本文へスキップ

植物栽培に知っておきたいガーデニングの資料集

一歩進んだ花と緑の育て方

VS病害虫(害虫編)

生き物である以上、どんな植物にも病害虫が発生します。本当は薬剤を使わないで事前に病害虫を予防したいところですが、都会では、その植物が好む環境を十分に与えられない場合もあります。さらに植物の好む環境に植えたとしても病害虫が発生しやすい植物もあります。

そんなとき困らないように病害虫が発生した場合の対処法を知っておきましょう。ただ、私は病害虫に深い興味はないので、こちらでは紹介程度です。より詳しい薬剤などについての説明は薬剤会社のホームページをどうぞ。

植物によってかかりやすい病害虫はまちまちです。なので、その病害虫にかかりやすいとされる植物名を列記しました。私自身が経験したものも載せています。太字は特によく発生するものです。
自分にとって興味があるのは、どの植物(品種)がどの病害虫にかかりやすいか?ということです。

は枯死や腐敗など重大な結果になることがあるものです。
は触ったりすると人体に被害のあるものです。

※画像をクリックすると拡大しますが、苦手な方はリンクを開くのはやめた方がよいかも。

害虫のタイプ

小さな虫型

アブラムシ(吸汁型)

アブラムシ
発生時期 4〜11月
発生場所 主に新芽や茎
被害 新芽が縮れる、生長が鈍くなるなど
被害植物 ほとんどの植物。
特に、キク科、バラ科、アオイ科、カエデ類
私の経験 カキ、ボケ、ムクゲ、ハイビスカス、モミジ類、バラ、キク科、ユリ科、ホテイアオイなど多数
対策 予防と駆除措置としてオルトラン粒剤を根元に撒くのが手軽。すぐに駆除したいならスミチオン乳剤、オルトラン水和剤などの薬剤を散布する。薬は効きやすい

吸汁型の害虫としてポピュラーなもので、あらゆる植物に発生します。
植物によって種類が異なる場合が多いですが、被害その他はほとんど変わりません。新芽や花茎につくことがほとんど。発生頻度が高いものの、薬剤は効きやすく駆除しやすいといえるでしょう。よほど発見が遅れない限り枯れることはなく、樹木では放っておかれることもあります。ただし、モザイク病などを媒介したり、その他の病気を誘発することもあるので駆除するに越したことはありません。
黒や白っぽいものはわかりやすいですが、緑色のものは遠めではわかりづらいです。

コナジラミ(吸汁型)

発生時期 4〜11月(加温してる場合は一年中)
発生場所 主に新芽の葉裏
被害 新芽や葉が縮れる、生長が鈍くなるなど
被害植物 多くの植物に発生
温室内も危険で、すぐ広がってしまいます
私の経験 キク科、トレニア、サルビアなど
対策 オルトラン水和剤などの薬剤を散布するか、予防と駆除措置としてオルトラン粒剤を根元に撒く。一度発生すると根絶が難しいので、薬剤は長期間効果が続くものを選択する

葉を揺らしたときに白っぽいものが飛び回るようでしたら発生を疑いましょう。
薬剤が卵に効きづらく、何回かに分けて薬剤を撒かなくてはなりません。卵が生きていると、少したって卵から孵化したら、また発生してしまうのでとても厄介な害虫です。

アザミウマ(スリップス)(吸汁型?)

