1924年の開園した日本最古の公立総合植物園。戦前戦後の変革により、古くから残る施設は多くないですが、樹木園や生態園、観賞温室などを利用した教養の場という側面と、芝生広場や遊び場など府民の憩いの場としての側面が両立した施設として生まれ変わりました。
歴史ある植物園ならではの落ち着いた雰囲気と、広大な敷地を利用した余裕がある各エリアの配置もあって、居心地が良い植物園となっています。
大きな見所でいえば春のサクラと晩秋の紅葉ですが、それ以外の季節も観賞温室を含め、季節毎に様々な植物を観賞できます
広い園内。主な出入口は2つですが、駅から近いのは北山門、駐車場から近いのは南にある正門です。地下鉄駅にほぼ直結している北山門の利便性は非常に良いですが、賀茂川が側に流れ、けやき並木が美しい正門側の雰囲気の良さも捨てがたいです。
順路は特にないので、ここでは各エリアの見所を紹介します。各季節の花の見所にあわせて自由に巡るとよいでしょう
けやき並木が続く道の先にある正門。駐車場に一番近いです。
中に入ると広々とした通路と、季節の花が植えられた花壇があります
地下鉄駅出口からほぼ直結の北山門。中に入ると噴水がある大きな広場になっています。
イベント時には屋台や出店が並ぶことがあり、賑わいます
園内の花木園の中でも一番広い桜林。様々な桜が見られますが、3月下旬〜4月上旬に咲くソメイヨシノが特に見事です。同時に球根類や、ボケ、ユキヤナギなどの花木も見頃を迎えます
芝生の中に約100種程の桜が植えられています。品種数が多いため長期間花が楽しめます。
奥にはカフェがあり、サクラを眺めながらお茶ができます
はす池の周囲にはカエデの木が多く植えられ、新緑や紅葉の時期には見ごたえがあります。
湿度が高い京都でよく見られる苔類も見所です
英国風庭園をはじめ乾燥地、丘、湿地など様々な環境に様々な花が植えられています。
宿根草や球根植物が中心のため、季節が感じられる花壇になっています
センベルセコイアなど、主に外国産の巨大な針葉樹が植栽されています
地味ながら、歴史ある植物園を感じられるエリアになっています
日本各地の山野に自生する植物を、自然に近い状態で植栽したエリア。森の中を歩くような感覚で植物を観賞できます。湿地や砂地など様々な環境を再現しているので変化に富んでいます。
また、季節によって様々な花や実が楽しめるのも魅力です
1〜2年草の草花や、宿根草、球根植物などで彩られた花壇。整形花壇ではない野性的で自由な植栽となっています。春から初夏と秋が特に華やかです
あじさい園やはなしょうぶ園のほか、つばき園や西洋シャクナゲ、梅林、ぼたん・しゃくやく園など各種花木・草花園があります。個々のボリュームは園の広さに比べるとそれほど大きくありませんが、植物に優しい余裕を持った植栽が好ましいです
比叡山を借景にした、西洋シャクナゲ園、ばら園、沈床花壇からなる庭園。ヒマラヤスギやカイヅカイブキ、各花木が左右対称に植えられた、明るい雰囲気のエリアになっています
整形式のバラ園。初夏や秋には美しい花が見られます。
有名なモダンローズの品種を中心に、京都にちなんだ品種も植えられています
噴水のある、すり鉢状になった純フランス式の整形花壇。開園当時としては斬新な花壇であったそうですが、現在はクラシックな雰囲気があります。季節の花や紅葉する樹木が見られます
池を挟んで建つ日本最大級の回遊式温室。京都の北にある北山連峰のシルエットをモチーフにした、波打つような外観が特徴です。植物園の教養の場としてのメインといえる施設で、季節に関わらず様々な植物が観賞できます。
入館時間が、入園時間よりも短いので確認した方がよいでしょう。夕方に訪れたのであれば先に温室を観賞することをお勧めします
熱帯の植生を再現したエリア。ジャングルゾーンと、水生・食虫植物ゾーンに分かれています。
スロープやトンネルを利用した立体的な経路になっています
食用問わず、生活に役立つ熱帯の植物を展示しています。
