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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

足立美術館の庭園

足立美術館は島根県安来市にある、横山大観をはじめとした日本画家の作品を主に鑑賞できる美術館。その美術館の建物と並行するような形で、いくつかの日本庭園を観賞できます。創設者の足立全康氏の「庭園もまた一幅の絵画である」という言葉の通り、室内のガラス窓や建物の一角から庭園を眺めることが主な観賞式庭園になっています。
このページでは、足立美術館の庭園部分に焦点を当てて主要な見どころを紹介します。

苔庭

苔庭
苔庭
美術館内に入ってまず見えてくる苔を主体とした庭。白砂と苔の美しいコントラストと、まるで斜面に生えているように様々な角度で植栽されたマツが見どころです。

渓流と環翠庵

渓流と環翠庵
苔庭の奥には石橋のある渓流が見えます。渓流のさらに奥には環翠庵(かんすいあん)という茶室があります。遠目からでも美しく管理されていることが分かりますが、残念ながら近づいて見ることはできません。

枯山水庭1

枯山水庭
美術館主庭の枯山水庭。水を用いず白砂や石、樹木で構成されています。伝統的な手法に基づきながらも、現代風に作庭されているとのことで、どことなくモダンな雰囲気があります。

枯山水庭2

枯山水庭パノラマ写真
ロビーから見たパノラマ写真。クリックすると拡大します。

枯山水庭観賞用のロビー

枯山水庭観賞用のロビー
枯山水庭観賞用のロビーから見る庭は、厚いガラス越しのため少し青みがかります。
ソファーに腰かけてゆっくり観賞が可能です。

枯山水庭3

枯山水庭
手前の白砂が大河を表す近景。岩や苔、樹木が川の景色を表す中景。奥にある山々が遠景になっています。一般的な枯山水庭園のこじんまりした印象とは異なり、スケールの大きな庭園になっています。

生の額絵

生の額絵
1枚の大きなガラス窓から見る日本庭園。それを絵画に見立てています。なお、こちらのガラスは透明度が高く青みがあまりありません。
暗い樹木の幹越しの、起伏のある美しい芝生と白砂が見どころです。

白砂青松庭

白砂青松庭

横山大観の名画「白砂青松(はくさせいしょう)」のイメージを表現するべく造られた庭。大観の絵を見ると、奥側の白砂と松が点在する部分がまさにそれです。
一方、庭園には奥に滝がある池や、遠景の山々があり、風景の広がりをさらに強調しています。

亀鶴の滝

亀鶴の滝
開館8周年を記念して造られた高さ15mの亀鶴(きかく)の滝。横山大観作の「那智乃瀧」をイメージして造られたそうです。白砂青松庭から見たとき、収まりがよいような場所にあります。
ここから流れた水は環翠庵前の渓流になります。

池庭

池庭
池のそばに建てられた洋風の美術館の喫茶室と、池の奥の和風の茶室(清風)に挟まれた庭。そのため和洋折衷の庭になっているとのことです。池には美しい錦鯉が見られます。

生の掛軸

生の掛軸
床の間の一角をくりぬいて見える景色が、まるで掛軸のようです。
池庭側から建物越しに白砂青松庭を観賞する形になっています。

生の衝立


生の掛軸の隣にある、生の衝立。
枠が横に広がって滝や灯籠とのバランスが良いです。インスタグラムのような正方形の画面に使いたい写真はこちらを狙ったほうが良いかもしれません。

実際は人がいないことは少ない

多くの人が写りこむ生の衝立
生の掛軸や衝立の奥は白砂青松庭を観賞するポイントともなっており、人が滞留していることが多く、運がよくないと人がいない絵画的な景色を見ることは難しいです。

茶室 寿楽庵

茶室 寿楽庵
庭園を眺めながら抹茶が楽しめる椅子席の茶室。
有料ですが、ゆっくりと茶室専用となる双幅の生の掛軸を観賞できます。

喫茶室

喫茶室 大観喫茶室 翆
庭園を眺めながら軽飲食や昼食が楽しめる2つの喫茶室。
少しお高めの美術館価格ではありますが、優雅な雰囲気を味わってみるのもよいと思います。

足立全康氏の銅像

足立全康氏の銅像と苔庭
横山大観をはじめとする多くの絵画や美術品を集めた美術館、そして世界一と称されることがある日本庭園。出身地である安来で、これほどの施設を設立維持できるのは、創設者の足立全康氏の美術や庭造りへの情熱が大きかったことを示しています。

施設の概要

場所
島根県安来市古川町320

交通手段
■公共交通機関
JR山陰本線「安来」駅から無料シャトルバスで約20分。
■車
山陰自動車道「安来IC」から約10分。
駐車場あり(無料)

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.adachi-museum.or.jp/

My impression

庭園デザイン★★★★★
日本屈指の規模を誇る観賞式庭園。回遊式庭園のように庭園内を散策できる部分がほとんどなく、京都の庭園に多い建物から見ることを主とする庭園になっています。ただ、京都の寺社などの枯山水庭とは比べ物にならない、スケール感の大きい庭園でその印象はかなり異なります。
一方で、スケール感に負けない繊細な手入れがされていることは驚嘆に値します。

植物充実度★★★★
マツやツツジをはじめとした刈り込み物と、美しいコケや芝生が大きな見所。紅葉する樹木や花木もありますがメインといえる存在ではありません。
植物の管理状態は非常に良好です。

娯楽度★★★★★
美しく剪定された樹木や下草、コケが見所のため、季節等にとらわれず、いつ観賞してもよいのは大きな魅力です。あえて見頃を探すならツツジや紅葉の季節ですが無理に合わせなくてもよいでしょう。
ただ、冬はコケや芝生が色あせているので外した方がよいかもしれません。
美術館とセットで鑑賞と観賞が楽しめるのも良い点。滞在時間は十分に確保しましょう。

混雑度★★★★
観光客や団体客などで常に混雑しやすいです。一方で、季節に関係なく平均化されており紅葉時や大型連休を外せば酷く混雑するということも少ないです。
館内は広いですが、オープンスペースは少な目。ただ、観賞式庭園のため歩き回ることが少なく、庭園部分への人の立ち入りもないので、混雑によるストレスは少なめです。

交通の便★★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩ける距離ではありませんが、特急が停車する安来駅から送迎バスがかなりの頻度であるため非常に良好です。送迎バスは小型バスなので、GWや紅葉時の土日祝などの混雑期は早めにバス停に並んでおくとよいでしょう。
車の場合、幹線道路沿いに立地し、しかも非常に広い駐車場があるため同じく良好です。

総合満足度★★★★
非常に美しい庭園ではあるものの、ほぼ一方向から見る観賞式庭園。それを良しとするか否かで、庭園に対する評価も大きく変化するでしょう。個人的には回遊式庭園に魅力を感じることと、回遊式庭園の管理の大変さを考慮し、世間の一般的な評価よりも少し厳しいものになっています。
あくまで美術館であり入場料はやや高価で、庭園のみ観賞の設定もありません。そのため、庭園だけでなく美術品もゆっくり楽しむつもりでいきましょう。観賞および鑑賞時間には十分な余裕が欲しいです。2時間ぐらいが目安になります。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
周年(マツ類)
晩春〜初夏(新緑、ツツジ)
初夏〜秋(コケ)
晩秋(紅葉)

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