発生時期 主に7〜9月
発生場所 葉、花、実
被害 葉に斑点ができる、葉や花が縮れる、花が咲かなくなる、生長が鈍くなるなど
被害植物 主にキク科の花、アジサイの葉に被害が多い。
花につくものは花弁が長いものが好みのようです。
野菜類も被害にあいやすいようです。
ブトウ、ミカン、イチジク、カキなどの果樹の被害もあるようです
私の経験 私の経験ではまだ特別に悩まされたものはありません
対策 オルトラン水和剤などの薬剤を散布するか、予防措置としてオルトラン粒剤を根元に撒く

多くの植物に発生します。高温乾燥時の真夏に被害が出ます。
葉や花の汁を吸った跡(正確には違うようです)が斑点状に残るので、早めに対処しないと葉や花が汚らしくなります。ただし、枯死にいたることはまれです。

グンバイムシ(吸汁型)

発生時期 6〜9月
発生場所 主に葉裏
被害 葉が白っぽくなる、生長が鈍くなるなど
被害植物 ツツジ、サツキ。
他にもナシなどの果実に発生する種類があります
私の経験 ツツジ、サツキ、アザレア、ボケ
対策 スミチオン乳剤、カルホス乳剤など。必ず葉裏に薬剤を散布する

ツツジに多発するツツジグンバイが園芸ではポピュラーです。
葉が白くなってから被害に気がつく場合が多いですが、そうなってからでは駆除は難しいし、葉の白い跡は消えることはありません。完全に防ぐためには6月終わりごろから定期的に薬剤を撒く必要があります。葉裏に発生するため、薬剤が効きづらく厄介な害虫です。
この害虫の直接的な被害のみで枯死することは少ないですが、定期的な薬剤散布をしないと高確率で発生してしまうため、この被害がイヤで株を抜いてしまう人も多いかもしれません。
ハダニに被害が似ていますが、グンバイムシは葉裏に黒い斑点ができるので区別できます。

ハダニ(吸汁型)

ハダニ
発生時期 4〜10月(加温してる場合は一年中)
発生場所 主に葉裏
被害 葉が水分が抜けたように縮れたり白くなる。
生長が鈍くなるなど
被害植物 ほとんどの植物。
アジサイやツツジ、バラ以外の樹木の発生は少ない
私の経験 ツツジ、バラ、マリーゴールド、シクラメン、インパチエンス、インカルビレア、室内観葉など。
雨の当たらない場所にある株に多く発生するようです
対策 ケルセン乳剤、モレスタンなど。必ず葉裏に薬剤を散布する。
デンプンを使った窒息させるタイプのものも効果があります

花や野菜類、アジサイやツツジ、バラなどのほとんどの植物に発生します。
赤い色をしたナミハダニが有名ですが、他にも色々います。
葉が元気なく葉色が悪いときは発生を確かめましょう。発生頻度が高く、専用の薬剤を使う必要があるのでかなり厄介な害虫です。また、同じ薬剤ばかり使うと抵抗力をもつので2種類以上の薬剤を交互に使いたいです。葉裏に水をかけることで予防になりますが、実際に行うのは難しいです。

ハモグリバエ、ガ(食葉型)

ハモグリバエ・ガ
発生時期 4〜10月
発生場所
被害 葉の中を食い、跡が白い筋状に残る
被害植物 ほとんどの草花。
樹木の被害は少なめ
私の経験 クリサンセマムパルドーサム、マリーゴ−ルド、ガーベラなどのキク科、ムラサキハナナなどのアブラナ科、エダマメなどのマメ科などに多発。リナリアなど他にも数多くの花につきます。比較的柔らかい葉のクレマチスなど樹木にもつきます
対策 予防としてオルトラン粒剤を撒く。
数えられる程度なら指で潰す。
多すぎて無理ならオルトラン水和剤などの浸透性薬剤を使う

キク科、アブラナ科、マメ科の植物に多発します。
葉に白い筋状の食い後が残るためすぐわかります。葉の中には小さな幼虫が隠れています。幼虫は葉の中にいるので駆除が難しく、成虫は飛んでくるため予防も難しい厄介な害虫です。
この害だけで枯れてしまうことは少ないのですが食い跡が気持ち悪く、実害以上に印象が悪いです。

イモムシ、ケムシ型

イモムシ、アオムシ(食葉型)

