可睡ゆりの園(かすいゆりのその)は静岡県袋井市にある期間限定公開のユリ園。
高低差のある敷地に、早咲きのアジアンティック系のユリから、遅咲きのオリエンタル系のユリまで、様々な種類のユリが見られます。また、近年は植栽面積が増えたアジサイも見所です。
併せて、可睡ゆりの園に隣接する可睡斎も軽く紹介します。
大きな池を中心に、種類や花色ごとにユリが植えられています。
順路は池を中心に反時計回りで設定されており、それに従えばよいでしょう。ここでは正面入口から入り、順路通りに主な見どころを紹介します。
なお、各エリアは花色等で簡易に名前が付けられているだけなので、言葉だけでは現在地が分かりづらくなっていることは留意ください。
正面入口と南入口があり、どちらから入っても観賞上の問題はありません。
入口は奥ゆかしい雰囲気の和風の建物となっています。
正面入口から少し進むと大きな池があり、岬状になった部分には大きな燈ろうがたっています。
また、池の対面にある立派な滝の全容も眺められます。
池の南側の道沿いには、様々な花色のユリが植えられています。
池に飛び出るようにして建つ東屋。
下足を脱いで座敷に上がることができ、池を眺めながらリラックスできます。
南入口に近い、斜面状になった黄色いアジアンティック系のユリの花畑。
ユリの品種は早咲きのイエローダイヤモンド。例年6月上旬ごろに見ごろを迎えますが、年により差異があるので公式サイトやSNSなどで開花状況を確認しましょう。
非常に見ごたえのある景色で、可睡ゆりの園を代表する見所のひとつといえます。
6月下旬ごろになるとピンクのユリが混じりはじめ、6月上旬ごろの黄色一色の花色のころとはまた違った景色が楽しめます。
東側にあるユリの花畑から、平坦なあじさいの花畑側の道と、斜面になった尾根の遊歩道に園路が分岐しますが、ここではいったんあじさいの花畑方面に向かいます。
広々とした平地や斜面にアジサイが植えられています。写真の通りアジサイは花色も株数も多く、かなりの量感です。見頃は6月中旬から7月初旬。
斜面の奥側は薄青紫や青のアジサイが多いです。
この周辺は、樹林の下にアジサイが咲いているので自然な雰囲気。
アジサイに囲まれた初転法輪座像があります。
また、あじさいの花畑内には屋根のある休憩所もあってのんびりできます。
先ほど池の対面から見た滝が、池に架けられたデッキ状の道から近くで眺められます。
また、滝周辺の斜面にもアジサイが多く見応えがあります。
樹林下の谷間のような斜面に、様々な花色のオリエンタル系のユリが植えられています。
広々とした斜面に、様々な花色のアジアンティック系のユリが植えられています。
こちらは見上げるような目線となっており、背景の樹木や空と一体になった景色が楽しめます。
ここから出口のある正面入口付近に戻りますが、出口を出ずに通り過ぎて、再び東側のユリの花畑の分岐に戻り、今度は尾根の遊歩道側に進みましょう。
最初はやや急な上りですが、じきに高低差の少ない尾根道になります。
斜面のアジサイを見下ろす景色は花色も多く華やかです。
適度に植えられた高木もポイントになっており、木陰を好むアジサイの性質とも合っています。
爽やかな、薄青紫のアジサイが多いエリアを見下ろす景色も見所です。
尾根の道は足に優しい土の道で森林浴気分で歩けます。その分やや足場が悪いので、悪天候時などは無理に歩かない方が良いかもしれません。
尾根道の途中には、可睡斎とアジサイを同時に眺められる展望台もあります。
上から見下ろしたオリエンタル系のユリの花畑。
あじさいの花畑同様、適度に存在する高木がよいアクセントになっています。
尾根道からは池や東屋を一望できる場所があります。
展望できる場所は、本道からそれた枝道にあるので見逃さないようにしましょう。
先ほどは見上げた景色ですが、今度は見下ろした景色が眺められます。
周囲が開けて広々として、まるで高原のユリ園のような雰囲気が味わえます。
また、隣接する可睡斎の建物群がよい借景となっています。
様々なサイズや品種のユリが多数販売されている直売所。
気に入った花があれば求めてみるのもよいでしょう。
園内には気軽に軽飲食が楽しめる売店や、池の景色を眺めながら食事ができる食事処などがあり立ち寄ってみるとよいでしょう。
ユリの根のてんぷらはじゃがいものような食感で美味しく、一度は味わってみたいです。
可睡ゆりの園の紹介はここで終わりですが、余裕があれば隣接する可睡斎に向かいましょう。
