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水辺の植物を使ったミニビオトープの紹介

水辺の植物‐ミニビオトープ

ミニビオトープの作り方(池バージョン)

どうしても池を作りたい!でも、大掛かりなものは無理…という方のために防水シートによる池づくりはいかがでしょうか?
場所さえあれば、誰でもできる作業で憧れの自然風の池を作ることができます!

池を作るだけなら紹介する資材さえあればできます

池用防水シート


敷くだけで池を作れる便利なシート。これのおかげで素人の池作りがぐっと身近になりました。厚めのブルーシートなどで代用される方もいますが、池用に開発された専用のものを購入したほうが無難です。池の広さや深さによって大きさを決めます。
参考資材:プールライナー(タカショー)、ベントナイト系遮水マットなど

クッション材


防水シートの下の、池の底部分に敷く資材で、石や木の根などから防水シートを保護します。クッション性があれば専用のものでなくても構いません。
参考資材:アンダーライナー(タカショー)、フェルトやいらない布、薄い布団など

シャベルやクワなど


土を掘ったり移動したりする道具が必要です。池の幅が大きくなると掘る量も多くなるので使い勝手のよいものを選択します。土を掘るための剣先型シャベルやクワ、土をすくって移動するための角型シャベルがあると便利。小さめのものも別に用意すると周囲を掘ったり整地するときに楽です。

水平器

池のふちの水平を測るために必要です。
池づくりの場合は精密さはそれほど必要ないのですが、あまりにも小さいものだと使い勝手が悪いです。できれば30センチ以上の大きさのものを用意します。

長い棒など

水平器とセットで使い、池のふちとふちに掛け渡して水平を確認します。

池を作る場所を決めます

日当たりがよく、できれば夏の西日が当たらない所が最適です。
植物を植えない場合(主に生き物を飼う等)は日陰でも構いませんが、ミニビオトープにするためには半日以上、日差しが当たるようにするのがよいと思います(スイレン、ハナショウブなど水生植物の多くは日当たりのよい場所を好みます。)

イメージを形にしてみましょう

手書きでもよいのでイメージをスケッチします(数値はcm)


はじめに断っておきますが、数値はあくまで目安です。この大きさでなければダメというわけではありません。特に池幅部分は30cmでも10mでも構いません。とはいえ普通の人が施工・管理しやすいのは3〜4m程度まで。防水シートは意外と重いし、広ければ広いほど土を掘る量も多くなります。

ポイントは周囲の植栽部分。これがないと普通の池になってしまいます。飾り石等を周囲に置かなくても済み、自然ぽい演出をするためにも是非とも欲しいところです。
一番端の20センチ部分は押さえ兼保険とみてください。

池の深さは好みで決めてよいと思いますが、浮葉性植物(スイレンやアサザなど)を配置することを考えると最低40センチぐらいは欲しいです。また、メダカなどを入れる場合でもあまりに浅いと猫や鳥等からの逃げ場や、冬の越冬場所がなくなります。
※寒冷地の場合、土壌の凍結を考えて70cm以上必要だそうです。

このスケッチで購入する防水シートの大きさを決めます。
深さや周囲の余り部分、施工誤差も考慮し、測定よりもやや大きめなものを選びましょう。
実際には横縦分あることを忘れずに。池幅が横縦で違えば当然その分を足します。
 
上のイメージで池幅を最長部分で横2m、縦1.2mで最深部70cmと仮定した場合。
横:(20+30)×2+200+(30+20+60)=410cm以上。
縦:(20+30)×2+120+(30+20+60)=330cm以上のシートが必要です。
※深さを2倍しないのは池幅との相殺を考慮しています(傾斜1/2と仮定)

池を作ってみましょう

当たりをつけます


イメージで決めた大きさで、大まかに池の形をなぞってみましょう。
今回の例では池の形は定番のひょうたん形です。よく見る形ではありますが、雰囲気の自然さや管理のしやすさでは他の形よりも優れています。もちろん好みの問題なので凝った形にするのもいいと思いますが、シートがうまく敷けないケースもあります。

穴掘り


形を決めたらザクザクと掘っていきます。
まずは池の深い部分を掘ります(池幅部分)。最長部で幅1.2×2.0m、最深部の深さ60〜80cmくらい。かなりの土の量になるので、余った土をどうするのかについても事前に考えておくとよいでしょう。


次に周囲の植栽部分を掘っていきます。
周りを崩し過ぎないように小さめのクワを用いています。


周囲も大まかに掘り終わりました。
全幅は2.0×3.7mくらいです。手前の通路側には植栽部分はありません。
写真の場所は周囲が開けている上、砂地なので穴を掘るのはそれほど苦になりませんが、場所によってはかなりの手間になります 。あせらずゆっくり作業しましょう。