発生時期 4〜11月
発生場所 主に葉や葉裏、枝など
被害 葉や花が食われる。ひどい場合は枯死する
被害植物 花、樹木問わず、多くの植物に発生。
特に、ミカン科、クチナシ、アブラナ科、アオイ科など
私の経験 アオイ科、アブラナ科、ミカン科全般、アカンサス、アスチルベ、コムラサキ、プリペット、スミレ、チドリソウ、ホウセンカ、オリーブ、シモツケ、ハスなど
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤を使用する

蝶や蛾の幼虫で、多くの植物に発生します。
クチナシに出るオオスカシバや、スミレのツマグロヒョウモンなどのように、食べるものが決まっている種類が多いです。ただ、多くの種が近縁の植物も食害します。
イモムシやアオムシは比較的見つけやすく駆除もしやすいですが、その分大きいので幼虫は食べる量が半端ではないので早めに駆除すること。黒いふんを見かけたら要注意。

ドクガ類(食葉型)

ドクガ
発生時期 5〜6、8〜9月の2回発生
発生場所 主に葉や葉裏、枝など
被害 葉や花が食われる。ひどい場合は枯死する
被害植物 サクラ、ウメなど落葉樹に多い。
拡散期には草花類にもつく
私の経験 ウメ、被害樹木の近くの下草や草花類
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤を使用する

サクラやウメなどに発生する毒毛を持つケムシで、厄介な害虫です。
成長が遅く樹木の被害は他のイモムシ類に比べてやや少なめです。ただし、拡散期には一部が草花類につきかなりの被害を受けます。
刺されると痛みのあと長期間痒みが続きます。
一方、毒々しく見えても毒の少ないケムシも多くいます(下記の「毒の少ないケムシ」欄参照)

チャドクガ(食葉型)

発生時期 5〜6、8〜9月の2回発生
発生場所 主に葉や葉裏、枝など
被害 葉が食われる
被害植物 ツバキ科植物全般。
特に常緑のツバキ、サザンカ、チャノキ
私の経験 ツバキ、サザンカ、ヒメシャラ
ツバキとサザンカの発生率は高いです。同じツバキ科でもナツツバキやヒメシャラの発生率はかなり少なめですが、頻度が少ないだけで発生することに変わりありません
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤を使用する。
固まりのうちに枝葉を切って焼却するという方法も紹介されますが、一般家庭の庭では行うのは難しいと思います

ツバキ、サザンカ、チャノキなどに頻発し、まれにヒメシャラやナツツバキにも発生します。
弱齢幼虫のころは葉の表皮のみを食べるので、葉が白い網目状になり目立つので被害がわかります。終令幼虫のころになると分散して葉を食い荒らします。ただ、ツバキ科の樹木は丈夫なのでチャドクガのみの被害で枯死することはまれです。
食害の被害もさることながら、毒毛による人的被害が問題です。刺されたときはチクリ程度ですがやがて長期間にわたって痛痒さが続きます。幼虫はもちろん成虫や死骸、抜け殻にも毒があるので絶対に触らないこと。できれば固まって暮らす弱齢幼虫のうちにまとめて駆除したいです。
実際のところ、チャドクガの発生が嫌になり樹木を抜いてしまう人も多いでしょう。

イラガ(食葉型)

イラガ
発生時期 5〜10月
発生場所
被害 葉を食われる
被害植物 針葉樹にはつかないようだが、かなりの雑食性をもつ。
カキ、サザンカ、ツバキ、サクラ、ウメ、クリ、アンズ、ケヤキ、カエデ類、ヤナギ類、クルミ、ザクロなどによく出るそうです
私の経験 カキ、ツバキ、ニシキギ、ハクモクレン、オトコヨウゾメなど
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤など。薬剤は効きやすい。
冬に樹幹や根際を調べて繭をつぶす

