2024年10月中旬の某日(平日)に筑波実験植物園のきのこ展を見に行きました。
その時の記録と感想です。
きのこ展は毎年秋に行われている人気のイベントとなっています。
筑波実験植物園のイベントといえば、個人的に水草水槽が好きということもあり、夏に開かれる水草展が好きで何度も訪れているのですが、きのこ展は初訪問となります。
今までは、植物と菌類では興味の方向性が異なるから…と考えておりましたが、訪れてみるとキノコも興味深く面白いなと感じさせられました!
今回は、つくばエクスプレスのつくば駅からバスに乗車し、天久保二丁目バス停で下車して正門まで歩くルートを利用しました。
以前は、関東でありながらつくば周辺のバスは交通系ICカードが使えませんでしたが、近年は交通系ICカードに対応してくれたため非常に便利になっています。
平日のためか、この日は特に混雑はなく、駐車場も余裕がありました。
きのこ展会期中(例年10月中旬ごろ)は無休で開かれますが、会期はそれほど長くありません。
なお、きのこ博士による「植物園で今日見られるきのこツアー」が開催されるのは会期中の土日祝の各1回のみとなるので注意。
つくば周辺や全国各地から集めた野生のキノコや、身近な栽培キノコの展示が行われていました。
展示されているキノコは写真撮影はもちろん、触っても、匂いをかいでもOKです。持ち帰ったり雑に扱ったりしてはダメなのは当然ですが、触ってもよい展示はキノコを理解するうえで有難いですね。
ちなみに、写真中央の大きなキノコ(ニオウシメジ)を持ったパネルの人物は、きのこ博士の保坂健太郎博士。
なお、通常は多目的温室(現在工事関係で閉鎖中)で展示されているとのことで、今年はやや縮小した展示となっているとのことです。ただ、狭めな多目的温室内よりも屋外の方が見やすいような気がするので、個人的には屋外も悪くないのかなと思います。
管理上は大変だと思いますが…。
キノコといえば食用か?毒キノコか?がやはり気になるということで、しっかりと分かりやすくマークが付けられています。形や色が怪しいキノコにも食用のマークがついていたりと、先人たちのチャレンジ精神には驚きますね。
気になったキノコは実際に触ったり、匂いを嗅いでみました。
まずはサンコタケ(三鈷茸)。写真のコメントにもありますが、いや、ほんとに臭い…。それも受け付けない臭さで、少なくとも食べてみたいとは思いませんね。
次はオニフスベ。手と比べると、とても大きなキノコであることが分かると思います。
触ると柔らかくて気持ちいい。スポンジのようです。
写真ではよく見えないですが、指で押すと胞子が出てきます。
展示のキノコは興味深いのですが、やはり「自然に生えている瑞々しいキノコが見たい」ということで、植物園で生えているキノコを探してみることにしました。平日ということもあり、前述のきのこツアーはないため自力で探すことに。植物観察で鍛えた嗅覚を使って、探索開始!
なお、最初は屋外展示の近くにあった写真の「ただいま生えているきのこ」のマップを頼りにしてみたのですが、見頃が短いキノコとあって、マップの通りに見つからないことが多かったです…。
シダ園付近で見つけた、かわいいキノコ。いぼがあるのでタマゴタケではないようですが…。
なお、園芸植物とは異なり、キノコの同定には全く自信がないのであしからず。
こちらもシダ園付近で見かけたキノコ。コロコロしていて可愛らしい。
美味しそうな見た目で食べられそうなキノコですが…素人判断は良くないですね。
もちろん、園内の動植物の採取は禁止されているので収穫はできませんが。
うーん、やはり一度は園内ツアーに参加してみるべきかも。
見るからにキノコっぽい大きなキノコ。マントカラタケというそうです。
こちらは常緑広葉樹林エリアのいたるところに生えていました。
中には傘から菌糸?が飛び出て、アフロ頭のようになったようなものもあります。
普段は意識していないからかもしれませんが、探してみると様々な環境で様々なキノコがみられることが分かりました。姿も形も変化があって楽しいです。
ただ、やはり名前が分からないのはもどかしいですね…。
君はキノコかな?キノコ…だよね?冷温帯落葉広葉樹林エリアで見かけたキノコ。
おそらくオニフクベだと思うのですが、確証は持てず。
漫然と探しつつも、タマゴタケだけはどこかにいないかと探していたのですが…。
ありました!しかも、まるでスポットライトにあたるかのように木漏れ日に照らされて。
やはり、このフォルムや色は目立ちますね。
タマゴタケは冷温帯落葉広葉樹林エリアでみられます。
キノコそのものを見つけるのも楽しいのですが、筑波実験植物園はキノコが生える環境そのものにも気を配っているのが嬉しいです。
倒木の割れ目から生えるキノコが、自然の営みを感じさせてくれます。
今回の個人的ベストショット。
コケや着生植物のついた切り株から生えるキノコ。よい雰囲気です。
研修展示室の屋内展示も充実していました。
地上にあるキノコっぽい姿(子実体・しじつたい)はキノコの一部でしかなく、キノコの一生のほとんどは菌糸や胞子の姿で過ごすのだそう。また、子実体は大量の菌糸が集まった姿で、その子実体が作られるのは、子実体から胞子を出して仲間を増やすためだそうです。
キノコのことは知っているようで、知らないのも同然だったようです。少しづつ理解を深めていきたいと思いました。
個人的に、秋の山野に出かけたくない理由ナンバーワンの存在。それがスズメバチ。
自然の色濃い筑波実験植物園では秋にスズメバチが多くみられます。1枚目の写真はクヌギの樹液に集まるオオスズメバチ。エサに集まるスズメバチは刺激を与えたりしなければ大丈夫なのは分かっているのですが、写真2枚目のこの見た目と、大きな羽音には怯えざるを得ないです。
危ない場所には看板もあるので、気を付けて観賞しましょう。
教育棟のミュージアムショップで筑波実験植物園編著の本を購入。
入園料が安いですし、イベント代のつもりで、お礼的な意味も込めて。
もちろん、中身は大変興味深いもので、学術的な研究や実験を行うことはもちろん、そこから得たものを広く社会に還元していくという姿勢に強く共感を受けました。
なお、私は閉園間際でしっかりチェックできなかったのですが、教育棟内ではきのこ書籍やグッズの販売もしているので、興味のある方は時間に余裕をもって覗いてみるとよいでしょう。
昼前頃に訪れたから4時間近く園内にいたことになります。よい運動にもなりました。
運営・管理されている方たちに感謝しつつ、筑波実験植物園のきのこ展の紹介を終わりとします。
帰りは正門から出て、同じルートで帰路に。
バス車内は筑波大学の学生さんで大入り満員でした。
様々な植物を公開している筑波実験植物園の詳しい紹介は下記からどうぞ。
筑波実験植物園