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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

御岳山(レンゲショウマ・武蔵御嶽神社・玉堂美術館・御岳渓谷)

御岳山は東京都青梅市にあり、ケーブルカーで上れる気軽さと、豊かな自然、都心まで見渡せる展望、山頂付近にある武蔵御嶽神社などの見所を併せ持っています。また、そのふもとの御嶽駅から沢井駅にかけても、枯山水庭園のある玉堂美術館、多摩川が流れる御岳渓谷などが楽しめます。
花や緑でいえば、夏に咲くレンゲショウマ、秋の紅葉に定評があります。

様々な観光ルートが考えられますが、こちらのページではまずケーブルカーで御岳山駅に上り、レンゲショウマの観賞と武蔵御嶽神社の参拝、ケーブルカーを降りて御嶽駅近くにある玉堂美術館鑑賞、沢井駅までの御岳渓谷の散策というルートで紹介します。
逆ルートでも良いですが、その場合はケーブルカーやバスの最終便に間に合うようにしましょう。

ケーブルカーの滝本駅

ケーブルカーの滝本駅
御嶽駅にある「御岳」バス停より路線バスに乗り、終点の「ケーブル下」バス停で降ります。
(早朝に1便だけ、青梅駅から「ケーブル下」バス停に直通するバスあり。)
急な坂道を少し上ると、写真のケーブルカーの滝本駅が見えてきます。

※駅名は「御嶽駅」ですが、バス停は「御岳駅」の表記なので注意。
また、御嶽駅は普通に「みたけえき」と読みます。「おんたけえき」ではありません。

ケーブルカー

御岳登山鉄道のケーブルカー御岳登山鉄道のケーブルカー
御岳登山鉄道のケーブルカー。営業開始が1935年(昭和10年)という歴史あるものです。
ふもとの滝本駅から、山上の御岳山駅までは所要時間6分、高低差424m、平均勾配は22度となっています。かなりの急勾配で、アトラクション的な非日常感があります。
なお、リードがあれば指定場所にて犬も乗車可能です(理由は後述)

御岳山のレンゲショウマと、武蔵御嶽神社

御岳山地図(クリックすると別ウィンドウが開きます)

御岳山地図
※写真は、ケーブルカー山上駅の御岳山駅から武蔵御嶽神社までの地図で、ここでの紹介に合わせて公式の地図に少し加筆したものです。最新の地図は現地や公式サイトで改めて確認ください。

レンゲショウマの群生地はケーブルカーの御岳山駅から徒歩5分と近く苦労はありません。
一方、武蔵御嶽神社は御岳山駅から徒歩25分とやや遠く、急な階段等を上り下りする場所もあることは留意しておきましょう。神社往復は参拝などを含めると1時間半程度はみておきたいです。

御岳平

御岳平
御岳平の紅葉
御岳山駅からすぐの御岳平。広場になっており、商店と観光リフト乗場があります。
秋にはイチョウやなどの紅葉が楽しめます。日当たりがよい場所のせいか発色良好です。

御岳山の紅葉の見ごろは例年10月下旬頃となっています。
紅葉の見ごろに合わせて、天空もみじまつりというイベントが開催されており、神楽やコンサートなど様々な催し物が行われているので、チェックしてみるとよいでしょう。

御岳平からの展望

御岳平からの展望
御岳平からは東方面の展望が楽しめます。
他にも、御岳平にある観光リフトを上った先にも大展望台がありますが、先にレンゲショウマの群生地に向かいましょう。

レンゲショウマ群生地1

レンゲショウマ群生地
御岳平からほど近い富士峰園地にある、レンゲショウマ群生地
群生地は北側の林の中の斜面で、昼でも日光が当たりづらく涼しい環境となっています。
なお近年、鹿の食害対策でゲートが設けられるようになりました。群生地を出入りする際は現地の看板に従ってゲートの開け閉めをしましょう。

レンゲショウマ群生地2

レンゲショウマ群生地
レンゲショウマは奥ゆかしいタイプの花のため、開花最盛期でも、斜面が花でおおわれるような景観にはなりません。自然に咲く花ということで、そのあたりは承知しておきましょう。