出口から出て、参拝者近道を辿れば徒歩5分もかかりません。
可睡ゆりの園に隣接する、立派な佇まいの歴史のある寺院。
季節により様々な行事や催し物が行われていますが、ユリの季節は風鈴まつりとなります。有名なひなまつりや、ボタンの花が咲くぼたんまつりは、可睡ゆりの園の開園期間とは合いません。
1300年の歴史を持つ、秋葉三尺坊大権現様の御真躰を祀る火防の総本山。
園内には他にも山門など立派な建物がいくつかあります。
拝観志納金が必要ですが、諸堂内を見学することもできます。
僧堂(坐禅堂)や日本庭園、昭和12年建造の水洗トイレ、書院造風の建物の瑞龍閣など様々な文化遺産を拝観できるので、一度は入ってみることをおすすめします。
可睡ゆりの園が開園している時期の行事は「遠州三山風鈴まつり」となっています。
色彩豊かな風鈴は、風が吹くと涼しげな音色を響かせてくれます。
場所
静岡県袋井市久能2990-1
交通手段
■公共交通機関
JR「袋井」駅から遠州森町方面バス「可睡斎入口」下車、徒歩5分。
(逆ルートで、天竜浜名湖鉄道の「遠州森」や「戸綿」駅からもバスの便があり)
■車
東名高速道路「袋井IC」から約10分。
新東名高速道路「森掛川IC」から約20分。
駐車場あり(有料)。臨時や民間駐車場もあり。
入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.yurien.jp/
庭園デザイン:★★★★
高低差のある敷地に、様々な種類のユリやアジサイが見られます。上部からは広がりのある景色を、下部からは量感のある景色を見ることができます。暖地の平野にあるユリ園でこのような変化のある景色を観賞できる施設は貴重だと思います。
一方で、滝のある池側などの庭園エリア部分にはユリやアジサイがあまり咲いていません。また、花畑もユリおよびアジサイの群植のみとなっています。そのため、デザインされた庭園というよりも、花畑の花の量感を楽しむ施設となっています。
植物充実度:★★★★
早咲きから遅咲きまで様々な種類のユリが見られます。他にはアジサイも充実しています。
ユリの開花シーズン以外は閉園している通り、それ以外の花は多くありませんが、園内は樹木が多く雰囲気が良いです。植物の管理状態は良好。
娯楽度:★★★★
アジアンティック系の最盛期や、アジサイの最盛期は量感のある美しい景色が楽しめ、花に興味が薄い方でも楽しめると思います。開園初期や、6月末以降の遅咲き系の最盛期は落ち着いた印象で、花が好きな方がゆっくり散策するのに向いています。
園内には食事処や売店があり飲食も楽しめます。席数が多いため気軽に入れるのは嬉しいです。
周辺観光でいえば、ここでも軽く紹介している隣接する可睡斎がおすすめです。
また、少し遠いですが、ハナショウブやアジサイの花期が合う加茂荘花鳥園もおすすめ。
混雑度:★★★★
ユリの開花最盛期はかなり混雑します。一方で、園路が広めな上、ユリやアジサイの花畑内は立ち入り禁止区域が多く、人の多さの割にはわずらわしいと思うことが少ないです。
園内は広めで、オープンスペースも多いので混雑時でもゆっくりできる場所はあります。
交通の便:★★★★
公共交通機関の場合、最寄の袋井駅からある程度の本数でバスがあり、バス停から歩いて数分なので良い評価。
車の場合、駐車場は臨時や民間も含め台数が多いです。なお、利便性のよい南入口の駐車料金は高めとなっています。周辺の道は広く、運転の際の問題は少なめ。ただ、正面駐車場側の可睡斎周辺の道は歩行者が多いのでスピードを抑えるようにしましょう。
総合満足度:★★★★
敷地の高低差を生かした量感のあるユリ園。様々な種類のユリが、様々な環境で咲いている姿が見られます。日当たりを好むアジアンティック系のユリは開けた場所に、木陰のような環境を好むオリエンタル系のユリは樹林下に植えるなど、性質に合わせた植栽も高評価。近年植栽数が増えたアジサイも数や種類が多く、ユリの開花期に同時に楽しめるのも良いところです。
また、斜面部分が多いこともあり、花畑の大部分を立ち入り禁止にしているのも、人を入れずに花と風景だけの写真を撮りたい自分としては個人的にありがたいです。
一方で、基本的には花の量感を楽しむ施設となっており、デザインされた庭園的な部分は少ないです。
遠方から訪れる場合のお勧めの季節
6月上旬〜中旬ごろ(アジアンティック系のユリ)
6月中旬〜下旬ごろ(アジサイ)
6月中旬〜7月初旬ごろ(オリエンタル系のユリ)