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花の名所・ガーデン・植物園訪問記

花の名所・ガーデン・植物園訪問記

小石川植物園

正式名称は「東京大学大学院理学系研究科附属植物園」。東京大学の附属植物園であり、それを一般公開しているという形をとっているため、学術色の濃い昔ながらの植物園の雰囲気を味わえます。
1684年に徳川幕府によって設けられた小石川御薬園を基とし、赤ひげ先生で有名な小石川養生所や、青木昆陽のサツマイモ試作栽培の場としても知られています。

園内の地図(クリックすると拡大します)

小石川植物園マップ
南北で高低差があり、温室やサクラ林のある方が敷地が高く、日本庭園や池のある方が低くなっています。本館やロックガーデン等、一部立ち入りできない場所もあります。
とくに順路はありませんが、ここでは正門から反時計回りで主な見どころを紹介します。

正門付近

正門
質素な雰囲気の正門。通常の出入口はここ1箇所です。

本館と、柴田記念館

本館柴田記念館
研究に利用されている本館は非公開。
柴田記念館は植物や植物園にまつわる展示を行っているほか、植物園に関係するグッズ等を販売しています。

公開温室

公開温室公開温室内部
2019年に再建された、熱帯や亜熱帯地域の植物を栽培している温室。研究や教育が主な目的のため、一般的な植物園の温室に比べると展示はシンプルな印象があります。一方で、一つひとつの植物を観察しやすい良さがあります。
別棟として、高山植物など暑さに弱い植物のための冷温室もあります。

イロハモミジ並木

イロハモミジ並木
公開温室の前はイロハモミジの並木になっており、最盛期は紅葉のトンネルのようになります。
都内のため紅葉の最盛期は12月以降と遅めです。

ソメイヨシノ林

ソメイヨシノ林
春に咲くサクラはソメイヨシノ中心。樹の下は芝生になっているので、シートを敷いてくつろいでいる人が多数います。開花最盛期は非常に混雑するので注意。

分類標本園と、薬園保存園

分類標本園薬園保存園
研究施設ならではの展示。
写真1枚目の分類保存園は植物の分類体系に従って配列されています。
写真2枚目の薬園保存苑は徳川幕府の薬園だったことにちなんでおり、様々な薬用植物が植えられています。

園内は立派な樹木が多い

立派なクスノキ
写真は園中央付近にある大きなクスノキ。園内の樹木は樹高や幹回りがどっしりとして大きく立派なものが多いです。歴史ある植物園の風格が感じられます。

スズカケノキ

スズカケノキ
様々な巨木がある中で個人的な注目はスズカケノキ各種。写真は明治9年に導入された、日本で一番古いスズカケノキのひとつとされているもので、立派な姿です。

イチョウ

イチョウ
園内にはイチョウが多く植えられています。写真は日本庭園の奥にある立派なイチョウ。
小石川植物園は当時植物園に勤務していた平瀬作五郎によってイチョウに精子があることが発見された場であり、園のシンボル的な樹木となっています。

旧東京医学校本館(総合研究博物館小石川分館)

旧東京医学校本館(総合研究博物館小石川分館)
日本庭園の池の反対側に建つ洋館。重要文化財の建物は旧東京医学校本館で、別名は「総合研究博物館小石川分館」。内部では建築に関する展示を行っています。一度館内に入ると植物園側に再入場できないため、園内散策後に立ち寄るとよいでしょう。
※2023年12月現在、耐震改修のため臨時休館中となっています。

日本庭園

日本庭園
島や石橋、刈り込み物の樹木のある比較的大きめの日本庭園。池の水は湧水のためとても綺麗で好ましいです。

ウメ林

ウメ林
日本庭園の池周辺にあるウメ林は比較的種類や本数が多く、サクラほどではありませんが見ごたえがあります。

メタセコイア林

メタセコイア林
南側の池に沿って樹木が植えられています。カツラ、ラクウショウ、ハンノキ、シダレヤナギなど比較的湿った場所を好む樹木が多いです。中でも写真のメタセコイアの林は特に見事です。

季節の花

サクラとレンギョウツバキ
ハギヒガンバナ
園内の花は花木が中心。下草として草花も植えられていますが数は少なめ。そのため、春から初夏の季節が一番花が多くなります。一方、様々な種類の植物が植えられているので、植物愛好家であれば真冬以外なら様々な発見があると思います。

ショクダイオオコンニャクの花

ショクダイオオコンニャクの花
硬派な植物園らしく珍しい植物の育成にも力を入れているようです。
写真は2023年12月に開花したショクダイオオコンニャク。2m越えの非常に立派な株となりました。

播磨坂のサクラ並木

播磨坂のサクラ並木
茗荷谷駅から歩く途中で播磨坂を通りますが、ここには有名なサクラ並木があります。サクラが咲く時期なら行きか帰りに寄ってみるとよいでしょう。
土日祝で混雑しそうであれば、朝方なら静かに楽しめると思います。

施設の概要

場所
東京都文京区白山3-7-1

交通手段
■公共交通機関
都営地下鉄三田線「白山」駅より徒歩10分。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅より徒歩15分。
都営バス(上60)「白山2丁目」下車、徒歩3分。
※専用の駐車場はありません。
■車
※専用駐車場なし

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/

My impression

庭園デザイン★★
日本庭園は池も大きく立派ですが、他の部分は研究・教育目的が主ということもあり利便性が求められているためか、デザインはあまり考慮されていません。その分、園内の縦横に歩道がありオープンスペースも多めなので公園的な開放感があります。

植物充実度★★★★
歴史ある植物園らしく樹木は巨木が多くて非常に充実しています。観賞が楽しめる花木も種類が多めで春から初夏は楽しめます。全体的にはやや地味な植物が多いですが、植物愛好家なら満足度は高いと思います。植物の管理状態は良好です。

娯楽度★★★
サクラや紅葉の最盛期は美しい景色が観賞でき、誰にでも勧められます。特にサクラの季節はお花見する人も多く、飲酒が禁止されているので落ち着いたお花見が楽しめます。
それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。

混雑度★★★
サクラや紅葉の最盛期は混雑しますが、施設はやや広く、オープンスペースも多めなのでゆっくりできる場所はあります。ただ、巨木や植生等、純粋に植物をゆっくり観察したいなら、これらの季節は外して訪れるとよいでしょう。

交通の便★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から歩けるため悪くありませんが、山手線内としては最寄駅から少し離れた場所にあるのでこの評価。バスの便もありますが本数は少ないです。
車の場合、専用の駐車場はなく、公式ウェブページで車での利用は遠慮してほしい旨がアナウンスされており、公共交通機関の利用を推奨します。難しい場合はタクシーを利用するのが良いでしょう。

総合満足度★★★★
一見堅苦しい印象がありますが、公園的な要素も強い親しみやすい施設。芝生や園路、日本庭園も開放感があり散策が楽しいです。一方で、全体的に展示内容は硬派で植物愛好家の期待も裏切りません。草花も多少咲いていますが、花木や大きな樹木たちが一番の見所になります。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(ソメイヨシノ)
春〜初夏(花木、巨木)
晩秋(紅葉、巨木)

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