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小型水槽による水草レイアウトの紹介

小型水槽水草レイアウト

トリミングについて

川や湖沼に比べれはるかに狭い水槽で水草を育てるなら、トリミング(剪定)は欠かせない作業です。トリミングはセンスの問われる部分なのでなかなか説明は難しいのですが、やり方ぐらいなら私でも解説できるかなと…。
水草の種類ごとにトリミングの方法やタイミングを書いてみました。

@有茎草

  • 主な水草:ロタラ類、ルドウィジア類、ハイグロフィラ類、パールグラス、マヤカ、ヘテランテラ、ストロギネ・レペンスなど
  • 有茎草は一部の例外を除いて成長が早いものが多く、頻繁なトリミングを必要とします。小型水槽では扱いづらいものもあるのでよく吟味してから導入します。特に前〜中景に用いる水草は成長の遅いものやトリミングに強いものを使いましょう。
  • 切り方
    伸びてきたら絵の様に節(葉の出ている所)の少し上で切ります。そうすれば枯れる部分が最小限ですみます。節が細かいもの(絵右)はどこで切っても大丈夫です。すでに節から芽が出ているものがある場合は、その上で切ると切った場所が目立ちません。
  • 切るタイミング
    水面を覆ってしまい下が暗くなってきたら切るタイミングです。ただ、ここまで引き伸ばすと下葉が枯れたり水上葉を出してしまう種類もあるため、実際にはもう少し早いタイミングで切りたい所です。後景なら大体水槽の高さの1/2〜1/3程度を切り取ります。中〜前景の場合はレイアウトのデザインに合わせて好みの高さで切ります。

A有茎草 例外その1

  • 主な水草:グロッソスティグマ、キューバパールグラス、ポゴステンモン・ヘルフェリーなど
  • 有茎草の中には小さかったり、短かったりして有茎草に見えない種類がありますが、間延びしてきた頃に見ると茎から葉が出ているのがよく分かります。トリミングの仕方は基本的に上記の@と同じ要領です。
  • 切り方
    必ず節を1〜3つ以上残して刈り込むように切ります。底床に近いところで切らなければいけないため水草専用の曲げがついたトリミングバサミでないと上手く切れないことがあります。特にグロッソは切りづらいです。狭い部分もとても切りづらい(特に向かって利き手側の水槽角)ので少し慣れが必要です。
  • 切るタイミング
    葉が折り重なって光が足りなくなり、茎が立ち上がってきてしまったら切るタイミングです。まだ下草が元気なうちに刈り込めばその後の回復も早いです。これらの水草がまだ横に広がっていないのに上に伸びる場合は、光量が不足しているので改善しましょう。

B有茎草 例外その2

  • 主な水草:ブリクサなど
  • まるで根茎水草のようにみえるタイプの有茎草。小型水槽では使い勝手がよいです。茎に葉が密生してトリミングをどうやったらいいか迷いますが、上に伸びると自然にわき芽が出てくるので、そこから上をカットすれば違和感がありません。
  • 切り方
    わき芽から少し上で株を切り離します。あるいはわき芽を欠きとってもいいです。込みあっている場合は切りづらいので一度土から抜いて、水上でトリミングしてから差し戻すのもありです。
  • 切るタイミング
    伸びすぎや茂りすぎでバランスが悪くなってきたときにトリミングします。このタイプの水草は成長が遅めなものが多く、トリミングは2〜4ヶ月に一度くらいでしょう。

※@〜B有茎草全般の補足
有茎草はトリミングしたものを再利用して差し戻すことができるので、ボリュームの足りないところに切ったものを植えることができます。

C有茎草 例外その3

  • 主な水草:アナカリス、マツモ、ナヤス、トニナのように頂部が美しいもの
  • 再生力が強くて底床に植えなくても育つアナカリスやマツモはこの方法の方が楽です。頂部が美しいトニナやケヤリソウの仲間なども切り戻して新芽を植え替えた方がレイアウトが崩れないのでいいでしょう。
  • 切り方
    ある程度の位置で切り、新芽部分を改めて植え替えます。
  • 切るタイミング
    伸びすぎてバランスが悪くなってきたときにトリミングします。丈夫なアナカリスやマツモはかなり適当に切り戻しても大丈夫です。トニナ類は下葉が枯れ始めるのを目安にするとよいでしょう。

