ガーデンミュージアム花遊庭(かゆうてい)は愛知県豊田市にある園芸・造園会社が運営している庭園。住宅地にあるやや狭い敷地ながら、様々なテーマガーデンを組み合わせた美しい庭を観賞できます。一年草や多年草、球根、バラ、花木をバランスよく植栽しており、季節ごとに見応えがあります。
敷地が狭めで園路も狭いので、基本的には入口から出口への一方通行となっています。ただ、休憩所やショップが入口建物(ここはな)内にあるので注意。
ここでは庭園入口から出口に向かって順路通りに主な見どころを紹介します。
個人邸のようなガーデン入口。周囲には様々な雑木や草花が植えられ雰囲気が良いです。
入ってすぐにある建物「ここはな」で入園料を払って庭園に向かいましょう。
斜めに配した六万石を波に見立てた和風の庭。開業時は比較的和の印象が濃い庭園であった面影があります。現在の庭園デザインになってからは、いきなり派手な西洋ガーデンを見せないようにする奥ゆかしい構成を演出しています。
近年流行の、室内的な空間となっている屋外の庭。造園会社が造った庭園だけあり、ここ以外にも個人邸に採用してみたくなるような庭が各所にあります。
石を組んで造られた、比較的落差がある立派な滝。
滝からの水が流れを作り池に続いています。長さは短いですが本格的な流れです。
池にはポイントとして石船が配置されています。
各季節に一年草や多年草、球根類、花木がバランスよく植えられた庭。園路の密に植えられた花壇と、開けた芝生の空間の対比が、敷地面積以上に広がりを感じさせてくれます。
季節により、徐々に花が入れ替わっていくように計画的な植栽が行われています。
樹木に依存しない、しっかりと柱を建てたタイプのツリーハウスですが雰囲気は本格的。暗くなるツリーハウス下の空間は、コケやシダ植物、常緑低木などの日照不足に強い植物を植栽しています。
ツリーハウスの上からは庭園内の景色を見下ろせます。
青色に塗装されたガゼボやガーデンテーブルがある庭。
休憩に利用できるとともに、ナチュラルガーデンの奥行き感を演出しています。
面積でいえばそれほど広くないはずの芝生の庭ですが、人の立ち入りを禁止することで、芝生の美しさを保ちつつ、見通しがきくオープンな景色を演出しています。
また、芝生の周囲の植栽は、季節ごとにテーマを変化させているのがわかります。
石貼りのテラスにガーデンテーブルが置かれたドライな庭。池側にあるデッキにはアーチが架けられ、つる性の花やコンテナの花が植えられていてフォトスポットになっています。また、対面側にも周囲を花で彩られたソファーやガーデンベッドが置かれた庭があります。
この庭は屋外イベント時に利用されることがあり、立ち入りが制限されることもあります。
白い花を咲かせる植物と、それに合わせた銀葉や黒葉のリーフプランツが多く植えられた庭。比較的広めの庭で、周囲が塀やチャペルなどで囲まれているため統一感があり、見ごたえがあります。
コンサバトリー(イギリスの伝統的なサンルーム)のあるクレマチスが植えられた庭。
イギリスのウィンザー城で使用されていた古い石材やレンガを使用した庭。
多年草や樹木を中心に、季節の一年草で彩っています。
イギリス風の田舎家の前に、様々な種類の花や樹木が植えられています。各季節楽しめますが、特に美しいのは田舎家に絡まるつるバラが咲く初夏です。
イギリスにある美しい風景が広がるコッツウォルズ地方をイメージしたガーデン。
小さな小屋があり、小屋の内部は庭園出口になっていますが、出口からの再入園はできません(入口からの再入園は可)。奥にもまだ庭が続いているので、いったん道なりに進みましょう。
バラと、一年草や多年草、球根類を組み合わせた庭。こまめな管理が必要で、樹形にも特徴があるバラは組み合わせに悩まされますが、上手にデザインしています。
庭園の一番奥にある、扱いやすいバラを中心に植栽されたローズガーデン。狭い庭ですが、その分管理が行き届いて花つきが良好なため量感があります。
ガーデン部分はここまで。コッツウォルズガーデンの小屋に戻って出口から表に出ましょう。
ここはな内には飲み物の自販機があり、庭園内の指定場所に飲み物を持ち出してオープンカフェのように楽しむことができます。
散策後に飲み物を楽しみたい場合は、閑散時は庭園内を戻っても良いですが、混雑時はいったん出口を通って庭園入口から再入園するとよいでしょう。
