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庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

浜離宮恩賜庭園

東京都中央区にある特別名勝・特別史跡の日本庭園。珍しい潮入りの池がある徳川将軍家の庭園で、江戸時代は「浜御殿」と呼ばれていました。明治維新の際に皇室所有となり、のちに東京都に移管され現在に至ります。戦災や震災により多くの遺構が失われましたが、再建や復元された施設も多いです。
芝生や花畑など広々とした場所が多い、開放感のある庭園となっています。

園内地図(クリックすると拡大します)

浜離宮恩賜庭園マップ
江戸城の出城としての役割もあったためか、庭園周囲は堀のようになっており、築地川にかかる橋を渡って入口に入ります。正面入口といえるのは大手門ですが、もう一つ別の入口である中の御門からも入園できます。
閲覧順序は特にないですが、今回は大手門の入口から反時計回りで主な見どころを紹介します。

延遼館跡付近

延遼館跡付近
狭めの繊細な日本庭園をイメージしているとちょっと違和感がありそうな、開けたスペースが多いのがこの庭園の特徴です。全体的に芝生の部分が多く開放感があります。

潮入の池

潮入の池
柱のフジツボ
水門を調節して海水を取り入れている池。潮の干満によって景色が変わるのが大きな特徴です。岸辺もどことなく海岸をイメージしているかのようです。
柱にはフジツボがつき、ハゼやウナギなども住んでいるそうです。

復元された鷹の御茶屋と燕の御茶屋、松の御茶屋

鷹の御茶屋と燕の御茶屋
松の御茶屋
園内の建造物は関東大震災や戦災などでほとんど焼失してしまいましたが、3つの御茶屋(歴代将軍がもてなしや休憩に使った建物)は忠実に復元されています。

お手伝い橋

お手伝い橋
延長約120mある総ヒノキ造りの橋。藤棚のある小さな島を辿りながら中島に向かいます。

中島の御茶屋

中島の御茶屋
中島の御茶屋の座敷
中島に建つ、お手伝い橋を渡って入る茶屋。縁側に座ってお茶菓子などが楽しめます。また、見学するだけなら無料で入れ、座敷やデッキから池ごしの景色を楽しめます。
なお、こちらの茶屋は1983年(昭和58年)に再建されたものです。

借景のビル郡

富士見山から見る景色
御亭山から見る景色
汐留周辺に建つ巨大ビル郡や東京タワーが借景になっています。マンションよりもオフィスビルが多いのが東京都心らしいです。特に、富士見山や御亭山(おちんやま)と呼ばれる小高い丘から見る景色は眺めが良いです。

サトザクラ

サトザクラ
潮入りの池の東側の横掘周辺はサトザクラが多く、春には美しい景色が楽しめます。
ソメイヨシノよりも花期が遅く、見頃は例年4月中旬~下旬頃。

東京湾と、レインボーブリッジ

東京湾レインボーブリッジ
庭園の端から海(東京湾)が見えます。ただ、運河の中ほどにあるため目の前に開けた海が見えるというわけではなく開放感は乏しいです。
また、水門近くにある新樋の口山からはレインボーブリッジを望むことができます。

水上バス発着所と、水上バス

水上バス発着所水上バス
列車とは別のもうひとつのアクセス方法で、庭園に直結しています。浅草から観光がてらに入園することができます。
なお、2023年9月現在、浜離宮から乗船することはできません(下船のみ)。

梅林

梅林梅林とナノハナ
直線状の梅林。見頃は早春~春。時期を選べば菜の花との共演を見ることもできます。

お花畑

お花畑(ナノハナ)
お花畑(キバナコスモス)
広いお花畑に春はナノハナ、秋はキバナコスモスが咲きます。日本庭園とは思えない迫力のある光景です。近くにはボタン園もあり、こちらの見頃は4月中~下旬ごろ。

内堀と、内堀広場

内堀内堀広場
江戸時代、遠くから船で運ばれてきた物資を江戸城入れるための中継施設であった内堀。その内側には芝生の内堀広場があり、日本庭園としては非常に珍しく広場内でシートでくつろぐことができます。

三百年の松

三百年の松
六代将軍家宣が庭園を大改修した際に植えたとされているマツ。
震災や戦争で破壊され、取り壊されたものや復元されたものが多く、歴史を感じさせるものがあまりない中で、この松はとても立派です。

施設の概要

場所
東京都中央区浜離宮庭園1−1

交通手段
■公共交通機関
都営大江戸線「汐留」駅より徒歩5分。
ゆりかもめ「汐留」駅より徒歩7分。
都営大江戸線「築地市場」駅より徒歩8分。
□水上バス
東京都観光汽船 浜離宮発着場(浅草乗船からの下船のみ)。
■車
※バス及び身障者用の駐車場のみ。公共交通機関利用を推奨。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index028.html

My impression

庭園デザイン★★★★
都内にある日本庭園の中では開放感のある空間が多いのが特徴です。大面積の芝生広場や潮入の池、広々とした花畑、伸び伸びと大きく育った樹木、築山から望める景色などが楽しめます。ビルの借景も東京ならではということで評価したいと思います。
ただ、日本庭園らしい美しく繊細な意匠を目当てに行くとガッカリするかもしれません。慰安場や社交場としての利用が主だったことや、震災や戦災で無くなってしまったものが多いことが影響しているのかもしれません。

植物充実度★★★
マツなど日本庭園にお馴染みの植物が多いですが、様々な花木や草花も見られます。サトザクラは特におすすめ。また、花畑のナノハナやキバナコスモスは庭園とは思えないボリュームです。
植物の管理状態は非常に良好。

娯楽度★★★★
サトザクラや花畑、紅葉の最盛期は庭園や花に興味がない方と一緒でも楽しめると思います。それ以外の季節は派手な景色は望めず、ゆったり散策するのに向いています。
歩いていける距離に旧芝離宮恩賜庭園があるので、庭園のはしごをするのもよいでしょう。また、汐留や東京タワー、少し足を伸ばせば東京駅周辺や銀座などが近くに遊べる場所はいくらでもあります。

混雑度★★★★
花畑や紅葉の最盛期はとても混雑します。それ以外の季節も団体客が多い場合など混雑することがあります。一方で、施設内は広く、オープンスペースも多いのでゆっくりできる場所はあります。
サトザクラの季節は、園内が華やかな割には混雑度が低くお勧めの季節になります。

交通の便★★★★★
公共交通機関利用の場合、駅から近く非常に良いです。ただ、新橋駅や汐留駅からのアクセスは道順がやや分かりづらいので、初めてならば道順が単純な築地市場駅を利用するのも良いでしょう。また、水上バスの便も有り難いです。
車の場合、一般用の駐車場はなく、特別な事情がなければ公共交通機関を利用しましょう。

総合満足度★★★★
全体的に開放感が強くダイナミックな景色が楽しめる一方で、日本庭園らしい繊細さに欠ける印象があります。人によって評価が分かれる庭園といえます。初めから開放感を楽しむ庭園として訪れれば、高い評価ができる庭園といえるでしょう。散歩したり、のんびりするのには最適です。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(サトザクラ、ナノハナ)
秋(キバナコスモス)
晩秋(紅葉)

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