本文へスキップ

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

庭園・ガーデン・植物園・花の名所の訪問記

翠楽苑・南湖公園

翠楽苑(すいらくえん)は福島県白河市にある日本庭園。白川藩主の松平定信によって築造された南湖のすぐ側にあり、1995年(平成7年)に造られた比較的新しい池泉回遊式の日本庭園です。各季節に見所がありますが、特に紅葉の美しさに定評があります。
翠楽園のある南湖公園も併せて紹介します。

翠楽苑

園内地図(クリックすると大きくなります)


特に順路はないですが、ここでは入口から池を中心に時計回りで主な見どころを紹介します。

上池


園内にある一番大きな池。池の縁は優美な曲面で、周囲には滝や川が流れ込んできます。
対岸にある松楽亭(しょうらくてい)がフォーカルポイント。

小川


園内には、小川が縦横に南湖に向かう傾斜に沿って流れています。
地面との境部分には岩や、水を好む植物を配置している自然風の美しい流れです。

野点の苑


野点(のだて)とは屋外で茶を楽しむ茶会のこと。側を小川が流れる広々とした空間になっており、イベント時以外はのんびりしたムードが漂います。

秋水庵(しゅうすいあん)


茶人でもあった定信にちなんで建てられた茶室。有料の貸し出し施設で通常は中に入れませんが、紅葉の頃は建物の周囲が様々な色に染まって綺麗です。


小川を橋で渡る際に見えてくる滝。周囲はモミジが多く新緑や紅葉が美しいです。
近くには四阿があり、滝の音を聞きながら休憩できます。

湿生園



ハナショウブやハスの花が見られる庭。広い空間ではありませんが、交差する小川とそれに架かる橋が多数あり奥行きのある景観となっています。
また、背景には紅葉する樹木が多く、紅葉時も美しいです。

万葉の小路


主に山野草が植えられてる小路。春から秋にかけて様々な花が咲きます。

松楽亭(しょうらくてい)


書院造の建物。有料になりますが、内部では庭園の景色を眺めながら抹茶と和菓子を頼むことができます。上池に流れ落ちる滝の様子や、池のほとりにある整ったマツは松楽亭内部からでないとよく見えないため、一度は呈茶を頼んで内部から観賞することをお勧めします。

南湖公園

松平定信によって1801年に築造された日本最古の公園。江戸時代としては異例の、身分の差を超えた公園としての側面のほかに、飢饉による困窮への救済事業としての側面や、ため池としてなど複合的な目的がありました。
現在は池の周囲を散策しながら、自然を観賞できる風光明媚な公園となっています。

湖畔の景色


松平定信は作庭家でもあり、所々に庭園的な景観が楽しめるのが南湖公園の特徴です。公園内に17の名所(南湖17景)を定めており、見所の目安となっています。

南湖神社


日本の実業家であった渋沢栄一の援助で1922年に設立された、松平定信を祀る神社。

共楽亭


武士も庶民も共に楽しむという「士民共楽」という理念のもとに建てられた茶室。建物自体は普段は閉鎖されていますが、高台に建っており南湖の景色を見渡せます。

スイレン


花的な見どころはサクラとスイレン。特に初夏に見頃を向かえるスイレンはかなりのボリュームで見ごたえありです。他にも鳥や魚などが多く見られます。

施設の概要

場所
福島県白河市五郎窪山45−1

交通手段
■公共交通機関
JR「白河」「新白河」駅からJR関東バス「南湖公園」下車、徒歩約12分。
■車
東北自動車道「白河IC」から約15分。
東北自動車道「白河中央スマートIC」から約10分。
駐車場あり(無料)。※南湖公園の駐車場を利用。

入場料・休館日・開園時間は下記URLを参照
URL:https://shirakawa315.com/park/

My impression

庭園デザイン★★★★
作庭は新しいですが、現代的な感覚で再構築された日本庭園となっており、親しみやすい空間になっています。曲面になった池の周囲の植栽や造作、各所に流れる自然風の流れや滝が見所。

植物充実度★★★
マツやモミジなど日本庭園に多く見られる樹木が中心で、草花も一部に見られるもののボリュームはそれほどありません。一方、寒冷地のためか紅葉が美しく一見の価値があるでしょう。植物の管理状態は良好。
南湖公園のスイレンは大きな見どころで、他にも多くの植物が見られます。

娯楽度★★★★
日本庭園はオーソドックスな印象で娯楽度は高くなく、普段はのんびり散策するのに向いています。一方、紅葉の時期は美しく誰にでも勧められ、紅葉最盛期にはライトアップも行われます。
南湖公園は広々とした憩いの空間で、花や樹木のほか、鳥や生き物なども楽しめる散策が楽しい場所になっています。また、湖畔周囲には渋沢栄一ゆかりの南湖神社や、季節営業になりますが白河フラワーワールドもあります。
白河市には他にも小峰城(白河駅すぐそば)や、白河の関(車がないと行きにくい)などの史跡観光地があるのでチェックしてみると良いでしょう。

混雑度★★
基本的には混雑しませんが、紅葉の最盛期は混雑することがあります。園内はオープンスペースは多くないものの、四阿があり落ち着ける場所はあります。
南湖公園は広く、各所に広場があるため混雑時でも問題は少ないです。

交通の便★★★★
公共交通機関の場合、白河駅や新白河駅からバスの便がそこそこあり、良い評価。
車の場合、日本庭園専用の駐車場はありませんが、南湖公園の広めの駐車場を利用できます。

総合満足度★★★★
日本庭園の翠楽園は作庭が新しく、南湖公園とは異なり歴史的な重みを感じることは少ないですが、その分堅苦しくない、現代人にも親しみやすい庭園となっています。個人的な好みである自然風の小川が多く見られるのも好印象。
周囲の南湖公園も含めた環境も好ましいです。滞在時間が十分にあれば湖畔の散策が可能で、特にスイレンの時期はお勧め。ただ、湖畔の一部の道が交通量の多い車道と一緒になっているのは興ざめで、小路を設ける等の改良を願いたいところです。

遠方から訪れる場合のお勧めの季節
春(サクラ)
初夏(新緑、スイレン)
晩秋(紅葉)

戻ります