かなり多くの樹木を食害する性質の悪い害虫です。通常のイラガ以外にも、クロシタアオイラガ、ヒメクロイラガなど色々います。姿は似ていますが、体の模様は様々です。食害はかなりのもので発生率も高いのですが、薬剤が効きやすいので助かります。樹木の状態にもよりますが、成木の被害で枯死にいたることはまれです。冬になると被害樹木の樹幹や根際などに繭が見られます。
刺されるとかなりの痛みを伴う毒虫です。ただ、ドクガ系に比べると短期間で治りやすいらしい。まだイラガに刺された経験がないのでなんとも言えませんが…。

マツカレハ (食葉型)

マツカレハ
発生時期 5〜10月
発生場所
被害 葉を食われる
被害植物 アカマツに多く、クロマツやヒマラヤシーダーにも発生します
私の経験 アカマツ
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤など。薬剤は効きやすい

マツ科の代表的な害虫。銀色の鈍い光沢のあるケムシです。
マツ類は高木になるので駆除が難しく厄介です。わらなどでコモを巻いて越冬幼虫を誘い出し焼き殺す方法がよく行われますが素人には難しく、庭師さんにやってもらうべきでしょう。
刺されると痛みを伴い、その後長期間にわたって嫌な痒みが続きます。

毒の少ないケムシ(食葉型)

発生時期 4〜11月
発生場所 主に葉や葉裏、枝など
被害 葉が食われる。ひどい場合は枯死する
被害植物 オビカレハ:ウメ、サクラ、モモ、カシ類など。
マイマイガ:サクラ、ウメ、クヌギなど多数。
アメリカシロヒトリ(写真):サクラ、ハナミズキなど多数。
モンクロシャチホコ:サクラなどバラ科の植物。
拡散期には下草を食べることもまれにあるようです
私の経験 ハナミズキ(アメリカシロヒトリ)
被害樹木の近くの下草や草花類
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤を使用する

毒々しい姿でも毒の少ないケムシもいます。写真のアメリカシロヒトリもいかにも毒がありそうですが、人体にあまり害はありません。とはいえ、植物に対する食害は共通なので対策をしましょう。
いずれも大発生することもあり厄介。特にマイマイガはその大発生がよくニュースになるほど。
幼虫がまだ小さいうちは固まって行動しているので早いうちの駆除が大切。アメリカシロヒトリは初期にクモの巣状の巣をつくります。
※かぶれやすかったり、肌の弱い人などは害があることもあるので注意。

(チュウレンジ)ハバチの幼虫(食葉型)

ハバチ
発生時期 主に春と秋の2回発生
発生場所 葉、枝
被害 葉が食われる。枯が枯れる
被害植物 多くの樹木や果樹。
園芸では特にバラとツツジに多い
私の経験 バラ、ツツジ
対策 スミチオン乳剤、マラソン乳剤など

園芸ではバラにつくチュウレンジハバチ、ツツジ科につくルリチュウレンジハバチが有名です。
羽虫が茎に卵を産みつけ、孵化した幼虫たちが葉を食害します。発生数も多く被害は大きい。
産卵した茎がヘナっと倒れてしまうこともあり、バラ栽培ではかなり厄介な害虫です。
卵を産み付けられた茎は切り取るしかありません。

ヨトウムシ(食葉型)

ヨトウムシ
発生時期 主に初夏と秋の2回発生
発生場所 昼、株元の土。夜、葉や葉裏、茎
被害 葉が食われる。ひどい場合は枯死する
被害植物 樹木以外の植物全般。
特に、アブラナ科、キク科など
私の経験 キク科、ナデシコ科、キンポウゲ科、クリスマスローズなど
対策 土をいじって捕殺。
夜間にスミチオン乳剤、オルトラン水和剤など。
予防はオルトラン粒剤を使えばよいが、すでに大きくなっている場合は効きにくい

草花や野菜に多く発生します。漢字で書くと「夜盗虫」で、昼間は土の中などに隠れていますが、夜に出てきて葉などを食う性質の悪い虫です。
体が大きく、その分被害も大きいです。昼間なにもいないようだけど葉や花が食い荒らされていて、しかも白い筋が回りにないときは発生を疑いましょう。

