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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

根津美術館

表参道の華やかな通りから少し歩いたところにある美術館。本館の裏手には自然の傾斜を利用した日本庭園が広がります。各季節に見所がありますが、特にカキツバタや紅葉の時期は美しいです。

庭園マップ(クリックすると大きくなります)

根津美術館マップ
園内は元々、私邸の庭ということもあって枝道が多く入り組んでいます。階段が多いですが傾斜路のみの経路もあります。順路は特にないので、ここでは根津美術館八景の順番で主な見所を紹介します。

月の石舟と、玄関に向かう通路


正門から入ると左にあるのが月の石舟。灯籠を月光に、石舟を三日月になぞらえています。
本館の脇に伸びる玄関に向かう通路は和風の美術館らしい佇まい。ちなみに、美術館本館と後述のNEZUCAFE(カフェ)は隈研吾氏の設計によるものです。

庭園口


美術館本館の玄関の向かい側に庭園への入口があります。庭園のみの利用はできません。美術館の美術品を観賞してから庭園へ行くか、あるいは逆か。興味のある方を選択するとよいでしょう。
入口からは、池に向かって下り坂を進んでいきます。

弘仁亭の燕子花(こうにんていのかきつばた)

弘仁亭の燕子花
根津美術館のカキツバタ
茶室の弘仁亭のそばの池にカキツバタが咲きます。見頃は4月末頃で、それに合わせて美術館では国宝の尾形光琳筆「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」が公開されます。
新緑の中で咲くカキツバタが優美な雰囲気をかもし出します。

東熊野


一番奥の流れを、和歌山県熊野にある那智の滝に例えて名付けられた水の流れ。
筧(かけひ)をたどると沢のような流れが見られます。

薬師堂の竹林、天神の飛梅祠


車も通れそうなアスファルト舗装の周囲を巡る広い道には、竹林が美しい薬師堂や、菅原道真に関わる祠があります。

披錦斎の紅葉(ひきんさいのもみじ)

披錦斎の紅葉
根津美術館の新緑
披錦斎と併設の一樹庵という茶室の周辺には、モミジが多く植えられています。
紅葉はもちろん、新緑のころのカキツバタとの共演も大きな見所です。

吹上の井筒(いづつ)

春の吹上の井筒
紅葉の吹上の井筒
池の中にある井筒からこんこんと地下水が湧き出ています。周囲の池の景色も見所。
新緑から夏の時期と、秋の紅葉の時期の景色の変化にも注目です。

園内の景色

根津美術館の庭園風景
根津美術館の庭園風景
八景以外にも、日本庭園らしい落ち着いた繊細な景色が見られるのが魅力です。

斑鳩庵(いかるがあん)

斑鳩庵
いくつかある茶室ですが、茶室周囲の庭園も含め普段は利用申し込みが必要で、一般の入場者は入れません。ただ、季節により一般開放が行われることもあるので確認するとよいでしょう。
通常の散策路には見られない細かな意匠が楽しめます。

カフェ(NEZUCAFE)


園内の景色を見ながら飲み物や軽食を楽しめるガラス張りの建物。そのガラスに緑が反射して、庭園からはカフェの存在があまり目立たないように配慮されています。

園内の様々な道


狭いながらも雰囲気のよい道のほか、広い石畳の道やアスファルトの道があります。これらの道は車椅子(要介護者)も通れる道になっています。雰囲気を壊さない程度にバリアフリー化する努力もしているといった印象で好感が持てます。

施設の概要

場所
東京都港区南青山6−5−1

交通手段
■公共交通機関
メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線「表参道」駅より下記。
・A5出口(階段のみ)徒歩8分。
・B4出口(エレベーターあり)徒歩10分。
・B3出口(エレベーターとエスカレーターあり)徒歩10分。
■車
※駐車場はありますが、駐車台数が少ない。公共交通機関利用を推奨。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.nezu-muse.or.jp/

My impression

庭園デザイン★★★★★
自然の傾斜を生かし茶室や池、水の流れ、樹木、灯籠などを配しています。蹲踞や茶室、所々にある石像や石塔、それらにつく苔など、日本庭園らしい景色も印象的。
個人の庭園だったためか、ダイナミックさよりも繊細さを重視した、きめ細かい落ち着いた印象の意匠やデザインも好ましいです。

植物充実度★★★
モミジやツツジなど日本庭園によく見られる植栽が多いです。カキツバタや新緑、紅葉の時期が一番の見頃の時期になりますが、庭園自体も美しく、いつ訪れても楽しめると思います。ただ、美しいコケを観賞したいなら冬は避けたほうがよいでしょう。
植物の管理状態は非常に良好です。

娯楽度★★★★★
カキツバタや紅葉の最盛期は、庭園や花に興味が薄い方と一緒でも楽しめると思います。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
美術館本館やお洒落なカフェと一緒に楽しめるほか、南青山という立地柄、表参道など訪れたい場所がいくらでも見つかるでしょう。美術館をはしごするなら国立新美術館も1駅隣で近いです。

混雑度★★★★★
カキツバタの開花最盛期は展示品のことも合わせ非常に混雑します。紅葉の時期も混雑しがちです。施設内はやや広いものの、オープンスペースは多くありません。カキツバタの季節にゆっくり観賞したいなら朝方や平日に訪問するなど工夫しましょう。
それ以外の季節もイベント時などに混雑することがあります。

交通の便★★★★
公共交通機関利用の場合、山手線内側の利便性のよい場所ながら最寄り駅からは多少歩きます。また、途中の経路も歩道が狭めで歩きにくいためこの評価。
車の場合、専用の駐車場はありますが、駐車台数は少ないです。特別な事情がなければ公共交通機関利用を推奨します。

総合満足度★★★★★
自然の傾斜を生かした美術館付属の日本庭園。表参道から少し離れた程度の賑やかな場所にありますが、それを感じさせない落ち着いた雰囲気が魅力です。広さも十分にあるため充実度もあります。
「繊細な日本庭園らしい景色」を見たいなら大名庭園よりも相応しい施設かもしれません。

備考:入館料に庭園観賞のみの設定がありません。庭園をゆったりと落ち着いた気分で観賞するためには仕方ないことなのかもしれません。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
初夏(カキツバタ、新緑)
初夏〜秋(コケ)
初冬(紅葉)

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