併設のガーデンショップ。庭園内にある植物など様々な商品を選べます。
帰りに立ち寄ると良いでしょう。
場所
愛知県豊田市大林町1丁目3−3
交通手段
■公共交通機関
名鉄「土橋」駅から徒歩15分。
愛知環状鉄道「三河豊田」駅から徒歩16分。
「土橋」駅および、「三河豊田」駅から豊田おいでんバス「寿町」下車、徒歩7分。
■車
東名高速道路「豊田IC」から約8分。
伊勢湾岸自動車道「豊田東IC」から約10分。
駐車場あり(無料)
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.kayutei.co.jp/
庭園デザイン:★★★★★
狭い敷地に、様々なテーマの庭や施設を混在させたガーデン。ただ、ごちゃごちゃした感じではなく、前半は和風で中盤は洋風、終盤はローズガーデンと徐々に変化させているため唐突感は少ないです。密植している部分と、オープンな部分のバランスも絶妙で狭苦しさもそれほど感じません。
ナチュラルガーデンにはツリーハウス、ホワイトガーデンには白いチャペル、コテージガーデンには田舎風の小屋といった、施設と庭との連動も好ましいです。
植物充実度:★★★★
多年草や花木、樹木を中心とした植栽にプラスして、季節により一年草や球根類で彩っています。新品種や珍しい園芸植物も多めです。ちょっと花が少なめな場所に見頃の花が咲いたコンテナを置く工夫をしたり、部分部分で植物を入れ替えることで、季節ごとに見所があるように配慮されているのも良いです。一方で、庭園面積は狭く、単純な花のボリューム感でいえばやや控え目。
植物の管理状態は非常に良好です。
娯楽度:★★★
チューリップや春バラの季節は美しく、花に興味が薄い方でも楽しめるでしょう。それ以外の季節は、花や植物が好きな方がのんびり散策するのに向いています。
オープンカフェ的な楽しみ方ができますが、レストラン等はありません。
周辺は住宅地で、ガーデンショップ以外はこれといった観光・娯楽施設はありません。その分、ついでに寄るような観光客は少なく混雑度の緩和につながっています。
混雑度:★★★★★
春バラの最盛期は混雑し、チューリップの季節もやや混雑します。それ以外の季節はのんびり楽しめるでしょう。園内は狭く混雑感は強いですが、敷地に対してオープンスペースは比較的多めで、ベンチも多いので混雑時でもゆっくりすることは可能です。
ガーデンウエディングをメインに様々なイベントが行われ、ガーデン立ち入りに制限がかかることがあります。公式サイトにスケジュールが載っているので確認すると良いでしょう。
交通の便:★★★★
公共交通機関の場合、最寄駅から少し遠いですが、何とか歩ける距離です。また、バスで近くまで行くことも可能。足に不安があるなら駅からタクシーを利用すると良いでしょう。
車の場合、専用の駐車場があり、そこそこの台数が停められます。園は狭いので駐車場の回転率も高いです。ただ、春バラの最盛期など混雑時は駐車待ちになる可能性はあります。
総合満足度:★★★★★
住宅地にある、狭いながらも非常に美しくデザインされたガーデン。暖地でこのような美しい庭を維持管理するのは容易ではなく、管理者の工夫や苦労を考えると頭が下がります。
華やかさを求めるならチューリップが咲く春、花の多い晩春、春バラが咲く初夏の季節が良いでしょう。アジサイや宿根草の咲く梅雨、ダリア等が美しい秋もおすすめの季節になります。
備考1:近隣の方なら問題は少ないと思いますが、遠方から訪れる場合はイベント時と被ると残念な思いをすることになるので、事前に公式サイトでスケジュールを確認しておくと良いでしょう。どうしても失敗したくない場合は、念のため電話等で確認すると良いかもしれません。
備考2:庭園が狭く、周辺もマンション等があるため、晴れの日は影ができやすいです。できれば曇りの日に訪れると良いと思います。特にバラに関しては、写真映えも曇りの日の方が良いです。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(チューリップ、球根類、草花類、花木類)
初夏(春バラ、草花類、花木類、球根類)
梅雨(アジサイ、多年草類)
秋(ダリア、秋バラ、多年草類)