コガネムシ、ハムシの幼虫(食根、葉型)

発生時期 3〜11月
発生場所 主に土の中。葉や葉裏、枝など
被害 根や葉が食われる。ひどい場合は枯死する
被害植物 植物全般。
特にアオイ科、ナス科、アブラナ科、バラ科。
樹木ではサンゴジュなどカマズミ属に多いです
私の経験 樹木(ナツツバキ)、コニファー類
対策 鉢植えの場合は、植え替えて捕殺。
カルホス粉剤、ダイアジノン粒剤、カルホス乳剤などを撒く。
発生が頻繁な場合には春に予防的に撒いておきます。
葉の上にいるものはオルトラン水和剤など

コガネムシやハムシの幼虫で、イモムシ(?)。土の中に潜んでおりカブトムシの幼虫を小さくしたよう姿をしたものが多いですが、一部サンゴジュハムシのように葉の上で食害するものもあります。
根を食べるため被害が深刻になりやすく、樹木でも枯れることがあります。特に中〜大鉢植えの樹木は要注意。土の中にいるので駆除は粉、粒剤を混ぜ込んで行います。

ミノムシ(食葉型)

発生時期 春と秋の2回発生
発生場所 葉、枝
被害 葉や枝が食われる。枯死することも
被害植物 樹木全般。
ほとんどの樹木で被害がありますが、落葉樹に多いようです
私の経験 ハナミズキ、イヌツゲ
対策 届く範囲なら捕殺する。
発生が多い場合はスミチオン乳剤を撒く

葉や木の枝などをかぶった姿はユーモラスですが、中にはイモムシがひそんでいます。
大発生するうえ、食欲旺盛なので、苗の場合は枯死することもあり意外と侮れません。ミノをかぶっているので薬剤が当たりづらいのも厄介です。

シャクトリムシ(食葉型)

シャクトリムシ
発生時期 初夏から秋
発生場所 葉、枝
被害 葉や枝が食われる。枯死することも
被害植物 植物全般
果樹やマメ類に多い
私の経験 インパチエンス、バラ、キク類などで雑食性が強い
対策 届く範囲なら捕殺する。スミチオン乳剤を撒く

雑食性で多くの植物に発生します。前足と後足を交互に動かして前に進む様はおもしろいのですが、害虫としてみたときはかなり手ごわい相手。大きな体と強い雑食性とともに、枝に擬態するため見つけにくいというのもあるからです。

ハマキムシ、メイガ(食葉型)

発生時期 春と秋の2回発生
発生場所 葉、枝
被害 葉や枝が食われる。葉を巻かれる
被害植物 植物全般。
特に、果樹(ナシ、カキ)、アオイ科などに多い。
メイガ類は、ツゲ類、クリ、モモなど
私の経験 アオイ科、クサツゲなど、ほぼ全般。樹木に発生が多い
対策 届く範囲なら捕殺する。
オルトラン水和剤など浸透性の薬剤を使用する。
新芽の刈り込みを行う。

ハマキムシは多くの植物に発生します。メイガはツゲノメイガのように特定のものにつきやすい。
姿はイモムシで、いずれも葉を巻いたり、折ったり、くっつけたりして身を守っています。
薬剤が当たりづらく駆除が難しい害虫ですが被害はそれほどでもありません。ただ、新芽付近の目立つ場所に被害を出すため実害以上に印象は悪いです。
捕殺できないほど被害が多い場合は、株全体を刈り込んでしまった方が駆除しやすいです。

コウモリガの幼虫

発生時期 年1〜2回程度
発生場所 樹幹や枝、茎の内部
被害 内部を食い荒らす。枯死する危険がある
被害植物 植物全般
私の経験 アメリカフヨウ
対策 食い入った穴にスミチオン乳剤、マラソン乳剤などを注入する。その後、ガーゼなどに薬剤を染み込ませたもので穴を塞ぐ。
長いノズルつき殺虫剤もいいかも。
草本類の場合は枯れてから被害に気づく場合も多いです