池を整形します

水平器で確認


適当に掘った穴ですが、シートをかぶせる前にきれいに整えます。
まず、池の両端で水平を測ります。長い棒を端に掛け渡して、その上に水平器を載せて調べます。それほど高い精度は必要なく、あまりにきれいに整えすぎるとむしろ人工感が強く出るので注意。

凹凸をならしておきましょう


整地後です。写真左側の縁が低かったので盛り土しています。
また、池の底部などの凸凹をきれいにならしています。

クッションとシートを穴にかぶせます

クッション材を敷きます


防水シートの前に、まずはクッション材(ここではアンダーライナー)を敷きます。これは底部の水圧のかかるところにかぶせればいいので、全面に敷く必要はありません。
(もちろん全面をカバーできれば越したことはないですが。)

防水シートを敷きます


防水シート(ここではプールライナー)を敷きます(4×5mのもの)。
一連の作業の中で、一番気を使う部分です。なるべくシワができないよう丁寧に敷きます。(四角いシートと池の形状は合わないので、ある程度シワが出ることは仕方ありません)。
専用の防水シートの良さは、防水に対する安心感という部分以外にも、意外と重いので敷いたときにシワがよりにくいというところも大きいです。


まずまず綺麗に敷けました。どうしてもシワは出てしまうので、あまり神経質にならないようにしましょう。余分なところはカッターでカットしています。

補足:オーバーフロー部分


絶対必要というわけではありませんが、雨などで水があふれた際の逃げ場となるルートを事前に作っておくと管理上楽です。ここでは用水路に流れ込むように計画していますが、一般的な庭では雨水枡やU字溝に向けて作っておくとよいでしょう。それらが近くにない場合は穴を掘って砂利を敷き詰める程度の簡易的な浸透桝を造るとよいでしょう。

土を入れます

水生植物を植栽するための土を入れます


植栽部分と底部に土を入れています。土を入れずに、鉢に植えたものを沈める方法でもよいのですが、どうしても自然感に乏しく、できれば土を入れて植栽したいところです。
(土を入れたとしても、鉢を沈める方法は可能ですから方針転換もできます。)
ただ、ツルヨシやハンゲショウ、ガマ類などランナーで増えるものは、その植物だけは土ではなく鉢に植えて沈めるほうが良いでしょう。増えすぎた部分を抜くのが非常に困難になります。

ここでは掘って余分になった土(砂質土)を入れていますが、土質が気に入らない場合は別のものを入れてもよいと思います。土の種類の特徴は以下のとおりです。

  • 粘土質土:本格的なビオトープ風・水田風になりますが、管理はやや難しい。
    (植え替え作業などで泥だらけになりやすく、植物の根もよく張るため植え替えも大変。)
  • 砂質土:植物の生育的には粘土質土に劣りますが、管理は比較的楽でおすすめです。
  • 鑑賞魚用の砂利:比較的小粒のものを使えばよいと思いますが、池が大きい場合はコスト的に非現実的です。小さい池の場合はおすすめ。植物の生育はあまり良くないです。
  • 庭用の飾り砂利:あまりおすすめしませんが、それほどビオトープ風にこだわらないのであればよいと思います。単価も安めです。植物は鉢に植えて沈める方法になります。

※シートを傷つけないように角が緩いものを選びましょう。

土を入れた後に、押さえ部分(イメージ図の一番端のところ)に土をかぶせたり石を置いてシートが動かないようにします。

とりあえず「池を作る」という作業はここで終了です。
ここからは植物を植えたり、周囲を装飾する作業になります。

植物を植え込みます


まずは半分程度まで水を入れます。
その後、水生植物を周囲の植栽部分に植えていきます。
水生植物は丈夫なものが多く、気難しいもの以外は特別気を使わなくても大丈夫です。


ハスやアサザなど池の深いところに置く浮葉植物は植え替えを考えて鉢に植えて沈めます。
穴の開いていない黒いビニールポットがカットしやすく軽いので便利です。


とりあえず今植えたいものを植え終わりました。
ハス、フトイ、オモダカ、テンジソウ、ヒメスイレンなどなど、あまり派手な花が咲くものは植えずに自然風の池を意識しています。


水が満杯になって気づいたのですが、ちょっと右側が高すぎなので調整しました。
シート池ならこの程度の調整であれば簡単にできます。

池のその後


8月の様子。植物がかなり育ってきました。
現在はアサザがよく咲いています。ハスがぜんぜん育たなかったのが誤算ですが、鉢で植えて置くだけの浮葉植物は再チャレンジも難しくありません。