なお、みたけさんレンゲショウマまつりは7月から9月まで行われていますが、レンゲショウマの開花最盛期は例年8月中旬から下旬となっています。
見頃の目安は、後述する御岳山レンゲショウマ開花情報のサイトで確認するとよいでしょう。

レンゲショウマの花

レンゲショウマの花
花がハス(蓮、蓮華)に、葉がサラシナショウマ(晒菜升麻)に似ていることから、レンゲショウマ(蓮華升麻)と名付けられたといわれています。
うつむいているため、写真に撮りにくい花ですが、散策路が狭いため日中の三脚の利用は制限されています。頑張ってブレずに撮影しましょう。

大展望台

大展望台から見た景色
レンゲショウマ群生地の斜面を上りきると、観光リフトの山上駅がある大展望台があります。
名前の通り、御岳平の展望台よりもさらに広々とした景色を望めます。

産安社

産安社と安産杉、子授檜夫婦杉
富士峰園地の頂上付近にある産安社(うぶやすしゃ)。縁結びや子宝、安産、長寿に関するご利益があるとのことです。御神木の安産杉や夫婦杉、子授檜なども参拝するとよいでしょう。

御岳ビジターセンター

御岳ビジターセンター御岳ビジターセンター
武蔵御嶽神社に向かう道の途中にある案内所。御岳山の自然や文化を学べます。
休憩にも利用でき、御岳山の地図の配布もあるので、立ち寄ってみるとよいでしょう。

御師集落の馬場家御師住宅

御師集落の馬場家御師住宅
武蔵御嶽神社に向かう参道には、御師(神職)が宿坊などを営む集落があります。
中でも、馬場家御師住宅は茅葺屋根の立派な建物で、ぜひ見学したいです。
メインの道から外れた場所にあるので、地図でよく確認しましょう。

神代ケヤキ

神代ケヤキ
国天然記念物の歴史ある大きなケヤキ。斜面の条件の悪い場所に生えているせいか、樹勢はあまり良くありませんが、一見の価値はあるでしょう。

町場通り(商店街)

町場通り(商店街)駒鳥売店のシカ肉のカレー
鳥居前広場の手前には商店が立ち並んだ一角があります。
帰りにお土産を購入したり、飲食をするのもよいでしょう。
写真2枚目は、駒鳥売店のシカ肉のカレー。

随身門

随身門
ここから本格的に神社内に入っていきます。このあたりも紅葉が美しいです。

武蔵御嶽神社に向かう階段

武蔵御嶽神社に向かう階段
随身門から武蔵御嶽神社に向かう道は階段の連続。所要時間の割に体力が必要です。
途中で休憩を入れつつ、ゆっくり気合を入れて上りましょう。
夏は水分の持参・補給も忘れずに。

武蔵御嶽神社

武蔵御嶽神社
創建は崇神(すじん)天皇の代ともいわれ、非常に歴史の長い神社。
また、おいぬさま(オオカミを神格化したもの、大口真神(おおぐちまがみ)と呼ばれる)を祀っていることもあり、犬を連れた参拝者も多いです。
こう言った事情があり、ケーブルカーに犬が乗車できる理由ともなっています。

奧宮遙拜所から見る奥宮

奧宮遙拜所から見る奥宮
武蔵御嶽神社の裏にある奧宮遙拜所からは、奥宮のある山が見渡せます。
特に紅葉の時期は、赤や黄色に山が染まって美しいです。

宝物殿

宝物殿
国宝2点、重要文化財3点をはじめとした多くの文化財が収蔵されています。
有料で内部を鑑賞できますが、開館は土日祝のみなので注意。

※神社からは、ロックガーデンや綾広の滝方面に道が伸びていますが、ここから先はハイキングや登山の領域になります。一般の方は立ち入らない方が良いでしょう。
なお、長尾茶屋や、長尾平の展望台までなら一般の方でも問題ない範囲です。

神社から御岳山駅に向かう巻き道

神社から御岳山駅に向かう巻き道
帰りは、産安社のある富士峰園地の頂上を通らず、平坦な巻き道を進むとよいでしょう。
巻き道の途中には、御師集落を望む紅葉が美しい場所があります。