成虫は蛾の一種で、樹幹や茎に産卵し幼虫がその内部を食い荒らします。
内側にいるため見つけにくいのですが、加害部から出る糞によって発見します。
雑食で、樹木や草本類など幅広く食害するので注意が必要です。
似たような種類として、コスカシバ、ボクトウガも広葉樹、針葉樹に幅広く発生します。

カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)

発生時期 年1回程度
発生場所 樹幹や枝の内部
被害 幹内部を食い荒らす。枯死する危険がある
被害植物 植物全般。
特にナシ、リンゴ、イチジク、ビワ、クリなどの果樹類や、シラカンバ、サクラ、モモ、ウメ、カシ類、クヌギ、カエデ、バラ、エゴノキなどの花木や樹木類
私の経験 カエデ、ニセアカシア、ハナミズキ、エゴノキ、シマトネリコなど様々な樹木。常緑樹よりも落葉樹の被害が多め
対策 食い入った穴にスミチオン乳剤、マラソン乳剤などを注入する。その後、ガーゼなどに薬剤を染み込ませたもので穴を塞ぐ。
長いノズルつき殺虫剤もいいかも。
実際には、切らないでの捕殺は難しい場合も多いようです

甲虫のカミキリムシ類はコマダラカミキリなどいくつか種類があります。花や葉など再生しやすい部分ではなく幹の内部を食うため、枯死する可能性が高く非常に厄介な害虫です。
成虫が樹幹に産卵し、食害する幼虫は頭部の目立つイモムシの姿をしています。
樹の内部にいるため見つけにくいのですが、侵入した穴から出る木屑などによって発見します。
特に、成虫の暮らす森が近い所は注意が必要です。

カイガラムシ

カイガラムシ(吸汁型)

カイガラムシ
発生時期 4〜11月(加温してる場合は一年中)
発生場所 幹、枝
被害 生長が鈍くなる、すす病を誘発するなど
被害植物 樹木だけでなく、ほとんどの植物につきます。
特にカキ、ボタン、バラ、ナシ、マサキ、ツバキ科、ツツジ科、室内植物など
私の経験 カキ、イヌツゲ、ゲッケイジュ、ソヨゴ、ギンバイカ、キンシバイ、ニワナナカマド、ロシアンオリーブなど多くの樹木と、枝が木質化するサルビアなどの草花類。
植え付け直後や、風通しの悪い場所は要注意
対策 こそげるようにして捕殺。
成虫にはマシン油乳剤。
幼虫にはスミチオン乳剤、カルホス乳剤、オルトラン水和剤など

種類の多い害虫で、それだけに多くの樹や一部の草花に発生します。成虫は殻を被ったような格好をしてほとんど動きません。殻のせいで成虫時は薬剤が効きにくくなるので、春〜初夏にかけての幼虫時に退治します。成虫にも効く強めの薬剤もあります。この場合は薬害を減らすために、なるべく植物の成長期をはずして散布したいところです。
すす病を併発するのも厄介で、葉や枝が黒く汚れます。見た目的にも問題になりやすい。
なお、観葉植物でよく被害のあるコナカイガラムシ(白い体)は、よく動き回ります。

甲虫、羽虫型

コガネムシの成虫(食葉型)

コガネムシ
発生時期 主に初夏から夏
発生場所 葉、花
被害 葉や花が網目状に食われる
被害植物 植物全般。
私の経験 アメリカリョウブなど
対策 殺虫剤など。
一般的な農薬は効き目が薄く、収穫目的であれば捕殺する