特に熱帯果実の実つきが非常によく観賞が楽しいです(写真はカカオの実)
熱帯の高山など、夏は冷涼で冬はやや暖かい環境を再現しています。高山性のランや食虫植物などが見られます。面白い見た目のものが多く、写真の花は某映画の悪役に似ているといわれるアリストロキア
サルバドレンシス
砂漠やサバンナに見られる、乾燥に強いサボテンや多肉植物を植栽しています
観賞植物としても有名なランやアナナスを展示しています。植物園らしく野生種を自然風に植栽しているのが特徴ですが、原種も派手な見た目のものが多いため見栄えがあります
半木神社があり、池に囲まれた場所にある、園内に唯一残る自然林。
森の中にある小川や水車の周りにはカエデの木が多く、紅葉の時期はとても綺麗です
広い芝生広場は、周囲が樹木で囲まれた憩いの場です。
大芝生地の側に建つ森のカフェは、訪れる人のニーズに合わせた気軽に頼める軽食が多く、芝生を眺めながらのんびり飲食できます
各展示会などが開かれる施設。休憩所や売店もあります。
また、建物2階の東側にはバラ園や比叡山を眺められる展望テラスがあります
竹笹園の裏にある展示場。季節毎に様々な花が見られます
開園当初から植えられた約100本のクスノキが並ぶ、200メートルの並木道。年間を通して見所がありますが、特に新緑の間からこぼれる日差しが心地よい初夏は美しいです
正門から続くケヤキの並木道。植物園のシンボルロードになっています。
また、けやき並木の隣には賀茂川が流れ、散策路を歩きながら川の流れを眺められます。周辺施設も美術館や大学などが多く、環境にも恵まれた施設になっています
場所 | 京都市左京区下鴨半木町 |
交通 | ■公共交通機関 地下鉄「北山」駅からすぐ(北山門) 地下鉄「北大路」駅から徒歩約10分(正門) 車: 烏山五条交差点より約20分 駐車場あり(有料) |
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照 | |
URL | http://www.pref.kyoto.jp/plant/ |
My impression | ||||
マニア度 | 娯楽度 | 混雑度 | 交通の便 | 総合満足度 |
★★★ | ★★ | ★★ | ★★★ | ★★★★☆ |
歴史がある植物園として、植物の種類が豊富なのはもちろん、学びの意味でも興味深い展示が多いです。一方で、堅苦しさが少ない、管理者の植物への愛情も感じられる温かみがある施設になっています。 広い敷地に余裕をもって各エリアが配置されているのは好印象。散策が楽しいです。静かに観賞したい各植物のエリアと、賑わいがある芝生広場や子供の遊び場のエリアが緩く樹木や広い園路で区切られており、それぞれの居場所を作りつつも植物園全体として一体感があります。入園料も安価で、植物園というよりも植物公園に近い印象です。 大きな見所はサクラと紅葉で、どちらもボリュームのある景色を観賞できます。ただ、その季節は混雑しやすいので、植物が純粋に好きなら、サクラが終わった春からバラや新緑の美しい初夏、宿根草の咲く梅雨の時期が綺麗なうえ、静かに楽しめて良いと思います。 園内は広く、温室も含め散策には十分な時間が欲しいです。環境そのものが楽しいため急いで見回るような施設ではありません。 管理状態は良好、管理者の印象も良好です。 公共交通機関利用の場合、北山駅からすぐのため非常に良いです。ただ、一度は北大路駅を利用して、ケヤキ並木のある正門側からも訪れてみたいところです。 車の場合、広い駐車場があり閑散期は問題ありませんが、桜や行楽シーズンは周辺道路や駐車場がとても混雑するので早出早立ちを。特に桜の時期は公共交通機関の利用を推奨します。 |
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注目の花(色付き文字は特におすすめ) 春:サクラ 初夏:新緑、バラ 初夏〜梅雨:宿根草 夏:ハス 晩秋:紅葉 冬以外:各種草花、樹木 |