ここまでで、御岳山と武蔵御嶽神社の紹介は終わります。
ケーブルカーで滝本駅まで降り、路線バスに乗って御岳駅バス停まで戻りましょう。
御岳駅バス停で降りたら、少し道を戻る形で御岳橋を渡って、玉堂美術館に向かいます。

玉堂美術館

日本画の巨匠、川合玉堂が青梅市御岳に住んでいたことを記念して建てられた美術館。
玉堂の作品を鑑賞できるほか、枯山水の庭園も観賞できます。

美術館前


多摩川のせせらぎが聞こえる林の中にある、落ち着いた雰囲気の美術館建物。
玄関で入館料を払って館内に入りましょう。

枯山水庭園1

枯山水庭園1
美術館の雰囲気とよく合った、静寂感のある京都の石庭のような枯山水庭園。
庭園は多摩川の流れを表しているとのことです。

枯山水庭園2


奥側にある建物は、玉堂の晩年の画室を復元した隋軒(ずいけん)
枯山水庭園とよく調和した和風建築となっています。

枯山水庭園3

枯山水庭園(イチョウの黄葉)
秋には、借景のイチョウが黄色く染まります。
なお、方位の関係上、日差しがある日は庭園側が陰になりやすいです。日の光を受ける輝いたイチョウの姿は望めませんが、曇りの日の方が庭園の本来の姿を観賞できるかもしれません。

玉堂美術館を出て向かって右にも道がありますが、御岳小橋が流失してしまったので進めません。
いったん御岳駅バス停付近まで戻って、御岳渓谷の遊歩道に降りましょう。

御岳渓谷

ここでは、散策しやすい御嶽駅から沢井駅の間の御岳渓谷を紹介します。
なお、2019年の台風19号の被害のため、工事や通行止め等の措置が行われていることがあります。現地の案内に従いましょう。

青梅市御岳交流センター

青梅市御岳交流センター
地域のコミュニティセンターですが、観光客向けに御岳渓谷の地図等の配布もあります。
この建物の横から、御岳渓谷の遊歩道に降りれる道があります。
(御岳駅バス停の近くからも降りれる道あり)

御岳園地(旧御岳小橋前広場付近)

御岳園地(旧御岳小橋前広場付近)
紅葉が美しい御岳園地。対岸の玉堂美術館やイチョウも望めます。
御岳渓谷を巡らない場合でも、こちらに立ち寄ってみるとよいと思います。

なお、御岳渓谷の紅葉の見ごろは例年11月上旬ごろとなっています。御岳渓谷より少し紅葉が早い御岳山の紅葉と、どちらを重視するかで訪問時期を調整するとよいでしょう。

御岳渓谷の遊歩道

御岳渓谷の遊歩道
左岸に続く遊歩道。基本的にスニーカー程度の足回りで問題ありませんが、狭かったり濡れていたりする場所もあるので、譲り合って歩きましょう。

川との距離が近い


遊歩道は川との距離が近く、場所によっては遊歩道から外れて川に近づくこともできます。
夏であれば、浅瀬で足を浸す程度の水遊びも可能です。
対岸に見える大岩は忍者返しの岩で、ロッククライミングに興じる人たちの姿が見えます。

鵜の瀬橋の上から見た景色

鵜の瀬橋の上から見た景色
中間あたりにある、鵜の瀬橋は比較的高度があり、橋の上からは伸び伸びとした景色を望めます。

地元の方々に感謝

庭先の花々
遊歩道の途中には、所々で庭先の花々が見られます。
土地の提供や、周辺の管理をしてくれている周辺住民の方たちには感謝です。

澤乃井園

澤乃井園澤乃井園
清酒「澤乃井」を醸造している、小澤酒造が運営している施設。
お酒を含む、軽飲食が気軽に楽しめる澤乃井園のほか、本格的な豆腐料理が楽しめる料理店、お洒落なカフェなどがあり、目的や予算に応じて楽しめます。
旅の最後に、お酒や酒まんじゅう、豆腐といったお土産を購入するのもよいでしょう。

ここから青梅街道を渡って、小澤酒造の横の急な坂道を上がると沢井駅があります。
紅葉や大型連休時は電車が混雑しやすいので留意しておきましょう。

施設の概要

場所
東京都青梅市御岳山176(武蔵御嶽神社)
東京都青梅市御岳1丁目75(玉堂美術館)

