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花と緑のエッセイ

花と緑のエッセイ

DIC川村記念美術館の紅葉

2024年11月末の某日(平日)にDIC川村記念美術館の紅葉を見に行きました。
その時の記録と感想です。

ご存じの方も多いと思いますが、大変残念なことに、DIC川村記念美術館は2025年3月下旬から休館することが決まっています。

私も以前から何度も訪問しているお気に入りの施設で、美術館鑑賞だけでなく、レストランや茶室での飲食、ミュージアムショップでのお土産購入、さらには優待目的で運営母体であるDIC株式会社の株式を取得したりして、個人の範囲でできる限りの応援をしていましたが…。

ほんとに残念としか言いようがありません。
せめて、休館までに何度か訪れようと思っております。

アクセスについて

今回は、京成電鉄の京成佐倉駅から無料送迎バスに乗車するルートを利用しました。
途中のJR佐倉駅からも乗車できますが、休館発表から乗車する方が激増し、土日祝は積み残しまで発生する事態となり、平日ですが保険も兼ねて始発の京成佐倉駅から乗ることにしました。
また、利用したことはありませんが、東京駅から往復1本のみ高速バスの便があります(有料)。

なお、休館前の混雑につき、無料送迎バスが増便されています。
大変ありがたいですね。
(本当は休館発表以前にこの活況があれば良かったのですが…。)
各バスの時刻表については公式サイトでご確認ください。

京成佐倉駅での送迎バスの様子

京成佐倉駅での送迎バスの様子
京成佐倉駅の南口から歩いて1分ぐらいの所に送迎バスの停留所があります。写真店が目印です。
この日は平日の昼間でしたが、すでに十数人が並んでいました。午前中に美術館を訪れて降車してくる方々も多数います。
バスのサイズは送迎バスとしては比較的大きいですが、それでも立席はできず、乗車数に制限があるので満杯で乗れないという事態になることもあります。

JR佐倉駅で乗車を待つ人たち

JR佐倉駅で乗車を待つ人たち
バスの車内から見た、JR佐倉駅で送迎バスを待つ人たち。
京成佐倉駅の時点でもかなりの乗車数でしたが、東京方面からの訪問に便利なJR佐倉駅からは、京成佐倉駅よりもやや多いくらいの人が送迎バスを待っていました。
今回は、補助席も使ってなんとか待っていた人全員が乗車できましたが、土日祝になればさらに厳しいことが想像できます。
なるべく京成佐倉駅を利用し、バスの発車時間よりも少し早く駅に着くことを心がけたいです。

駐車場の様子


バスの車内から見た、DIC川村記念美術館の駐車場の様子。
平日にもかかわらずかなり混雑しています。
私も自家用車で何度も訪れたことがありますが、ツツジ山公開日以外でここまで混雑している駐車場を見たことはありません。
土日祝ならば早めに到着することをおすすめしたいです。

美術館前の紅葉

美術館前の紅葉
特徴的な建物の美術館と、周辺の紅葉。
この日は天気も良く、紅葉も見頃で美しい景色が楽しめました。
バス組に自家用車組も合わさり、美術館に向かう人で賑やかです。

美術館前の池の紅葉

美術館前の池の紅葉
美術館前の広場からは、のびやかな池のある庭園の景色を観賞できます。
こちらの紅葉も色づきが最高潮で美しかったです。

この後は、美術館で美術鑑賞。
美術館内は撮影禁止のため、写真はないですが、モネやルノワール、レンブラント、ロコスルームなどの常設展示はもちろん、西川勝人氏の特別展示も興味深かったです。

館内は賑わってはいましたが、それでも都内にある美術館のような混雑感はなく、ゆっくり落ち着いて個々の作品を鑑賞できます。
なお、作品解説ガイドの定員はすぐ一杯になってしまいます。スマホで作品解説(常設展示のみ)が聞けるアプリもあるので利用してみると良いでしょう。