D根茎草・シダ系・クリプトコリネ系

  • 主な水草:エキノドルス類、ミクロソリウム類、クリプトコリネ類、シペルスなど
  • これらは外側の古い葉が徐々に枯れていきます。古い葉は汚らしいだけでなくコケの温床にもなりやすいので切り取れる場所にあるものは順次トリミングしていきます。ただし、神経質になって無理に切ろうとすると、新しい葉を切ったりレイアウトを崩したりして失敗しやすいので注意が必要です。
  • 小型水槽の場合、大型のエキノドルス類などが大きくなりすぎた時の対処が有茎草よりも難しいです。対処としては葉を刈り込んだり根をわざと傷めたりする方法があります。ですが、あまりお勧めしたくない方法なので、できれば水槽の大きさに合わせた種類を最初から選びたいところです。
  • 切り方
    古い葉を根元付近で切り取ります。根元深く切ろうとすると新しい葉まで切ってしまいやすいので無理しないように。中〜大型エキノ・ミクロ・クリプト類は切り取りやすいですが、シペルスのように葉が茂るタイプのものはトリミングがしにくいです。
  • 切るタイミング
    葉色が悪くなってきたら切るタイミングです。まだ葉が固いときの方がトリミングしやすいのでやや早めに切ってしまっても構いません。

E根茎水草 例外その1

  • 主な水草:ヘアーグラス(ショートタイプは例外その2参照)
  • ヘアーグラスは葉が非常に細かいので葉を一枚一枚切るわけには行きません。芝生のように刈り取るような要領でトリミングすると再び新しい葉が伸びてきます。
  • 切り方
    伸びすぎたら根際より少し上の位置で刈り取るように切ります。
  • 切るタイミング
    込み合ってきたり長く伸びすぎた時、葉が汚くなってきた時が適期です。すでに根がよく張っていれば回復も早いです。

F根茎水草 例外その2

  • 主な水草:エキノドルス・テネルス、コブラグラス、ピグミーチェーンサジタリア、バリスネリア類、ヘアーグラス(ショートタイプ)など
  • ランナーを出して伸びるタイプの根茎水草。種類によっては広がりやすいですが、頻繁というほどトリミング回数は多くないです。
  • 切り方
    想定の場所より先に伸びだしてきたら、順次ランナーを切り取ります。切り取ったり子株は別の場所に植えつければ、そのまま増やせます。
  • 切るタイミング
    想定の場所から先に伸びだしたものを適時切り取ります。

※D〜Fの水草全般の補足
子株が込み合って収拾がつかなくなってきたら底床から抜いて子株を分けて植え替えます。ただし、エキノドルス類やクリプトコリネ類のような根茎水草の場合は植え替えると極端に成長が鈍くなるので最終手段と考えておきます。
シダ系の水草は子株が簡単に離れるので気楽に分けることができます。

Gコケ類、藻類

  • 主な水草:ウィローモス、フレームモス、ゼニゴケ類、マリモ、リシアなど
  • これらのコケ類は縦横に伸びていくのでやや頻繁にトリミングします。特に水草用の設備が充実している水槽では成長がとても早くなります。
  • 切り方
    伸びすぎたら刈り込むように切ります。切り位置についてはあまり考えなくていいです。切れた葉が舞いやすいのでポンプを止めて水換え前にトリミングし、水換え時に切れ端を吸い出します。
    マリモのように刈り込みにくいものは、手でちぎるようにトリミングしても構いません。
  • 切るタイミング
    伸びすぎたら適宜切り戻します。特にウィローモス類は込み合うと下葉が変色してしまいやすいので注意が必要です。切れ端は再生するので改めて使うことができます。ただ、吸い出し処理をしきれなかった切れ端が余計な所で増殖することがあり、この性質は意外と厄介です。

その他のポイント

  • 計画的な水草の導入を
    トリミングは水草水槽にとって大事な作業なのですが、小型水槽の場合は計画的な水草の導入も同じぐらい大事です。特に20cm以下の超小型水槽の場合は水草の選択がレイアウト成功のための80%といっても言い過ぎではありません。大型化しやすい&成長が早すぎる水草を無理に使うのはよくありません(と、経験者は語る…)
  • 過剰な肥料と二酸化炭素の添加は考えもの
    上級者になると、水景が落ち着いてきたら水草の成長をわざと穏やかにしてトリミングの手間を最小限に省いています。気泡を一杯出させたい気持ちもわかりますが、あまりに多い二酸化炭素や肥料の添加は好ましくないと思います(特に液体肥料の過多は水槽のバランスを極端に悪化させる原因になりやすいです)。成長を遅らせるコツは二酸化炭素の適切な添加と、チッソ&リン酸肥料を控えめにしてカリ分を十分に与えることです。