交通手段
■公共交通機関
JR「御嶽」駅から路線バス「ケーブル下」下車、徒歩5分。
※ケーブルカーの滝本駅まで。
※御嶽駅にある、乗車するバス停の名前は「御岳」です。
※青梅駅からも早朝に1便だけ「ケーブル下」直通のバスがあります。
■車
圏央道「青梅IC」から約30分。
圏央道「日の出IC」から約20分。
駐車場あり(有料)
※紅葉や大型連休時は駐車待ちができることがあります。また、駐車待ちをする道は斜面になっているので車間距離に注意。混雑する季節は公共交通機関の利用を推奨。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.mitaketozan.co.jp/(御岳山登山鉄道)
URL:http://musashimitakejinja.jp/(武蔵御嶽神社)
URL:https://www.ces-net.jp/mitakevc/(御岳山ビジターセンター)
URL:https://rengeshoma.guidebook.jp/御岳山レンゲショウマ開花情報
URL:http://www.gyokudo.jp/(玉堂美術館)

My impression

庭園デザイン★★★
展示の日本画や和風建築に合わせた、京都の石庭のような静寂感のある枯山水庭園。
背景の白壁や、借景のイチョウなどの樹木が調和した、落ち着いた雰囲気が魅力です。
ただ、ボリューム不足感があることは否めず、評価としては難しいところです。
※上記評価は玉堂美術館のみ。

植物充実度★★
レンゲショウマのほか、紅葉する樹木が多いです。他にも様々な花が樹木が見られますが、基本的には自然の中でみられるという形のため、庭園や植物園のような充実度はありません。
また、玉堂美術館は枯山水庭園のため、花的な見どころは乏しいです。
植物の管理状態は普通ですが、散策路や遊歩道の管理はしっかりしています。

娯楽度★★★★
紅葉の最盛期は誰にでも勧められるほど美しい景色が楽しめます。それ以外の季節は派手な景色は望めず、自然の中でゆったり散策するのに向いています。
レンゲショウマの時期も良いのですが、開花最盛期は散策に向かないぐらい暑いです。熱中症対策は十分にしておきましょう。

混雑度★★★★
紅葉の最盛期はとても混雑します。また、レンゲショウマ開花最盛期の夏休みや、大型連休時も混雑しやすいです。距離が長く人が分散する御岳山参道や御岳渓谷遊歩道は煩わしさは少ないものの、人が集中しやすい電車やバス、ケーブルカーの車内、レンゲショウマ群生地の散策路は混雑感が強いです。さらに、これらの時期は飲食店も混雑しやすいです。
ただ、オープンスペースは多いので、混雑時でもゆっくりできる場所はあるでしょう。
混雑を避けるために、なるべく平日や早朝などに出かけるとよいでしょう。

交通の便★★★
公共交通機関利用の場合、青梅線という電車の本数が少ない区間の駅から、バスとケーブルカーを乗り継ぐ複雑さのためこの評価。
ただ、この不便さが非日常感を感じる部分もあり、悪いばかりではありません。
車の場合、専用の駐車場はありますが、駐車台数は少な目で、大型連休時や紅葉最盛期は満車になりやすいです。また、滝本駅から神社を往復すると余裕で1時間以上はかかるため、駐車場の回転率は良くないです。そのため、長時間待たされることが多くなります。早出早着を。
大型連休時や紅葉最盛期は公共交通機関の利用を推奨します。

総合満足度★★★★
御岳山や御岳渓谷の美しい景観が魅力。奥多摩に隣接するとはいえ、東京都にこのような自然が残されていることは嬉しいものです。また、玉堂美術館の庭園は東京近辺では珍しい枯山水庭園で貴重です。
御岳山、御岳渓谷共に紅葉する樹木が多く、紅葉最盛期の満足度は高くなります。
レンゲショウマの開花最盛期も良いのですが、御岳山の山上とは言え、この季節はとにかく暑く散策に向きません。見所を絞って観光ルートを組むとよいでしょう。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
夏(レンゲショウマ)
晩秋(紅葉)

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