野菜に多く発生しますが草花や一部樹木も食害します。葉脈を残して葉を食害します。ただ、被害としては幼虫の方が深刻になるケースが多いようです。
かなり食欲旺盛なので見つけ次第駆除しますが、飛んでくるため完全な防除は難しいです。体が大きいため見つけることは簡単に思えますが、緑色をしている種類が多いため、被害植物が大きい場合は意外と気づかないケースもあります。
一般的な草花や樹木には発生頻度が高くないのが救いですが、被害を受ける植物もあります。
普通に販売されている農薬は効き目が薄いです。収穫目的であれば捕殺するほかなく、広範囲に発生した場合は厄介なことになります。

ハムシの成虫(食葉型)

ハムシ
発生時期 主に初夏から夏
発生場所 葉、花
被害 葉や花が細かく網目状に食われる
被害植物 植物全般。
特に、アブラナ科、ナス科などの野菜類
私の経験 キク類やアオイ類、チトニア、サポナリアなど
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤など

野菜に多く発生しますが草花も食害します。網目状あるいは葉脈を残して食害するため、食べ後も気持ち悪いです。ただし、被害としては幼虫の方が深刻になるケースが多いようです。
かなり食欲旺盛なので見つけ次第駆除しますが、飛んでくるため完全な防除は難しいです。
一般的な草花や樹木には発生頻度が高くないのが救いですが、被害を受ける植物もあります。

ハキリバチ(食葉型)

発生時期 初夏以降
発生場所
被害 葉が丸く切られる
被害植物 植物全般。
雑食のようですが、好むものはあるようです
私の経験 バラ科に多い。他にもハナズオウやカキ、クロモジなどの落葉樹で、柔らかく大きめの切り取りやすい葉を好むようです。ギボウシなどの新芽を食うこともあります
対策 スミチオン乳剤など。完全な防除は難しい

主にバラや、柔らかくて広めの葉の植物に発生します。
葉がいつのまにか丸く切られてしまいますが、この被害で枯れることはまれです。
切ったら、巣にもっていってしまうため防除が難しい害虫です。仕方ないと割り切るのが一番。あまりにも多発する場合は、葉に農薬をまいておきましょう。

アオバハゴロモ(吸汁型)

発生時期 初夏から秋
発生場所 葉や葉裏、枝
被害 樹勢が衰える。白い分泌物が残る
被害植物 植物全般。
高木にはあまり発生しない
私の経験 あまり見かけません。
以前は、アジサイによく見ました
対策 スミチオン乳剤、オルトラン水和剤など

樹木や花木、農作物など多くの植物で発生します。
この被害で枯れることまれですが、白い分泌物を出すのが問題です。
姿は害虫の中では許せるタイプです。

カメムシ(吸汁型)

カメムシ
発生時期 初夏から秋
発生場所 花や果実
被害 生育が悪くなる。作物がしぼむ
被害植物 主に花や果実類
私の経験 アサガオ、ハナタバコ、トウガラシ、スイートサルタンなど
対策 スミチオン乳剤など。
農薬はやや効きにくく、収穫目的でなければ殺虫剤利用も考慮

野菜や果実類、一部の草花に多く発生します。長い口を茎や果物に挿して吸汁しますが、葉や茎を食べる種類もいます。花や樹木の害はやや少なめで農業や家庭菜園で問題になります。
悪臭を放ち、手や衣類についたりするとなかなか消えません。

バッタ類(食葉型)

バッタ
発生時期 初夏以降
発生場所
被害 葉が食われる
被害植物 樹木以外の植物全般
私の経験 アスター、ヒマワリ、アニスヒソップ、フジバカマ、アサリナ、サルビアなどで、かなりの雑食です
対策 スミチオン乳剤、マラソン乳剤など。
薬剤が効きづらく完全な駆除は難しいです。飛び跳ねるため捕殺も難しい

草花や野菜に発生します。食欲旺盛で非常に厄介な虫です。
農業では大害虫ですが、都会の庭では他の虫ほど困ることはありません。
畑や、自然に近い場所の庭では一部の草花も大きな被害を受けます。

ナメクジ、その他

ナメクジ(食葉型)

