのことです。
観光客として感謝しつつ、マナーを守って観賞したいところです。
また、醒井宿への車での進入や路上駐車は控えましょう。
場所
滋賀県米原市醒井95
交通手段
■公共交通機関
JR「醒ヶ井」駅から徒歩10分。
■車
北陸自動車道「米原IC」から約5分。
※車利用の場合は、醒ヶ井駅前の駐車場(有料)を利用のこと。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
米原市公式ウェブサイト
URL:https://www.city.maibara.lg.jp/soshiki/keizai_kankyo/shoko_kanko/kanko_info/spot/14398.html
庭園デザイン:━
庭園と呼べる規模の庭はありません。
植物充実度:★★
バイカモが多くみられます。また、同時期にはサルスベリの花も見られます。他には特にこれといった花の見所はありません。
植物の管理状態はとても良好です。
娯楽度:★★★
バイカモの最盛期は美しい景色が楽しめます。
それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
醒井宿周辺には様々な休憩処や食事処があるので、目的や予算に応じて寄ってみるとよいでしょう。
車で訪れたなら、上流にある滋賀県醒井養鱒場に寄るのもよいでしょう。バイカモの花が見られるほか、釣り体験やマス料理などが楽しめます。道中の道がやや狭いので安全運転でいきましょう。
混雑度:★★★
バイカモの最盛期はやや混雑します。それでも煩わしいほどではないでしょう。
オープンスペースは多く、混雑時でもゆっくりできる場所はあります。
交通の便:★★★★★
公共交通機関利用の場合、最寄り駅から近く、非常に良い評価。
車の場合、専用の駐車場はありませんが、駅前の広い駐車場を利用できます。
なお、本文でも触れましたが、醒井宿への車での進入や駐車は、公式サイトや現地看板によると遠慮するようにとのことです。また、駅から地蔵川の間の道中にも見所があるので、素直に駅前駐車場に停めるのが良いでしょう。
総合満足度:★★★
自然風景の中というよりも、昔からの人々の生活に根付いた水路状に流れる清流と、そこに咲くバイカモが見所です。その点は承知しておくとよいでしょう。
駅から近く、気軽に訪問できるところは有難いです。
バイカモの花の見ごろは夏の一番暑い時期となります。地蔵川の水は冷たく景色も涼し気ですが、やはり暑さ対策はしていくとよいでしょう。
備考:名神高速道路に近いですが、車の音はそれほど気になりません。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
盛夏(バイカモ、サルスベリ)