個人的に千葉県は芸術関連施設が不遇と感じていて、その中にあって民間のDIC川村記念美術館とホキ美術館の2つは千葉県が誇れる素晴らしい施設と感じていたのですが、その1つが無くなってしまうことに大きな損失を感じてしまいました。

モミジのトンネル

モミジのトンネル
美術鑑賞の後は、上品な雰囲気の庭園を散策。DIC川村記念美術館の大きな魅力のひとつです。
池を回り込むような園路の途中にはモミジのトンネルがあり、太陽の光に照らされてとても美しかったです。やはり、逆光で見る紅葉は何物にも代えがたい魅力がありますね。

藤棚から見る紅葉と美術館

藤棚から見る紅葉と美術館
藤棚とベンチのある休憩広場からは、紅葉と池越しの美術館が眺められます。
見栄えの良い場所で、カメラマンも多数いました。

黄色の紅葉も

黄色の紅葉
DIC川村記念美術館の庭園の魅力は、樹木の多さにもあります。
モミジの赤い紅葉だけでなく、黄色の雑木の紅葉にも注目したいです。

スイレンのある池

スイレンのある池
モネの有名な絵画のモチーフであるスイレンにちなんだ池。初夏から秋にはスイレンが咲きますが、この時期はさすがに花は咲いていません。その代わり周辺の紅葉が美しいです。
池にいる白い鳥は、庭園のアイドル的な存在のコブハクチョウ。

コブハクチョウ

コブハクチョウ
庭園内で繁殖しているというコブハクチョウ。
そういえば、休館後はこの2羽もどうなるのでしょうか?
庭園の処遇次第かと思いますが、休館後のビジョンについても気になりますね。

テラスと、芝生広場

テラス
芝生広場
自販機で引き立てのコーヒーが飲めるテラスと、その前に広がる芝生広場。
庭園散策に疲れたとき、気軽に立ち寄れる施設となっています。
美術館内に茶室、庭園内にレストランもあるのですが、休館発表後はいずれも予約で一杯になることが多く、ふらっと立ち寄るのは難しいんですよね。

自然散策路から見た紅葉

自然散策路から見た紅葉
ゆっくり散策しつつ、芝生広場でランチを食べたり、テラスでコーヒーを飲んだりしていたら、すっかり暗くなってきました。
自然散策路を歩きならがら、振り返った紅葉の景色。

閉館が近い美術館の夕日

閉館が近い美術館の夕日
今回のベストショット。
あれほど賑わっていた美術館前の広場も静かになり、夕日に照らされた美術館と紅葉が印象的な風景を作り出していました。
おそらくもう二度と見れないと景色だと思うと、ある種の感傷が自然と湧いてきてしまいました…。

「資本効率」という旗印のもと、縮小されていく文化事業への個人的なやるせなさ。
一方で、CSR(企業の社会的責任)の一環としての意義があるとはいえ「公益法人のような事業を一民間企業に求めるのか」という意見も分かります。

休館発表前の閑散とした美術館を知っているから、単に「存続してほしい」とは言いづらいです。
残念な気持ちとともに、個人で出来ることの限界のもどかしさを感じずにはいられません。

昼頃に訪れてから4時間近く美術館や庭園内にいたことになります。
運営・管理されている方たちに感謝しつつ、DIC川村記念美術館の紅葉の紹介を終わりとします。

帰りは最終の美術館発の送迎バスで帰路に。
乗客は十数人とあまり多くなかったですが、皆言葉少なで、私と同様に感傷に浸っているように見えました。

…ところがこの後、あまりの道路渋滞で駅到着が倍以上に伸びるという、千葉県名物の渋滞の洗礼を浴びることに。すっかり感傷に浸っていた気分は冷めてしまい、なんだか締まらない結果に。
送迎バスの運転手さんもお疲れさまでした。。。

残念ながらもうすぐ休館してしまう、素晴らしい芸術作品と、美しい庭園のある美術館の詳しい紹介は下記からどうぞ。
DIC川村記念美術館

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