ナメクジ
発生時期 3〜10月(春と梅雨〜夏に多発)
発生場所 葉、花
被害 葉や花が食われる。苗の場合は枯死することも
被害植物 植物全般
特に、ナス科、アブラナ科、ランの花など
私の経験 ビオラ、パンジー、バーベナ、シバザクラ、ペチュニア、アジュガ、ベルフラワーなど多数
対策 鉢や石の裏を見て捕殺。夜間に食害しているところを捕殺。
予防として、暗く湿っているような隠れやすい場所を作らない。
直接手を下したくなければ殺虫効果のある誘引剤を使うか、寄せ付けない効果を持つものを植物の周りに撒く。
誘引にビールが効くとされるが、ビール自体に駆除効果はない

多くの植物に発生しますが、植物の好き嫌いがあるようです。
昼間は鉢の下などに隠れていますが、主に夜間這い出て新芽などを食べ、這った跡に白い筋がつきます。梅雨前後に多発するので、被害がひどいようなら事前に誘引剤を置いておきましょう。

カタツムリ(食葉型)

カタツムリ
発生時期 4〜10月(梅雨〜夏に多発)
発生場所 葉、花
被害 葉や花が食われる。苗の場合は枯死することも
被害植物 植物全般
特に、ナス科、アブラナ科、ランの花など
私の経験 植物全般
ウスカワマイマイはナツユキカヅラ
対策 ナメクジと同じですが、鉢や石の下などにはいないようです

ナメクジと被害はほぼ同じですが、イメージ的にはだいぶ違います。
ユーモラスな姿もそうですが、殻の部分を手でつまめるというのが大きいかもしれません。
ただし、ウスカワマイマイのように大きな被害を与えるものもあります。

ダンゴムシ(食根、葉型)

ダンゴムシ
発生時期 4〜11月
発生場所 鉢の下、石の下など
被害 根や新芽が食われる
被害植物 植物全般の根や新芽
私の経験 半日陰の鉢の下。置石の下など
対策 基本的には放っておきます。
捕殺。誘引剤を撒くなど

触ると丸くなるおなじみの虫です。鉢下などに集団でいることが多いです。
雑食性で、根や新芽を食うため害虫扱いになりますが、どちらかといえば腐葉土など枯れた葉が好みのような気もします。積極的に駆除する必要はないかもしれません。

センチュウ

発生時期 3〜10月
発生場所
被害 根に侵入して、株を衰えさせる
被害植物 植物全般
マツなど深刻な被害を受ける樹種もある
私の経験 私は経験したことがありません(気づいていないだけかも)
対策 土に混ぜるタイプの薬剤があります

多くの植物に発生するようです。微生物の一種で、根にコブを作ったり腐らせたりします。
野菜などを中心に深刻な被害を与えるようですが、まだ発生したことはありません。
マツ枯れの原因であるマツノザイセンチュウが有名です。これはカミキリムシが媒介します。

実害の少ない虫

ワラジムシ

ワラジムシ
発生時期 4〜11月
発生場所 鉢の下、石の下など
対策 その都度、捕殺すればよいが神経質になる必要もない

ダンゴムシとは違い、触っても丸くなりません。
鉢を上げたりすると、下からわらわらと出てくるので不快に思う人も多いでしょう。
でも、普段は植物に悪さをするわけではなく、枯葉などを食べています。

アリ

アリ
発生時期 4〜11月
発生場所 様々
対策 アブラムシやカイガラムシを退治する。
花壇の周囲にアリの虫よけ剤を撒くなど

アリ自体は植物を害しません。ただ、茎や葉にアリが多数たかっているときは、アブラムシやカイガラムシが近くにいる可能性が高いです。
なお、アリとアブラムシやカイガラムシは共生関係にあります。アリはアブラムシやカイガラムシを外敵(テントウムシなど)から守る代わりに、甘露というアブラムシやカイガラムシから分泌する汁をもらい受けています。